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シャドウベインの背景世界

惜しくもサービスが停止されたオンラインRPG、Shadowbaneに関する世界設定の翻訳

知られざる未来

伝説

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 シャドウベインの刃は地界における三つの時代の歴史と運命を左右した。天界の下にいる者たちは、誰もシャドウベインの放つ焼けつくような光から逃れられなかった。神々と悪神たち、天使たち、さらには王たちと英雄たちでさえも。彼ら全員がトゥーリンの作り上げた至高の剣によって抑えつけられ、地界が滅亡する時は刻一刻と近付いている。

 あなたは多くの物語を聞いたが、まだ知りたいことがあるようだね。カンブリュワンの携えた剣が彼自身を殺し、地界を壊した嘆きの日から百年の月日が流れた。その間シャドウベインには何があったのか。どのような未来がシャドウベインを待ち受けていているのだろうか。次の時代において、剣は崩壊した地界にどれほどの影響を及ぼすのか。答えはいまだに出ていなくて、学者たちは研究を続け、そうでない人々は根拠のない憶測を語り合う。大半が学説や噂話の域を出ないだろうけど、もしかしたら、中には事実を示すものがあるかもしれない。

 

争闘時代

―シャドウベインの行方―

 

 背信者が悲壮刺突を放ち、カンブリュワンが殺害された日以来、シャドウベインを所有した者は現れていない。なぜなら、シャドウベインは今も石に変化した生命の樹に突き刺さったままだからである。この木は太古の時代から存在していて、エルフの賢人たちはイルガンディルと名づけていた。キアハベンンの略奪と天変地異は未曽有の混乱を招いており、そのような状況の中で、カンブリュワンの勇士隊は恐怖を抱きながら大王を捜索していた。

 夜の帳が下りたとき、豪騎士マーディオックと彼の率いる騎士たちは、シャドウベインでナラの岩石樹に打ち付けられていた主君の遺体を見つけた。騎士たちは深く嘆き悲しんだのち、カンブリュワンを葬ることにした。しかし、王の心臓を貫くシャドウベインは固く打たれていて、誰がどれほど力を込めても引き抜けなかった。彼らは仕方なく木を壊し、シャドウベインを外そうとしたが、何度叩いても岩の木にはひび一つ入らなかった。勇士たちは諦め、全父に祈りを捧げたが、答えを授かることはなかった。

 

 三日後、途方に暮れていた勇士たちの前にゼリスタンが現れ、彼らにカンブリュワンの火葬を勧めた。騎士たちは学者の助言に従い、カンブリュワンの足下に薪を積み、それに火をつけた。炎はカンブリュワンの遺体を焼きつくしたが、シャドウベインと石に変化した木には何の影響も及ぼさなかった。その後、ゼリスタンはカンブリュワンの灰と骨、さらには生前の装備を持って旅立ち、誰も知らない場所にそれらを埋めた。噂によれば、数年の内にカンブリュワンの墓は暴かれ、今では数多くの聖堂が王の聖遺物を保管している。それぞれの聖堂にいる僧侶たちはそれらが本物だと主張しているが、真偽は定かでない。

 勇士たちはそれぞれの故郷に戻ろうとしたが、天変地異による地震はアエリンスの土地をいくつにも切り離していたため、帰るための道は全て虚無界のように暗い奈落に隔てられていた。地界の住人がカンブリュワンの死を知ったのは五十年近く後のことだった。開門術という新しく発見された呪術が神知門を開き、各地の門にまたがる瞬間移動ができるようになって、ようやくその事実が明らかになった。

 カンブリュワンの美徳論を信奉する騎士たちの大部分が命を落とし、彼らの中で生き残った者たちは大王の嫡子を探し始めたが、いまだにそのような人物は見つかっていない。

 

 何十年も戦火が大地を焼き続けるかたわら、たくさんの冒険者たちがキアハベンの廃墟に巡礼し、岩石樹に突き刺さったシャドウベンを見に行った。その中には己の人生と魂を懸け、地界を救うためにシャドウベインを引き抜こうとする者たちもいた。戦士と盗賊、呪術師と僧侶、貧者から国王まで、さまざまな出自の者たちがシャドウベインを引き抜こうとしたが、誰にも成し遂げられなかった。

 三十年ほど前に一匹のドレイクがキアハベンに棲み着いたため、冒険者たちがこの場所に行くことはできなくなり、やがてキアハベンに続く道は忘れ去られた。最後の冒険者が旅から戻ってきたとき、彼は大声で奇妙な事をわめき散らした。「木が消えていた」と。本来はテロリナドレス山の山裾にキアハベンの廃墟と岩石樹があるはずだったが、木は姿を消し、その場所には底の知れない穴が開いていた。

