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シャドウベインの背景世界

惜しくもサービスが停止されたオンラインRPG、Shadowbaneに関する世界設定の翻訳

ナイトの物語

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 諸王時代の後期に、エルフの悪妖人たちは全父の最終布告を破り、悲涙戦役を起こした。しかし、人の子の諸王国は協力をおこたり、互いに争うことになる。エルフの侵攻だけでなく、オークと北方人の攻撃も受け、ヒトの諸王国は、次つぎと壊滅的な打撃を受けた。ヒトは全父の帰還を祈ったが、兆しは何も訪れず、信仰を疑う者たちも現れたという。

 

 長く暗い日びを経て、希望の光がもたらされ、運命は変わった。若き英雄、カンブリュワンがカレドルン王国に現れ、すべての敵を打ち破ったからである。カンブリュワンの言葉によると、彼は全父から五大徳目を授かっていた。それはカンブリュワンがもつ力の源泉であり、彼が広く世に伝えたものでもある。
 カンブリュワンが名声を獲得すると、彼が掲げる旗のもとに、数多くの高貴な戦士たちが集まり、彼らはナイトの起源になった。ナイトたちは戦いに戦いを重ね、方ぼうを駆け回る。そして彼らは、カンブリュワンがもつ英知の光を、隅ずみにまで生き渡らせた。
 カンブリュワンは拡大した王国に善政を敷き、同国家は、平和と秩序を基調とする中核地域になる。ナイトたちはカンブリュワンを守り、彼のもつ意思を伝達した。そうして統一王国は、南方の亜熱帯と北方の豪雪地帯にまで、勢力を広げたのである。
 カンブリュワンのもとで人の子たちが団結し、勇士たちが正義の剣を振るうと、エルフの軍隊でさえも敗走した。カンブリュワンの部下である勇士たちは、彼の友人でもあったという。
 統一王国の国民に愛されたカンブリュワンは、全父の化身と見なされた。同意しない者たちでさえも、彼を最高位の天使だと考えたようだ。いずれにしても皆が、カンブリュワンはヒトの救済に現れたと信じていた。

 

 残念ながら、栄光の日びは暗い結末を迎えることになる。カンブリュワンへの奉仕に専念するため、すすんで生来の称号を破棄したり、家族と縁を切る騎士は多かった。彼らだけでなく、善良で熱心に働く農民たちにも、王は土地を与えたという。
 悲涙戦役が長引き、政情が不安定になると、ナイトたちのなかには道を見失うものも現れた。彼らは物欲に駆られて争い、ナイトの戦力は大きく消耗している。道徳の喚起を目的として、襟巻会が結成されたにも関わらず、大王に追従し、エルフとドワーフを攻撃するナイトたちもいた。
 意見の相違は対立をもたらし、最高位の騎士である勇士たちでさえも、宮廷内で揉め事を起こすことになる。そしてカンブリュワンは戦争に気を取られ、背後に広がる不穏な影に気づかなかった。

 

 最終的な勝利の前日に、事態は一変する。北方荒地でカンブリュワンの軍隊は、堅牢なキエラベン市を制圧した。しかし大王自身は、近くの森で、エルフの射手たちによる不意打ちを受ける。歴史上最も大きな樫の木の側で、カンブリュワンは裏切りに遭った。勇士たちのなかから背信者が出て、聖剣シャドウベインを奪い、それをもって大王の心臓を貫いたのである。
 誰にも殺されなかった王が殺されたとき、同時にすべての希望も砕かれた。したがって、ここで地界に大地分裂が起きる。天界は、カンブリュワンの遺体と、彼を守りながら死んだ勇士を見て怒り、嘆き悲しんだ。
 襟巻会の騎士たちは号泣したが、全父に彼らの声は届かなかった。残された騎士たちの多くが、間違った正義感をもとに軍事活動を行う。勇士たちのあいだでは、非難の応酬が繰り広げられた。大王国が残骸となり、覇権をめぐって、小王たちが争う時代が再び始まったのである。

 

 二人の勇士、アデラールとマーディオックは、戦乱にあっても道徳を捨てなかった。彼らは大王の生存を信じて、戦争に参加せず、主君が帰還するときを待つことにしたという。
 二人の騎士は馬で各地を駆け回り、五大徳目を広く世に広めた。青春の日びに、王から道徳論を教わった騎士たちが、新しい時代において、別の若者たちを指導したのである。頑強な肉体と高い品性をもち、若い戦士たちに手本を示した二人は、正義を実現するための戦いに、一生を捧げた。
 ナイトたちにとっては、今なお時代は暗く、カンブリュワンの帰還は望めない。おそらく全父は、カンブリュワンの後継者となる人物を、私たちに用意しただろう。カンブリュワン自身が下級の貴族だったように、彼の後継者が、地界のどこかにいる可能性がある。後継者の捜索は、ナイトにとって最も重要な任務といえよう。

