シャドウベインの背景世界

惜しくもサービスが停止されたオンラインRPG、Shadowbaneに関する世界設定の翻訳

隠者ファラモン

 迷える魂よ、安穏の土地によくぞ参られた。ここであなたは休息をとり、戦いに備え、兵士を集められるだろう。あなたは今、聖なる場所に立っているのであり、天使たちじしんが、ここに血が流れないことを定めたのだ。休憩か物資の補充が目的ならば、わたしの仲間たちに言いなさい。
 力を求めに来たのであれば、わたしが多くのことを説明しよう。新しい時代こと帝位時代が始まった。わたしの耳は神がみの声を聞いた。今のわたしは、神がみから恩恵を受けるための、最良といえる方法を知っている。神がみの名において、王位を得る方法についても同じだ。

 

―あなたは誰ですか―

 

 わたしの名前はファラモン。卑しい隠者として生きてきた。天変地異のあとに途絶えた神がみの声を、一日も欠かすことなく聞きとろうとしている。
 しばしば、わたしは彼らの存在を感じ、天使たちらしきものが夢と幻視に現れた。だが彼らは、自分たちのもつ意思を、アーダンが行進を始めるときまで隠してきた。それは四散した全土が、死滅の出現と冥界の怒りによって、衝撃を受けたときまでのことである。
 恐怖にひるんだとき、わたしは声を聞いた。それは天上の音楽といえるような、らっぱの美しい音色を連想させた。そのときのことを思い出すと、今でも涙がこみあげてくる。

 

「喜びなさい、謙虚な探究者よ」声はそう言った。
「立ち上がりなさい。あなたの逃亡は終わったのです。影のかなたへ、恨みを抱えた冥后のいる、オブリヴィオン島へ行きなさい。そこであなたは、災禍を経て忘れられた、聖なる廃墟を見つけるでしょう。死者の土地にあっても天界の光が差す、そこはもっとも神聖な場所です。
 あなたはそこにとどまり、たずねてきた者たち全員に、あなたが見たことすべてを伝えなさい」

 

 そして、わたしは幻影を見た。見たこともないほどすばらしい宮殿が、諸塔とともに、空を貫かんばかりの壮大さでそびえ立っていた。領国王と大領国王、そして帝王が、神がみの意志にもとづいて、新しい王座を要求していたのだ。
 わたしは、一世紀ぶりに神的存在に触れられ、祝福を受けた僧侶たちを見た。わたしは、天変地異で死ななかった神がみを見た。彼らは地界を去ったが、ふたたび、わたしたちを見てくれているのだ。わたしは、神がみの祝福を要求するに値し、祝福をともないながら、王座を要求する者たちも見た。  

 

―なぜ、この場所は特別なのですか―

 

 では教えよう。この場所が神聖な理由は、聖騎士が訪れたからであり、これらの石は、天使たちの光で輝いている。

 

 数千年まえまで、この地域一帯はアエアインスの一部だった。混沌の軍勢が侵略に現れ、人びとを苦しめたとき、エルフの女王イスリアナは、運命の剣ことシャドウベインを手に入れた。それは、策謀と裏切りを用いたものではあったが。イスリアナは、彼女を愛したベレグントに呪われた。そして、彼女の領地はアエアインスから奪われ、死者の徘徊する冷たい土地、オビリヴィオンに捨てられたのである。
 だがこの滅びた土地は、まだ影のなかに消えていなかった。砂浜に打ちあげられた流木のように、深淵の冷たい片隅に残ったのである。したがって、深淵はそこからすべての命を吸いあげた。

 

 さらに数千年がすぎて、それらの土地は、深淵の片隅でしおれつづけた。そこに住む者たちすべての体は、邪悪で醜い姿に変形した。恨みをもつ多くの魂がそこに捕らえられ、骨と塵による新しい体を作った。イスリアナは冥后になり、彼女の家来たちはヴァンパイアかガウント、あるいは別の化け物になった。
 このようなおぞましい光景は、数世紀後に、ブラックハマーが来るときまでつづいた。

 

