シャドウベインの背景世界

惜しくもサービスが停止されたオンラインRPG、Shadowbaneに関する世界設定の翻訳

レンジャーの物語(Ranger Narrative)

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 横になったままでいろ。呼吸を早めるな。オークたちの矢には毒が塗られていたが、心配しなくてよい。この薬草は毒を中和する。根を噛んで静かに寝ていろ。おれが側にいるから、安心しろ。安静にしていれば、体調はよくなる。
 もともとは、家にでもいたのだろう。どうやって、おれの跡をたどってきた。ここは、追いはぎには向かない土地だぞ。悲涙戦役のまえでも、高地は安全ではなかったが、現在では、とても危険な場所へ変わった。オークたちの腕は悪かったようだ。おまえは幸運だったな。高地は怪物だらけなうえに、1マイル未満の場所には、かれらの巣がいくつもある。おれは怪物たちを監視しているから、かれらの動向を把握している。

 

 地界では、それが誕生したときから現在にまでおよんで、邪悪な怪物たちが常に存在していた。裏切りのイレケイ、魔界の悪魔たちによる軍勢、死人たちの暗影軍団。さらに、オークとグロボルドこと、変形から生まれた両生物。そして、原生林に出没し、その破壊に熱中する化け物たち。世界人類は、広がる影を止めるための防衛者たちを、常に必要としてきた。
 影を退けたのは、騎士たちやクルセイダーたちだったと、一般には信じられている。しかし、事実は違う。

 

 人目につかない原生林の中を歩きながら、秘密裏に戦う者たちがいる。かれらの敵は、地界における自然の秩序を壊し、かの女の子供たちを害する生物たちだ。おれたちはレンジャーと名のっている。辺境の土地を細部まで把握して、そこで暮らす人びとの幸福を守るのが、おれたちの義務だ。おれたちの職業は、とても古いうえに高貴なものだ。エルフの国家こと、妖人帝国の全盛期に起源をもち、守護者の軍団を構成していた。
 緊張しなくてよい。おれはエルフでもアルフボーンでもなく、おまえと同じ人の子だ。前の時代に、エルフたちは有望なヒトたちを選び、高貴な兄弟団へ加入させた。そして、現代におけるレンジャーの大多数が、ヒトになった。昔は、森番騎士たちが馬を駆り、プレレイトとクルセイダーの、全父に仕える両方と協同した。そして、あらゆる土地で、レンジャーたちを賛美する歌がうたわれたのだ。
 残念ながら、そのような時代は昔に過ぎ去った。

 

 悲涙戦役が始まったころに、森番長たちは、カンブリュワン王がもつ、エルフたちへの憎悪を指摘した。そして、戦役において、かれに従うことを拒否した。上級王国の人びとは、すぐさま、おれたちへの態度を変えた。地母神への崇拝ならびに、獣主たちへの献身を非難してきたのだ。おれたちの勢力は、宗教的な軍事運動を受けて衰弱し、レンジャーたちは隠れることを余儀なくされた。
 長いあいだ、おれたちは南方の沼地で暮らし、そこで、隠密行動と生存の両技術を学んだ。そのころに、サソリが、おれたちの象徴として定められた。小柄で巧妙かつ俊敏であり、致命的な刺突を放つからだ。沼地から這い出たあと、レンジャーたちは地界を放浪し、大儀を守りつづけた。
 ブライアラ女神への信仰は、治癒と保護の、両方をおこなう力を与えてくれる。狼と熊ならびに猪は、おれを狩ろうとはしない。獣主たちへの奉仕により、レンジャーたちは、野獣たちの友人として認められた。おれたちは過去にひどい仕打ちを受けたが、報復しなかったし、今後もそれを望まない。畑と都市の両方における、おれたちの兄弟たちに理解されなくても、かれらは兄弟のままだ。おれたちが無意味な復讐に駆られ、使命を脇に置いてしまったら、地界はどうなるだろうか。

 

 おまえを見つけたオークたちは、向こうの町を略奪しようとしていた、大規模な集団の一部だった。おれと、おれの仲間である二人のレンジャーたちは、数日前の夜にオークたちを追い払った。かれらがここへ戻ってくるのには、長い時間がかかるだろう。
 おまえが被害を受けたのは、おれのせいだったのかもしれないな。償いをさせてくれ。ここから遠くない場所に、清らかで冷たい泉をともなう、渓谷がある。そこで、おまえは傷口を洗ったり、 気分転換をおこなえるうえに、安心して眠ることがきる。
 明日に、ほとんど知られていない道を通って、おまえを町へ連れ戻す。この原生林から安全に帰れるだろう。見返りは何もいらない。ただし、レンジャーに親切にされたことを忘れず、それを人びとに伝えてくれ。そして、高地を通り抜けるときは慎重になってくれ。

 

 さあ、行こう。おれが歩いたところから外れるなよ。

 

用語一覧

 

《あ》:悪魔(Demon)、アルフボーン(Aelfborn)、暗影軍団(Unholy Legion)
《い》:イレケイ(Irekei)
《え》:エルフ(Elf)
《お》:オーク(Orc)

 

《か》:カンブリュワン(Cambruin)
《く》:クルセイダー(Crusader)、グロボルド(Grobold)

 

《し》:獣主(Wild Lord of the Beasts / Wild One)、上級王国(High Kingdom)
《せ》:世界人類(Children of the World)、全父(All-Father)

 

《ち》:地界(World)、地母神(Green Mother)

 

《な》:南方(South)

 

《ひ》:人(Human)、人の子(Son of Men)、悲涙戦役(War of Tears)
《ふ》:ブライアラ(Braialla)、プレレイト(Prelate)

 

《ま》:魔界(Chaos)
《も》:森番長(Ranger Lord)、森番騎士(Ranger Knight)

 

《よ》:妖人帝国(Elvish Empire

 

《れ》:レンジャー(Ranger)