読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

シャドウベインの背景世界

惜しくもサービスが停止されたオンラインRPG、Shadowbaneに関する世界設定の翻訳

ハーフジャイアントの物語

f:id:AzuhikoDaidaiboshi:20160704021320j:plain

 ご、ご機嫌うるわしゅうございます、旦那さま。旦那さまが今夜の広間で、どうどうたるご勇姿をひろうしてくださったことに、私は感激しております。壁にかかったそれらのつづれ織りは、この場にふさわしくありませんでした。
 私でございますか。私は芸人アグラモンと申します。熟練のバードであり、当宮廷の召使いで…いいえ、それは過去の話でございます。もはや私は、ネストル・フェアウインド公爵に仕えておりません。もちろんでございます。あの男は臆病で、豚と変わりがありませんでした。間違いなく彼は、二度と旦那さまのまえに、姿を現さないでしょう。
 本当に、旦那さまの剛力…と優れた知性は、この土地を栄えさせることでしょう。旦那さまと、旦那さまと同じく大きな体をもつ、ご友人さま方がやってきたとき、フェアウインド公は仰天していました。皆さま方が彼をこらしめたのは、この卑しく小さな国にとって、最上の対応といえるでしょう。
 おっと、卑しい国と言ってしまいました。とんでもございません。聡明なウォーリアーである旦那さまは、征服したこの土地に、とどまるべきだと思います。つまり、旦那さまは無能な統治者に代わって、この国を発展させることができるからです。
 どうか武器を向けないでください、尊いお方。フェアウインド公は、私がもつ吟遊楽人の能力を評価して、私を雇用しました。私は旦那さまがお食事をとる際に、旦那さまの偉大さをたたえて、歌をうたうことができます。いかがでしょうか。ああ、私のびわが壊れていたとは。どうかお構いなく、ご主人さま。別の楽器を見つけますので。

 

 どうかご容赦を。なぜ私が口を動かしつづけるのか、頭がおかしいのか、そうおたずねになりますか。私は、私の奉仕がご主人さまにとって、本当に高い価値があることを、保証します。なぜなら、ご主人さまがご自身のことを知るのに、とても役立つからです。お悩みになる必要などござません。これはこれは、おいしそうなぶどう酒でございますね。ささ、私に上着をお渡しください。きれいにしておきます。
 さきほど申しあげましたとおり、伝説と歴史の先例なくして、どのウォーリアーが奮い立つでしょうか。ご主人さまのような征服者にとっても、ご自身の偉大さを正しく理解するには、比較するための、基準が必要となります。
 征服活動をお止めになる時期は、考えておられましたか。私は偉業と英雄をたたえる、無数の詩曲と物語について、今までの歴史に生まれたものを、すべて熟知しております。詩曲はお嫌いなのですね。問題ありません。最上の物語は、まったく律動を必要としないからです。ところで、ご主人さまの護衛さま方は、見事な斧槍をお持ちになられていますね、と賛辞を述べさせていただきます。

 

 さて、私たちは一体どこにいるのでしょうか。それはもちろん、英雄たちがいた歴史のなかです。私はご主人さまが血まみれになったとしても、おそばから離れません。ご主人さまは、ハーフジャイアントでございましょうか。いいえ、けっしてけだものなどとは言っておりません。間違いなく。低俗な呼び方ですし、私はそのような言葉を好みません。
 自信をもって言えます。ジャイアントの血を引く人びとの、何百人もが、さまざまな偉業を成しとげ、歴史に名前を刻みました。ご存じのとおり、別にいる地界の子供たちとは違い、ハーフジャイアントには固有の歴史がありません。だからといって、皆さま方が軽視される理由はないのです。
 まったく反対に、賞賛されるべきです。出自のよくないハーフジャイアントが、自分の国家を建てることはまれでした。しかし彼らは、ヒトとエルフの歴史において、消えない跡を残しています。当然ながら、ハーフジャイアントの大規模な集団が、王国を統治したこともありました。
 鉄波団の名前は聞いたことがあるでしょう。ご主人さまにはお仲間方がいますから、この集団に関する話には、興味をもつと思います。さて、彼らのことについては、どの程度ご存じでしょうか。
 大王の台頭よりも、前にあった出来事です。ソーウェンフェルス国の王は、戦争のさなか、自国の防衛を目的として、巨体を誇る、屈強な傭兵たちを雇いました。しかし、傭兵たちの頭目ゴルラッドは、方針の違いから国軍の上官と衝突します。なぜこのようなことが起こり、ソーウェンフェルス国が荒廃したのか、ご主人さまはご存じでしょうか。
 ゴルラッドが失敗した理由を聞かなければ、彼と同じように、悲劇的な結末を迎えてしまいます。皆さま方といえど、そのような危険をおかしたくないでしょう。