 学者たちは地崩れでイルガンディルとシャドウベインが虚無界に沈んだと推測した。シャドウベインの光が消えて多くの人々が絶望の淵に追いやられたが、まだ信仰を捨てず、希望の炎を燃やし続ける者たちもいる。なぜなら、以前もシャドウベインは地界から失われていて、それを聖騎士カイリクが取り戻したからだ。いつか同じように新しい英雄が現れ、第三の聖剣探究を成功させるだろう。

 

 もしもまだシャドウベインが存在していて、見つけられた場合、一体何が起こるのだろうか。天変地異以来、憶測が途切れることはなかった。シャドウベインの光は崩壊した地界を覆う闇を払い除けるだろうか。多くの人々がそう信じているが、ベレグントが剣にかけた供犠呪詛はどうなったのか。

 一説によれば、呪いは三人の君主たち、イスリアナ、バルディマンソール、カンブリュワンの命を奪い、血を飲んだことで消滅したと言われている。しかし、それが正しいとは言い切れない。現代では命を落とした者の霊魂が肉体に戻るようになり、誰も死を恐れなくなったが、その原因は呪いにあるのかもしれない。天変地異がシャドウベインの呪いに新しい効果を加え、それが剣が刺さった石の木を通して地界の全体にかけられた可能性がある。シャドウベインを探す冒険者たちは、いまだにベレグントの供儀呪詛を恐れているが、数かずの不吉な逸話はシャドウベインの獲得をねらうエルフ、もしくはゼリスタンの捏造だと考える者もいる。

 

 天変地異ののち歳月は流れ、数多くの俗説が生まれたが、岩石樹が消失したことが知られると、人々はますます色いろな噂話をささやいた。その中でも特に有名で人気のあるものが隠れ嫡子である。

 カンブリュワンの隠し子だけが木からシャドウベインを引き抜き、神聖王国の平和と秩序を回復させると信じる者は多い。新しい大王の呼びかけで全父が降臨を果たすだろうとも。全父が彼の子供たちの中を歩くのはこの三度目が最後になり、全父が崩壊した地界を修復すると信じられている。安楽時代が始まると、過去に犯した罪はぬぐい取られるというのが定説である。

 

 その一方で、希望の欠片もない噂は多い。イルガンディルからシャドウベインを引き抜くのは、生物の身体から矢を引き抜くことと同じだとも言われていて、その行為は大地により多くの血を流させるのかもしれない。シャドウベインを生命の樹から外すことができないのは、ベレグントの呪いがまだ力を失っていないことが原因だともささやかれている。終末のときでさえも、剣は木に刺さったままで、傷を負って寝ていたドラゴンが再び目覚めるのかもしれない。竜の炎が地界を飲み込み、全父の創り上げたものがことごとく破壊される恐れがある。

 人とエルフはトゥーリンがシャドウベインに込めた地界の救済という意図を無視し、剣を悪用して善いものも悪いものも破壊した。光と闇、善と悪、秩序と混沌、原初の力同士の対立がシャドウベインの使われ方を今まで決めていて、それは未来においても変わらないだろう。たくさんの俗説を挙げたけれど、恐らくどれにも間違いがあって、真実は誰にも分らない。

 

 どのような運命がシャドウベインに待ち受けているのか。それを知るのは全父だけだが、今も父の声は途絶えたままである…。

 

固有名詞一覧

 

《あ》:アエリンス(Aerynth)、悪神(Dark Lords)、安楽時代(Age of Paradise) 《い》:イスリアナ(Ithriana)、イルガンディル(Yllgandir)

《う》:運命(Fortune)

《え》:エルフ(Elves)

 

《か》:開門術(Traveling)、カイリク〔聖騎士〕(Caeric the Paladin)、隠れ嫡子(Lost Child)、神(Gods)、岩石樹(Stone Tree)、カンブリュワン(Cambruin)、 カンブリュワンの勇士隊(Cambruin's Champions)、カンブリュワンの美徳論(Cambruin's Code)

《き》:キアハベン(Kierhaven)、虚無界(Void)

《く》:供犠呪詛(Curse)

《こ》:混沌(Chaos)

 

《し》:シャドウベイン(Shadowbane)、終末(End of All Days)、神聖王国(High Kingdom)、神知門(Runegates)

《せ》:聖剣探究(Quest for the Sword)、聖堂(Cathedrals)、生命の樹(Tree of Life)、ゼリスタン(Zeristan)、全父(All-Father)

 

《ち》:地界(World)、秩序(Low)

《て》:テロリナドレス山( Mount Telorinadreth )、天界(Heaven)、天変地異(Turning)、天使(Archons)

《と》:トゥーリン(Thurin)、ドラゴン(Dragon)、ドレイク(Drakes)

 

《な》:嘆きの日(Day of Woe)

 

《は》:背信者(Traitor)、バルデマンソール(Valdimanthor)

《ひ》:悲壮刺突(Woeful Stroke)、人(Men)

《へ》:ベレグント(Beregund)

 

《ま》:マーディオック〔豪騎士〕(Mardiock the Gallant)

 

《ゆ》: 勇士(Champions)

 

《り》:竜(Terror)