シャドウベインの背景世界

惜しくもサービスが停止されたオンラインRPG、Shadowbaneに関する世界設定の翻訳

分別の隠者こと背信者

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 こんな場所に何の用だ。王冠を探しているのか。ならば帰られよ。あなたに渡せるものは、何も持っていないからな。そもそも王冠に意味などない。そんなものが王を定めはしないからな。神がみだけが王を定める。あなたは支配権を求めているのか。もしそうなら、あなたの旅は長く困難なものになるので、少しばかり手助けしよう。
 まず教訓を伝える。あなたが相応の人物だと分かれば、祝福を授けよう。だが、それは始まりにすぎない。わたしの教えをよく聞き、祝福を上手く生かせば、あなたは王になれるかもしれない。現代の地界は、昔よりも多くの支配者を求めている。血で血を洗う時代が、今も続いているからな。

 

―あなたは誰ですか―

 

 わたしの名前か。そんなものは重要でないし、忘れてしまった。もう必要ないからだ。わたしは昔、一人の王に仕えていた。その人物は人の子がもつ歴史において、もっとも偉大な王といえる。
 王は全父に選ばれ、天使たちの祝福を受けていた。最盛期の王は、王として必要なものすべてを獲得した。王国の平和と忠実な家臣、そして、正義と道徳をいきわたらせる威力だ。わたしは王の右腕であり、勇士の一人だった。王のために、戦争で彼の敵をことごとく打ち破り、王の命を何度も救った。壮大な夢を描き、それを実現させようとした王にとって、わたしは欠かせない存在だった。

 

 王はいなくなった。王は死んだからな。百年ほどまえのことだ。外にある石像を見れば、彼の姿を知ることができる。だが、わたしが王の名前を口にすることはない。わたしにはその資格がないからだ。王はもういない。

 

 わたしは王を裏切った。神がみはわたしを許し、わたしは彼が死ぬのを見た。王が危機におちいり、今まででもっとも、わたしを必要としたにもかかわらず。偉大な王が死ぬと、地界は同時に滅びた。
 なぜ、王は死ぬことになったのか。王は威力と幸運に恵まれ、徳と財産も不足していなかった。敵さえも王の人格に敬意をはらい、国民は王のためならば死もいとわなかった。王のそばには勇士たちだけでなく、不老不死のウィザードもいた。王は、運命の剣ことシャドウベインさえ獲得した。すべてを手に入れたにもかかわらず、王は死んだ。その原因は何だったのか。

 

 祖先の愚行は王を苦しめた。彼らの行いが原因で、人の子とエルフは激しく対立した。緊張がつづくなか、王はエルフに侮辱され、戦争を始めた。再燃した悲涙戦役で、王は敗北寸前まで追い込まれたが、それでも降伏せず、戦いをつづけた。幸運は王に威力をもたらし、その威力といえるシャドウベインは、王国を滅亡の危機から救った。
 だが、王には欠けている資質があった。それは分別だ。王は、憎悪に燃える勇士たちに突き動かされ、祖先の過失を認めず、報復を徳に組みいれた。彼らは「降伏では不十分だ。エルフは絶滅させなければならない」とまで言った。そして、それは実現されようとしていた。

 

 王の暴挙によって、神がみが最初に作りあげた子供たちは、アエアインスから消えようとしていた。わたしはすべてを見たが、何もしなかった。いくつもの都市が破壊されたときでさえ、怒りを抑えつづけた。やがて、空から天使たちの声が届いた。彼らに、王が地界に破滅をもたらすと警告されたが、わたしは何もしなかった。神がみよ、わたしを救いたまえ。わたしは何もしたくなかった。

 

 けっきょく、王は傲慢さが原因で殺された。わたしは王を裏切り、彼が死ぬのを見た。わたしにはそれを止める力があったが、そうしなかった。そして大地は震え、空は血の色に染まり、地界は裂け分かれた。