 

 もう一度言います。決して悪口ではありません。当然のことながら、ご主人さまはゴルラッドより賢いです。目を見れば分かります。ご主人さまは、狼将軍ダンヴォールに匹敵すると思います。彼のことはご存じですか。ダンヴォールは、最も知性的なハーフジャイアントとして有名です。
 十王国で最も小さな国のひとつ、ガンド国にて、兵士だったダンヴォールは才能を発揮し、またたく間に出世しました。堕天神モーロックと彼に従うオークたちとの戦い、灰塵戦役において、ダンヴォールは天才的な戦術をみせています。ジャイアントの血をもつ者たちの大半が、兵士を務めますが、コマンダーになる者たちも、少数ですが現れました。ジャグレドパスの戦いで、ダンヴォールが見せた偽装退却からの攻撃は、最高といえる戦術のひとつとして、賞賛されています。歴史学者たちは、彼の活躍なしで戦局がくつがえることは、ありえなかったといいました。
 いずれご主人さまの名声は、ダンヴォールのものを超えるでしょう。さきほどご主人さまがこの場所、奥の間へ行った突撃は、見事なものでしたから。

 

 もちろん他にも、さらに有名なハーフジャイアントの英雄たちがいます。例えば、カンブリュワンの勇士隊で最初の成員として、隊員用の陣羽織を着た、赤騎士ゴンデグレインです。ご主人さまも、彼のことはご存じかと思います。現代でも巡礼者たちは、このハーフジャイアントがカンブリュワンと出会い、対決した場所に生えていた、赤柳に立ち寄ります。
 二人は馬上槍試合を行いました。若い王が強力な一撃を放つと、ゴンデグレインは馬上から突き飛ばされ、木に勢いよくぶつかりました。このとき倒れた木には、彼が着ていた、赤い鎧の塗料がこすれついており、今でも見ることができます。まだひげの生えそろっていない、少年に打ち負かされたあと、ゴンデグレインは、カンブリュワンの忠実な家来になりました。
 ゴンデグレインの性格には問題があったため、彼は正式な騎士号を得られませんでした。しかし数多くの物語によって、彼の勇敢さが伝えられています。ゴンデグレインの、戦場における戦いぶりは猛烈で、彼の勇気に疑う余地はなかったといいます。ですが、彼が人びとに最高の勇気を示したのは、人生の最期を迎えるときでした。
 ゴンデグレインは、ウィザードのローガノンにだまされてしまい、自分の兄弟である、ガムリンを殺害しました。この事実に気がついたとき、赤騎士は深く反省します。そして、彼は王の恩赦を辞退して、勇士殺害の罪を償うべく、進んで死刑を受けました。こうしてゴンデグレインは、王の腹心となる勇士隊でさえも、大王国の法律で裁かれることを証明したのです。ゴンデグレイン卿が彼の死後とはいえ、正式な騎士に叙されたことを、付け加えておきましょう。なんとも感動的な話ではありませんか。

 

 もちろん人びとのなかには、自ら死を選んだゴンデグレインのことを、あざける者もいます。彼らにとっては正しい感想なのでしょうが、私に言わせれば頭の悪い発言です。忠節自体は人に失敗をもたらさないと、私は考えます。
 古代において不滅帝国に忍び込み、ヒトとティターンを脱走させた英雄、解放者トーヴァガウの名前はよく知られています。しかし、捕縛されそうになったトーヴァガウを守り、奴隷たちを反乱に導いた人物がいたことは、あまり知られていません。この偉大なハーフジャイアントの奴隷、救出者ウウルゴームについては、ご存じでしょうか。彼の活躍は語りつくせないほどあります。
 ウウルゴームは解放者への恩義を忘れず、戦時だけでなく平時も、エサイリア国にて彼に仕えました。お止めください。どうか落ち着いてください、大きなご主人さま。当然ながら、ご主人さまは主導者であり、家来などではありません。ご主人さまの偉大さは、よく存じ上げております。

 