 

 貴殿は、優れた技能と高い品性を証明されました。よってここに、私は委任された権限にもとづいて、貴殿を統一王国の騎士に叙します。全父および聖ヘデリックと聖ロルネの名において、貴殿には、武器の携帯ならびに懲戒を行う権限が与えられます。高貴な身分を示す、拍車と記章をつけなさい。あなたによる、大王の後継者探しと戦勝の栄光をとおして、古き良き時代は再び開花するでしょう。
 さあ行きなさい、ナイト殿。道徳論の実践と普及に努めるのです。

 

道徳論

 

 ナイトは、生来もつ土地の保有権および請求権の一切を破棄し、行動と寛大さをもって、人びとを防護する義務を負う。すべてのナイトが、道徳論における五大徳目を規範として、自身の言動と一致させるように、努めなければならない。

 

・武勇
 ナイトの血液である勇気は、名誉と栄光がともなう行為の原動力といえる。まず最初に、ナイトは勇敢さをもたなければならない。なぜなら、私たちには敵がいるうえに、すべてのナイトが、非常に困難な任務を負っているからである。統一王国の再建と、大王の理念にもとづく統治の復活は、現代において強く求められている。

 

・譲渡
 財産を国民に分け与えた大王は、まさに繁栄をもたらす川の源流であった。王に仕えるナイトたちも、必要に応じて、善良な人びとに所有物を提供すべきである。その範囲は硬貨だけでなく、あなたがもつ肉体の強さも含まれる。

 

・謙遜
 傲慢は最大の悪であるため、ナイトの内面から完全に除去しなければならない。私たちの強さは、大王の示した道徳論の実践による。それは大王と全父の功績であるから、私たちのものでないことを忘れてはならない。もしもあなたが、自分のことを人びとと運命の主人だと誤認した場合、かつて大王が裏切られたように、命を落とすだろう。

 

・慈悲
 後継者の捜索と戦いを経て、私たちは統一王国を再興し、地界から悪しきものを一掃するだろう。どんな敵が相手であっても、敗北は一度させるだけで十分といえる。あなたが宿敵を許し、道徳論を示せば、かつての敵も賛同者になりうる。

 

・正義
 勇気がナイトの血であるなら、公正さは魂といえる。強者が弱者を餌食にすることは、動物の摂理であり、ヒトの行いではない。私たちは全父の手で作られ、労働の成果と地界の統治を楽しむ生き物である。人びとを絶望に陥れる悪人が、一人残らず処罰されることこそが、私たちにとって重要な目標といえよう。
 貧しい小作人から裕福な商人まで、彼ら全員が戦争と強盗の恐怖にさらされず、抑圧を受けることなく生きられるべきである。そのような社会が実現されて初めて、正義の達成と統一王国の再興が完成する。

 

[補足情報]
ナイト
[関連情報]
ダークナイト

 

固有名詞一覧(ナイトの物語)

 

《あ》:悪妖人(Fey Folk)、アデラール(Adelard)
《う》:運命(Fate
《え》:襟巻会(Holy Knighthood of the Sash)、エルフ(Elves)
《お》:オーク(Orcs)

 

《か》:カレドルン王国(Kingdom of Caledorn)、カンブリュワン(Cambruin)
《き》:キエラベン(Kierhaven)
《こ》:五大徳目(Five Virtues)

 

《し》:小王(Petty Kings)、諸王時代(Age of Kings
《せ》:全父(All-Father)、全父の最終布告(All-Father's Last Commandment)

 

《た》:大王(High King)、大王国(One Kingdom)、大地分裂(Sundered)
《ち》:地界(World)、中核地域(Heartlands)
《て》:天界(Heavens)、天使(Archons)
《と》:統一王国(One Kingdom)、道徳(Virtues)、ドワーフ(Dwarves)

 

《な》:南方(South)

 

《は》:背信者(Betrayer)
《ひ》:人の子(Sons of Men)、悲涙戦役(War of Tears)
《へ》:ヘデリック(Hederic)
《ほ》:北方(North)、北方荒地(Northern Wastelands)、北方人(Northmen)

 

《ま》:マーディオック(Mardiock)

 

《ゆ》:勇士(Champions)
《よ》:妖人軍団(Elvish Host)

 

固有名詞一覧(道徳論)

 

《う》:運命(Fate

 

《け》:謙遜(Modesty)
《こ》:五大徳目(Five Virtues)

 

《し》:慈悲(Mercy)、譲渡(Generosity)
《せ》:正義(Justice)、全父(All-Father)

 

《た》:大王(High King)
《ち》:地界(World)
《と》:道徳論(Code)、統一王国(One Kingdom)

 

《な》:ナイト(Knights)

 

《ひ》:ヒト(Men)

 

《ふ》:武勇(Valor)