 

 わたしは、わたしの知るすべての場所から逃れ、この砂漠で死ぬことにした。しかし、わたしも新しい時代に呪われ、死ぬことができなかった。わたしは人の子が築いた最古の王国、アーダンの遺跡に着き、ここで亡き主の石像を建てた。
 そしてわたしは、ふたたび神がみと天使たちの声を聞いた。彼らはもう一度わたしの魂に触れ、祝福を授けてくれた。こうしてわたしは、分別の番人に任命されたのである。わたしは相応しい者すべてに、分別の祝福を与えられる。彼らは新しい宮殿を建て、地界はふたたび、王たちと彼らの王冠を見るだろう。
 だが、わたしには心のこりなことがある。許しも祝福も、王を裏切り、悲しみに満ちたわたしの魂を清めてはいない。

 

 王になりたいのか。ならば、神聖な祝福を授けよう。有効に利用しなさい。あなたが、わたしの主が恵まれなかった、分別を見つけられんことを。あなたと他の王たちが、秩序なき時代に、新しい秩序を打ち立てんことを。あなたの統治に安息あれ。

 

―どのようにすれば、王になれるのですか―

 

 王たちを定めるのは神がみであり、王冠でも宮殿でもない。パレスの建築には、まず最大まで成長させた、ライフ樹と大勢の仲間が必要である。さらに保管所には、多くのゴールドとリソースを入れなければならない。そして、レルム憲章を手に入れなさい。
 レルム憲章の制定には、神がみの祝福が必要である。あなたは、世界を横断する王の巡礼路をつつましく歩き、拠点へ帰るのだ。そしてシュラインで、三つの祝福を自分に反映させなさい。

 

 世界の片隅には、三人の隠者たちが住んでいる。彼ら全員を見つけだして、幸運と分別と威力の祝福、三つを獲得するのだ。それらはあなたの歩行を遅くさせ、旅を難しくさせるだけでなく、あなたの敵も引き寄せる。あなたは三人の隠者と会うために、王の巡礼路をできるだけ早く歩くのがよい。体は補助の技法を受けつけないが、いくつものルーン門を利用し、最後には拠点へ帰るのだ。
 巡礼の途中で死ぬと、体に帯びていた祝福は失われ、旅は失敗となる。あなたの宿敵たちは、あなたが王位を求めたときに、それを知って、巡礼を妨害しに来るだろう。あなたに信頼できる仲間たちがいて、分別と幸運と威力に恵まれていれば、旅は順調に進み、巡礼を終わらせられるだろう。

 

 三つの祝福を獲得したなら、あなたのシティに帰り、レルム憲章を使いなさい。パレスが建築されて、あなたのライフ樹は防護され、あなたによる、地方の新しい統治が始まるだろう。

 

固有名詞一覧

 

《あ》:アーダン(Ardan)、アエアインス(Aerynth)
《い》:威力(Power)、隠者(Hermits)
《う》:ウィザード(Wizards)、運命の剣(Blade of Destiny)
《え》:エルフ(Elves)
《お》:王の巡礼路(King's Path)

 

《か》:神(Gods)
《き》:宮殿(Palaces)
《こ》:幸運(Fortune)、ゴールド(Gold)

 

《し》:シティ(Cities)、シャドウベイン(Shadowbane)、シュライン(Shrines)
《せ》:全父(All-Father)

 

《ち》:地界(World)
《て》:天使(Archons)

 

《は》:背信者(Traitor)、パレス(Palaces)
《ひ》:人の子(Sons of Men)、悲涙戦役(War of Tears)
《ふ》:分別(Wisdom)、分別の隠者(Hermit of Wisdom)

 

《ゆ》:勇士(Champions)

 

《ら》:ライフ樹(Tree of Life)
《り》:リソース(Resources)
《る》:ルーン門(Runegates)
《れ》:レルム憲章(Realm Charters)