 指導者たち向けに、有名なハーフジャイントの紹介をつづけます。高地の民、グウェンダネン人の族長、オルウェン・オルリドワネを忘れるところでした。
 オルウェンは災禍戦役のさなか、アルゴラムの攻囲戦で、戦局をくつがえした人物です。彼は大型の戦槌で魔神の一人、醜怪神ヴラナクスクサスに怪我を負わせました。オルウェンはヴラナクスクサスに殺害される直前、魔神がもつ皮のない顔に、つばをはいたそうです。
 私は北方人の英雄、スーラギン・ストレクソンの詩曲と解釈も、習得しました。スーラギンは、アイスワイアームを殺害した人物ですが、彼の偉業は他にもあります。クトリク・グレムスコールのかたき討ちとして、北方人はジャイアントと長い戦争を行いました。このとき、古老ユームルの息子たちを殺害したのは、 スーラギンだったといわれています。
 これらの物語は、きっとお気に召すことでしょう。やはりそうでしたか。とはいえ私には、まだうたう用意ができておりません。これらは見事な詩です。ご主人さまは、韻文と律動に聞き入ることでしょう。準備の後にひろうするつもりです。

 

 当然ながら、歴史上のハーフジャイアントすべてが、英雄と呼ばれたわけではありません。ラムオーン国の脅威、黒賊ハグノールについて思い出してください。カエリク・ブラックハマーが、シャドウベインを持ち帰る途中に、戦った人物です。
 カエリクの恋人、エロイーズを殺害したハグノールは、彼自身の命で償わされました。しかしハグノールには、普通の背丈をもついとこがいたのです。そのヘネグリムという騎士は、大王の家来だったため、カエリクは怒りをこらえました。彼らの不和が、大王国を破滅させたともいわれています。
 数多くの年代記に、エサイリア国の六代目国王、残酷王アイヴァードの悪評が記されました。残忍な性格をもつ彼は、たびたび拷問を行ったそうです。疑い深いアイヴァ―ドは、諸封臣の子供たちを人質にとりました。人質のなかには、王がもつ気性の激しさにより、手足を切断された者もいたそうです。
 北方人のあいだで、尊敬されないハーフジャイアントがいました。ルーン神秘の精通者、殺戮者ヴィドゥアアはクトリクに対し、数年のあいだ忠実に仕えたといいます。しかし、のちに彼は英雄といえるクトリクを、ユームルの息子たちに売り渡しました。
 このバーバリアンは大藩王になり、裏切りの報酬として短いあいだ、インヴォアア人の全氏族を支配しました。彼を最後に、大藩王の称号は空位のままです。言い伝えによると、クトリクの親族がかたきを討ち、ヴィドゥアアの骨を風にまいたそうです。
 支配者であるご主人さまにとって、彼らは何の参考にもならないでしょう。ご主人さまは、彼らよりもずっと高貴な人物であると、私は思うからです。

 

 ハーフジャイアントについて、もっと知りたいですか。よく聞いてくださいました。ハーフジャイアントの英雄たちが、しきりにたたえられる一方で、わずかながら種族の考察が行われました。ある学者の集団はハーフジャイアントのことを、アエルフボーンやシェイドと同じ、ヒトの劣った傍流とみなしています。
 どうか落ち着いてください、善良なご主人さま。もう一度、いすにおかけくだい。これは彼らの考えであって、私のものではありません。彼らは間違っています。一目見て分かるように、ハーフジャイアントは、決して劣った傍流といえません。では、なぜ平凡なヒトから、巨体と怪力をもつ子供が生まれるのか。それには諸説があります。そしてそれぞれの物語が、興味深い内容をもっています。

 

 もっとも古いと思われる物語に、ハーフシャイアントという名称の由来があります。凍てつく北方のバーバリアンこと、インヴォアア人のあいだにある話です。彼らのあいだでみられる、ジャイアントの血筋は、ヨトゥンスブルトと呼ばれていました。
 北方人のスカルたちが、古くからうたってきたことがあります。ティターンのトーヴァルドは、アーダンの楽園を去ったあと、引き連れてきたインヴォアア人とともに、北方の土地を征服しました。そこが、彼らの新しい故郷となります。
 いつしか、北方人の父は冬の母を抑圧し、彼に従う人びとを、アールヴァルとの激しい戦いへ導きました。アールヴァルとは、彼らの言葉でエルフを意味しており、ダールケレグールあるいは、氷の貴族とも呼ばれています。トーヴァルドと北方人の英雄たちが、遠くの土地で戦っているとき、故郷は安全ではありませんでした。北方のアイスジャイアントことヨトゥンが、防備の薄い村むらにやってきたからです。
 ジャイアントの目的は、征服でも殺りくでもありませんでした。それらの代わりとして、彼らは邸宅に火を放ち、人びとを捕まえ、高い山のいただきにある、大きな砦へ連れていきました。ここで囚人たちは、ジャイアントの悲しみを知ります。

 