 あなたは、カエリク・ブラックハマーの名前を知っているだろうか。まさに彼は、古き時代における偉大な英雄であった。聖剣探究で、カエリクは自分のもつ徳に従って、世界の境界を越え、この荒廃した土地に着いた。そして全力を尽くして、死者の群と戦ったのである。
 わたしたちの立つ小さな廃墟で、カンブリュワンの勇士、カエリクのもとに貴天使テルラネルが訪れた。天使はカエリクを、荒廃した土地から連れ出そうとしたが、カエリクは拒否した。なぜなら、この騎士はカンブリュワン王から与えられた使命を、自分の命よりも重んじていたからである。カエリクは、あまりにも立派で徳のある人物であったため、天使は彼を見捨てられなかった。
 したがって、カエリクは天使から祝福を受け取り、聖騎士となった。それから数世紀がたったが、彼に並ぶ者は現れていない。テルラネルの優美さは、この場所にある塵と石にしみ込んでおり、今日でも残存している。
 ついに骸布兄弟団は、このしおれた土地をアエアインスに出現させた。そのため、すべての人びとがわたしたちの立つ、聖なる場所を訪れられるようになったのである。最初に来たのはわたしであり、ここでカエリクをたたえ、柱を立てた。
 あなたがここでわたしと同じく、平和を享受し、霊感を得られますように。あなたがかつての聖騎士と同じく、死滅軍団と戦う力を見つけられますように。

 

―どのようにすれば、王冠を獲得できるのですか―

 

 力を探しているのだな。では聞きなさい。支配者になるための道のりは長く、危険に満ちているのだから。世界中で神がみの意志が働いており、人びとはそれから霊感を得られる。カンブリュワン王が死んだため、生者たちはふたたび神がみの委任を受け、アエアインスの支配を要求できるようになった。

 

 支配者になる者はまず謙虚になり、報酬を目的として卑しい道を歩く。分裂した全土を旅して、各地にいる三人の隠者に会うのだ。彼ら迷える魂たちは、王権のもつ権能と危険性についてよく知っている。王権とは、威力と分別と幸運の三つである。
 一人は、ここオブリヴィオン島にいる。もう一人は混沌の温床、メイルストロム島に。最後の一人は、さまざまな神秘の眠る砂漠にいる。領域の支配を望むならば、まずリールム憲章を手に入れ、次に三つの祝福を獲得しなさい。そして故郷に戻り、そこで憲章を制定すればよい。

 

 だが気をつけなさい。統治は祝福と同じように、大きな重荷となる。しかも、祝福は呪いともいえるものだからだ。祝福を受けているとき、あなたの体は転移と召喚をふくむ、補助の技法を受けつけない。ルーン門は利用できるが、あなたが死ぬと祝福はなくなる。あなたは自分の足とルーン門だけを使って、三人の隠者と会わなければならない。そして、最初の祝福が刻限を迎え、失われるまえに、故郷へ戻るのだ。
 しかし用心しなさい。あなたにとって、宿敵といえる者たちが旅の妨害に現れるだろう。これは試練である。それを通過すれば、故郷の周りにある領域は、あなたのものとなる。あなたが天使たちに導かれ、隠者たちから知識を授かりますように。

 

固有名詞一覧

 

《あ》:アーダン(Ardan)、アエアインス(Aerynth)
《い》:イスリアナ(Ithriana)、威力(Power)、隠者(Hermits)
《う》:ヴァンパイア(Vampires)、運命の剣(Sword of Destiny)
《え》:エルフ(Elvish)
《お》:オブリヴィオン島(Oblivion

 

《か》:骸布兄弟団(Brothers of the Shroud)、ガウント(Gaunts)、カエリク・ブラックハマー(Caeric Blackhammer)、神(Gods)、カンブリュワン(Cambruin)、カンブリュワンの勇士(Champion of Cambruin)
《き》:宮殿(Palaces)
《こ》:幸運(Fortune)、混沌(Chaos)

 

《さ》:災禍(Scourge)
《し》:死滅(Oblivion)、シャドウベイン(Shadowbane)、死滅軍団(Unholy Legion)、深淵(Void)
《せ》:聖剣探究(Quest for the Sword)、聖騎士(Paladin)

 

《た》:大領国王(Kings)
《ち》:地界(World)
《て》:帝位時代(Age of Crowns)、帝王(Conquerors)、テルラネル〔貴天使〕(Teluranel, Archon of Grace)、天界(Heaven)、天使(Archons)、天変地異(Turning)

 

《ふ》:ブラックハマー(Blackhammer)、分別(Wisdom)
《へ》:ベレグント(Beregund)
《ふ》:ファラモン〔隠者〕(Pharamond the Hermit)

 

《め》:冥界(Void)、冥后(Lich-Queen)、メイルストロム島(Maelstrom)

 

《り》:リールム憲章(Realm Charter)、領国王(Barons)
《る》:ルーン門(Runegates)