シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

An Outcast, the Hermit of Fortune (幸運の隠者こと諫言者)

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 いったい何の用だ。旅人よ、行楽にでも来たのか。それとも、荒れ果てた島に来たのは報復のためか。財産を得るためか。権力を得るためか。どうやら、高い目的があるようだな。支配者になりたいのか。地方の掌握を望むならば、おれの説明を聞かなければならない。おれはおまえを王にしてやれる。もしもおまえが幸運ならば。

 

―あなたは誰ですか―

 

 おれのことか。名前はヴォルドロク。混沌との接触がおれを生まれ変わらせ、新しい姿がもたらしたときから、そう名のっている。おれは、偉大な主に仕える下僕にすぎない。
 かつての主は神であり、地界を形作った七大神の一人だった。しかし運命が原因で、彼は混沌の手先になった。そこにあるのが主の像だ。主の名前はモーロックだが、昔は別の名前があった。それを話す気はないが。

 

 おれの主について想像しろ。誰よりも軍略に長け、最高の戦士でもある神がいた。しかし、主はすべてを失った。もっとも美しい神は醜くされ、仮面の裏に素顔を隠した。妻を亡くし、生きているものすべてを憎んだ。戦いの神はすべての戦争に敗れた。究極の武器を手にいれようとしたが、三度も敗北し、望みはかなわなかった。なぜそうなったのか。なぜ戦いの神が負けつづけたのか。

 

 単純な答えがある。それは幸運の不足だ。あらゆる存在の人生が、運命の気まぐれに操られている。おれたちの全員が、大きな車輪に繋がれているのだ。車輪が逆回りするとき、車輪の上にいた者たちは投げ落とされる。
 モーロックさまは運命に呪われていた。ドラゴンの吐いた竜火に焼かれ、醜くなり、妻は死んだ。陰謀をめぐらせ、ジャイアントとドワーフを支配しようとしたとき、それは妨害された。魔界の奈落で用意した罠は、全父に見破られた。十個あったグリーミングストーンの破片は、すべてなくしてしまった。
 何度も何度も、不足した幸運はモーロックさまから勝利を奪った。しかし、それでもモーロックさまは最高の王といえる。おまえは、彼よりもうまくやれるか。

 

 おれが新しい名前をもつまえから、おれは長いあいだモーロックさまに仕えていた。おれは、戦争神が戦闘をとおして訓練した、ヴォルグレムという軍団の忠実な兵士だった。魔界の奈落で主が罠を張って、全父を殺そうとし、それが失敗したとき、おれもそこにいた。
 おれとおれの兄弟たち全員が混沌に侵され、彼らは変造生物になった。だが、おれは違った。おれはヒトや悪魔でもない、別の存在に生まれ変わった。高次の目的により、おれは選ばれたのだ。

 

 おれは今まで、モーロックさまの使者と高級僧侶を務めてきた。おれはいくつもの軍団を、モーロックさまの理想とする水準に到達させ、彼の敵を恐怖で震えあがらせた。おれは、数多くある分裂した全土をすべて訪れ、数多くの敵と戦った。主の探究を助け、ウォリアンドラ女神の形見である、グリーミングストーンも探してきた。しかし、おれは探究の終わりで、モーロックさまが理解していなかったことを学んだ。
 支配を行う者の誰もが、幸運を必要とする。支配を継続させるは、運が味方についていなければならない。真の王といえる者たちは、運勢の奴隷ではなく主人であり、自分の意志でそれを従わせられる。おれは、このことを主に説明した。だが主は聞きいれず、おれを解雇した。
 この病的な時代でおれは死ねず、他の誰でも本当に死ぬことはない。おれはさまよい、アエアインスと魔界を隔てている、門の近くにまで戻ってきた。その場所から、向こう側へ行った過去がある。そして、ここでおれは声を聞いた。

 

 神がみは、遠くからおれを呼んだ。彼らは、おれが王権の鍵を、ひとつ授かったことを告げた。おれの経験が、おれじしんを幸運の番人にさせたことも。おれは、地方の支配を望む者たち全員に、幸運の祝福を与え、王位をめぐる戦争に送り出せる。
 祝福が欲しいのか。もしそうならば、おれの言葉を忘れるな。支配には幸運が必要となるが、運勢は気まぐれなものではない。幸運とは、おまえじしんが作るものだからである。王になりたいか。はたして、幸運はおまえに微笑むだろうか。

 

―どのようにすれば、王になれるのですか―

 

 王たちを定めるのは神がみであり、王冠でも宮殿でもない。パレスの建築には、まず最大まで成長させた、ライフ樹と大勢の仲間が必要である。さらに保管所には、多くのゴールドとリソースを入れなければならない。そして、レルム憲章を手に入れなさい。
 レルム憲章の制定には、神がみの祝福が必要である。あなたは、世界を横断する王の巡礼路をつつましく歩き、拠点へ帰るのだ。そしてシュラインで、三つの祝福を自分に反映させなさい。

 

 世界の片隅には、三人の隠者たちが住んでいる。彼ら全員を見つけだして、幸運と分別と威力の祝福、三つを獲得するのだ。それらはあなたの歩行を遅くさせ、旅を難しくさせるだけでなく、あなたの敵も引き寄せる。あなたは三人の隠者と会うために、王の巡礼路をできるだけ早く歩くのがよい。体は補助の技法を受けつけないが、いくつものルーン門を利用し、最後には拠点へ帰るのだ。
 巡礼の途中で死ぬと、体に帯びていた祝福は失われ、旅は失敗となる。あなたの宿敵たちは、あなたが王位を求めたときに、それを知って、巡礼を妨害しに来るだろう。あなたに信頼できる仲間たちがいて、分別と幸運と威力に恵まれていれば、旅は順調に進み、巡礼を終わらせられるだろう。

 

 三つの祝福を獲得したなら、あなたのシティに帰り、レルム憲章を使いなさい。パレスが建築されて、あなたのライフ樹は防護され、あなたによる、地方の新しい統治が始まるだろう。

 

用語一覧

 

《あ》:アエアインス(Aerynth)、悪魔(Demons)
《い》:威力(Power)、隠者(Hermits)
《う》:ウォリアンドラ(Volliandra)、ヴォルグレム(Vorgrim)、ヴォルドロク(Voldrok)、運命(Fate
《お》:王の巡礼路(King's Path)

 

《か》:神(Gods)、諫言者(Outcast)
《く》:グリーミングストーン(Gleaming Stones)
《こ》:幸運(Fortune)、幸運の隠者(Hermit of Fortune)、ゴールド(Gold)、混沌(Chaos)

 

《し》:シティ(Cities) 、ジャイアント(Giants)、シュライン(Shrines)
《せ》:戦争神(War God)、全父(All-Father)

 

《ち》:地界(World)
《と》:ドラゴン(Dragon)、ドワーフ(Dwarves)

 

《な》:七大神(Seven Gods)、奈落(Pits)

 

《ま》:魔界(Chaos)
《も》:モーロック(Morloch)

 

《は》:パレス(Palaces)
《ひ》:ヒト(Men)
《ふ》:分別(Wisdom)
《へ》:変造生物(Twisted Breeds)

 

《ら》:ライフ樹(Tree of Life)
《り》:リソース(Resources)、竜火(Dragonfire)
《る》:ルーン門(Runegates)
《れ》:レルム憲章(Realm Charters)