 北方人のサガによると、極北大地のエルフと戦ったのは、北方人が初めてではありません。北方人よりも数年ほどまえに、ジャイアントはアールヴァルと戦い、負けていたのです。本来、戦闘で猛威をふるうジャイアントは、不滅帝国のエルフたちにより、強力な呪術をかけられ、弱体化していました。
 最後の戦闘が終わり、勝利を確実なものにしたあと、ダールケレグールのウィザードは、ジャイアントに呪縛をかけました。それは、かつてアーダン国のヒトにかけられ、彼らを衰退させたものに、類似していたそうです。血を汚染するこの呪文は、ジャイアント種族の絶滅を目的として、考案されました。健康に生まれるジャイアントは、百人に一人となりました。残りの新生児は障害をともなうか、早期に死亡し、あるいは故郷から追放されました。このような問題から、ジャイアントは滅亡の危機にひんしていたのです。
 ジャイアントのすみかで、インヴォアア人の囚人たちは、彼らを捕まえたジャイアントたちと、交配させられました。生まれた少数の子供が、ヒトの体格と同じで、大半の子供がジャイアントよりわずかに低い、背丈と筋力に恵まれました。こうして、ジャイアント種族は生きのびましたが、彼らは報復を受けることになります。

 

 トーヴァルドとヒーロゴー、さらに北方のウォーリアーたちは、エルフに勝利しました。しかし、彼らが帰郷したとき、村むらは廃墟になっていて、ジャイアントの裏切りが明らかとなったのです。その後、北方人たちは仲間を取り返し、ヒトの姿をした、ジャイアントの血を引く子供たちも、連れていきました。
 これらの子供たちがもつ背丈は、北方人の平均と変わりませんでした。ですが、のちに彼らがもうけた子供たちは、ジャイアントの血を示し、成人したときに、最初のハーフジャイアントとなりました。それ以来、彼らの言葉によると、北方人の氏族にはジャイアントの血が流れています。そして彼らを通じて、他にいる人の子にも、この血筋が広まったそうです。
 ただし、時間の経過とともに血は薄まり、今日のハーフジャイアントたちは、古いヨトゥン後裔よりも背丈が低いです。現代において、ジャイアントの血がはっきり表れる者は、ほとんどみられません。多くの世代にわたり、間隔を空けなければ、この血筋は明示されないのです。
 ジャイアントとエルフの両方が、北方人の伝承を否定しました。ですが、インヴォアア人は今も宴会場で、この言い伝えを語らいます。ご主人さまは、北方人が恥ずべき捕虜から生まれた、ハーフジャイアントを憎んだり、軽蔑したと思いますか。トーヴァルドの子供たちは、腕力を何よりも尊んでいました。そして、彼らは戦いに勝ち、生き抜くために、慣例よりも実益を選んだのです。北方人のあいだでハーフジャイアントはたたえられ、しばしば、彼らは藩王や氏族長になりました。

 

 多くの人びとが、北方人とヨトゥン後裔にまつわる伝承を、信じています。ですが、ハーフジャイアントのことを混血の生物でない、純粋なヒトとみなす者たちもいます。杖の書におけるいくつかの節に、興味深い記述があります。
 失われた国の貴重な記録、アーダン国の寓話で、著者はこう記しました。「そのころ、ヒトとジャイアントに違いはなく、ヒトには、確かにティターンの血が流れていた」同じ節のあとでは、アーダン国のヒトが、エルフと戦ったとも書かれています。そしてそこには、「ジャイアントの筋力をもって」という言葉もみられます。実際に、ティターンたちがもった最初の子供たちは、審判の讃美歌で、「木に近い背丈だった」と描写されています。
 これらの節を根拠に、学者たちはハーフジャイアントのことを、ティターンの血が濃く反映された、ヒトにすぎないと考えました。そして、エルフの沸血呪詛が原因で、ヒトは本来の姿をなくしたと発表しました。この見解によると、アーダン人とティターンに違いはなく、アーダン人の背丈は、現在のヒトよりも高かったことになります。
 近年では、ハーフジャイアントの出生数が増えています。呪術師たちはそれを証拠に挙げ、エルフによる、呪いが解けたのだと力説しました。数世紀のうちに、すべてのヒトがハーフジャイアントの体格で生まれ、アーダン国の栄光が取り戻されるかもしれません。
 最年長のウィザードでさえ、実際にアーダン国のヒトを見たとは、主張しません。一方でエルフたちは、アーダン人と争闘時代のヒトについて、何も違いがないと断言しています。しかし、エルフが敵に嘘をつくことで、たった一度でも、良心を痛めたことがあるでしょうか。

 

