シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

A Spectre, the Hermit of Power (威力の隠者こと冒涜者)

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 控えおろう。余を誰と心得る。生者が死者の土地に何用か。死を探しているなら、ここにある。冥后が勝利を収め、すべてが闇に飲まれるのを待つまでもない。そちが富と名声を求めているとしても、余は何も与えられぬ。支配のために威力を求めているのか。そうならば、そちを助けてやれる。王になりたいのなら、威力が横たわる場所を知れ。

 

―あなたは誰ですか―

 

 息絶えたあと、余の顔と体は骨になった。誰か分からぬのも無理はない。余が死んだとき、時間は存在せず、最初の日はまだ暮れていなかった。余がもつ本来の姿は、外にある石像のとおりだ。白夜が永遠に空一面を覆い、星ぼしがきらめいた時代が懐かしい。
 余の名はシルレストールである。かつては、偉大な王として地界に名をとどろかせた。余が作りあげた、あの石像は傑作であろう。何と美しい姿だろうか。それが今は…。ああ嘆かわしい。肉体は朽ち、栄光も塵となり果てた。

 

 余がまだ息をしていたとき、余はシーの一人だった。ギルリアンドール王の治める白夜王国で、神がみによる教育さえ受けた。余は軍勢を率いてドラゴンに立ち向かい、神がみも戦いに加わった。当面の危機は去ったが、余は全父の言葉を疑い、その勝利を一時的なものだと感じた。
 トゥーリン神は余の希望に応え、運命の剣を作りあげてくれた。そして、余はその剣をシャドウベインと名づけた。現代においても、その名前は世界じゅうで恐れられているようだな。

 

 トゥーリン神のくれた贈り物は、余に威力をもたらした。ドラゴンが追い払われたあとでさえも、世界は混迷をきわめていたから、余はそれを正すことにした。余はシャドウベインを握り、不滅帝国を樹立したのである。余は元素王たちと獣主たち、さらに魔界の底にいた高位悪魔たちを、余の軍隊に編入した。
 シーたちは余の助言を聞きいれ、余の命令を遵守した。ヒトが、まだ作られてさえいなかった時代で、世界じゅうの王が余にひざまずいた。余は限りなき威力をもっていたのである。剣と呪術によって、余は余と臣民が、神がみと並ぶ存在になったことを示した。だが、今の余を見るがよい。この哀れな姿で、誰が神と名のれるものか。

 

 悪魔と怪物ならびに、以前まで共に白夜を享受した神がみの子供、ケンタウロスを圧倒したときまでは、すべて順調だった。しかし、のちに余はシャドウベインの刃を受け、教訓を学ぶことになる。
 獣主成敗の伝説については、そちも聞いたことがあるだろう。余は剣を掲げ、パンダルリオンと彼の家来で、余に威力をもたらすシャドウベインをくれた、トゥーリン神に戦いを挑んだ。しかし、剣はトゥーリン神に取りあげられ、同時に余の命も奪われた。
 余は死ぬときに、重大な事実を学んだ。威力だけでは足りなかったのだ。他人を支配する者は、威力と釣り合う程度の、分別と幸運ももたなければならない。結局どのようなときでも、皇帝さえ超える威力をもつ者たちがいる。したがって、持ち主の器量を超えた威力は、持ち主じしんを滅ぼすのだ。

 

 余の愚かな孫娘は、欲望にしたがって死霊術を使い、余の骨を死から呼び起こした。それは、余から助言と呪術の知識を引き出すためであった。余は彼女を戒めようとしたが、聞きいれてはくれなかった。彼女は、どうしてもシャドウベインが欲しかったからだ。余の孫娘は、裏切ることで威力を獲得し、裏切られたことで命を落とした。
 そして今、彼女は冥后としてオブリヴィオン島に君臨し、さまよう死者とヴァンパイアの軍勢が、彼女に仕えている。しかし、彼女の威力はまやかしにすぎない。彼女は女王ではなく、ヌルの黒い針に操られ、踊らされる人形であり、家来といえるからだ。ヌルとは、外界にある恐ろしい力であり、腹を減らしているものでもある。

 

 ついに、神がみはどこか遠くから余に語りかけ、余の孤独と永遠の恥辱が、罰として与えられたものであることを告げた。そして彼らは、威力の家来である余に祝福を授け、ある役目を任せた。余はそちに、威力の祝福を与えられる。そちに資質があればだが。よく覚えておけ。威力だけでは、地方を治めるのに不十分であることを。

 

―どのようにすれば、王になれるのですか―

 

 王たちを定めるのは神がみであり、王冠でも宮殿でもない。パレスの建築には、まず最大まで成長させた、ライフ樹と大勢の仲間が必要である。さらに保管所には、多くのゴールドとリソースを入れなければならない。そして、レルム憲章を手に入れなさい。
 レルム憲章の制定には、神がみの祝福が必要である。あなたは、世界を横断する王の巡礼路をつつましく歩き、拠点へ帰るのだ。そしてシュラインで、三つの祝福を自分に反映させなさい。

 

 世界の片隅には、三人の隠者たちが住んでいる。彼ら全員を見つけだして、幸運と分別と威力の祝福、三つを獲得するのだ。それらはあなたの歩行を遅くさせ、旅を難しくさせるだけでなく、あなたの敵も引き寄せる。あなたは三人の隠者と会うために、王の巡礼路をできるだけ早く歩くのがよい。体は補助の技法を受けつけないが、いくつものルーン門を利用し、最後には拠点へ帰るのだ。
 巡礼の途中で死ぬと、体に帯びていた祝福は失われ、旅は失敗となる。あなたの宿敵たちは、あなたが王位を求めたときに、それを知って、巡礼を妨害しに来るだろう。あなたに信頼できる仲間たちがいて、分別と幸運と威力に恵まれていれば、旅は順調に進み、巡礼を終わらせられるだろう。

 

 三つの祝福を獲得したなら、あなたのシティに帰り、レルム憲章を使いなさい。パレスが建築されて、あなたのライフ樹は防護され、あなたによる、地方の新しい統治が始まるだろう。

 

用語一覧

 

《あ》:悪魔(Demons)
《い》:威力(Power)、威力の隠者(Hermit of Power)、隠者(Hermits)
《う》:ヴァンパイア(Vampires)、運命の剣(Sword of Destiny)
《お》:王の巡礼路(King's Path)

 

《か》:外界(Outside)、神(Gods)、神がみの子供(Children of the Gods)
《き》:ギルリアンドール(Gilliandor)
《け》:元素王(Elemental Princes)、ケンタウロス(Centaurs)
《こ》:高位悪魔(Demon Lordlings)、幸運(Fortune)、ゴールド(Gold)

 

《し》:シー(Sidhe)、時間(Time)、シティ(Cities)、シャドウベイン(Shadowbane)、獣主(Beast Lords)、獣主成敗(Taming)、シュライン(Shrines)、死霊術(Necromancy)、シルレストール(Sillestor)
《せ》:全父(All-Father)

 

《ち》:地界(World)
《と》:トゥーリン(Thurin)、ドラゴン(Dragon)

 

《ぬ》:ヌル(Null)

 

《は》:白夜(Twilight)、白夜王国(Twilight Kingdom)、パレス(Palaces)、パンダルリオン(Pandarrion)
《ひ》:ヒト(Men)
《ふ》:不滅帝国(Deathless Empire)、分別(Wisdom)
《ほ》:冒涜者(Spectre)

 

《ま》:魔界(Choas)
《め》:冥后(Lich Queen

 

《ら》:ライフ樹(Tree of Life)
《り》:リソース(Resources)
《る》:ルーン門(Runegates)
《れ》:レルム憲章(Realm Charters)