 神聖教会の成員に広く支持されている、別の見解もあります。ハーフジャイアントはヒトと同質ですが、高い背丈と怪力の要因として、出生のまえに授けられた、聖なる力が挙げられました。
列王時代の後期に、アルヴァエティア国で内乱がありました。神聖教会の教皇ヘべローンは、ハーフジャイアントのクラリウスに聖油を塗り、彼を正当な王と認め、平和を実現しています。
 教皇は、式典でこのような宣言を行いました。「全父こと栄えある王は、自らがもった子供たちのあいだに、少数の特別な人びとを置かれました。そして、父は彼らにひときわ大きな体と、それにふさわしい、魂の清浄さをお与えになったのです。まさしく彼ら巨大人は、全父がお示しになった、理想的な造形に他なりません」
 ヘベローンによるハーフジャイアントの解釈は、火教会にも取り入れられました。火教会の学者たちは、ハーフジャイアントを天使に祝福され、剛力を授かった、最上位のヒトと認めています。今日ではハーフジャイアントだけが、ヒトの追従を許さない、超越した存在なのかもしれません。ご主人さまが期待するとおり、多くのハーフジャイアントが、これらの説を気に入り、自分たちが祝福されていると考えます。もちろん私も、これが事実だと思います。

 

 これらの他にも、さまざまな説があります。嘘つきの学者たちは、ハーフジャイアントの起源が、隷属期にあると主張しています。これは、不滅帝国がヒトを奴隷としていたときのことです。彼らの発表によると、エルフは一部の奴隷たちを交配して、忠実に働く、大柄で賢い奴隷を作ろうとしました。
 労働と戦闘に従事させるため、新しい種族を作り出すことは、初めてとなる困難な試みだったそうです。伝承学者たちによれば、この過程でエルフは呪術も利用し、それがミノタウロスの生成に結びつきました。

 

 イアイドヌ人の呪術師と学者たちは、まったく異なる説を唱えています。多くの証拠によって、否定されたものではありますが。彼らの研究者たちによると、ハーフジャイアントは災禍戦役が始まるときまで、存在しなかったそうです。
 黒い肌の賢人たちは、人の子が混沌の勢力によって汚染され、彼らの子孫に影響が出たと考えました。それはヒトが災禍戦役で、エルフならびにケンタウロスと、共闘していたときのことです。グロボルドは、ヒトの歪曲された形態です。イアイドヌ人はそれと同様に、ハーフジャイアントが発生した原因は、混沌にあるとみなしました。
 この仮説を提唱した人びとは、ハーフジャイアントの低い知性と、混沌による汚染を結びつけました。イアイドヌ人は、ハーフジャイアントを劣等なものとみなしたため、彼らの支配領域では、豪傑たちが迫害されてきました。
 落ち着いてください、善良なご主人さま。大声を出さないでください。私はただのバードにすぎません。正誤に関わらず、さまざまな物語をお伝えしただけです。誤解されないでください。イアイドヌ人には賛同しません。どうかお願いします。剣を収めてください。侮辱ではありません。ご主人さまは私に、ハーフジャイアントの物語を聞いたのではありませんか。

 

 お許しくださるのですか。お仕えをつづけても良いのですね。ふう。助かった。

 

 固有名詞一覧

 

《あ》:アーダン国(Ardan)、アーダン国の寓話(Parables of Ardan)、アーダン人(Ardani)、アーダンの楽園(Blessed Realm of Ardan)、アールヴァル(Alfar)、アイヴァード〔残酷王〕(Ivard the Grim)、アイスジャイアント(Ice Giants)、アイスワイアーム(Ice Wyrm)、アエルフボーン(Aelfborn)、赤柳(Red Willow)、アグラモン〔芸人〕(Agramont the Artiste)、アルヴァエティア国(Alvaetia)、アルゴラム(Algoram)
《い》:イアイドヌ人(Irydnu)、インヴォアア人(Invorri)
《う》:ウィザード(Wizard)、ヴィドゥアア〔殺戮者〕(Vidurr the Slayer)、ウウルゴーム〔救出者〕(Vurgom, Breaker of Chains)、ウォーリアー(Warriors)、ヴラナクスクサス〔醜怪神〕(Vranaxxas the Flayed God)
《え》:英雄(Heroes)、エサイリア国(Ethyria)、エルフ(Elves)、エロイーズ(Heloise)
《お》:オーク(Orcs)、オルウェン・オルリドワネ(Olwenn Orridwane)

 

《か》:灰塵戦役(War of Ashes)、カエリク・ブラックハマー(Caeric Blackhammer)、ガムリン(Gamlin)、ガンド国(Ghand)、カンブリュワンの勇士隊(Cambruin's Champions)
《き》:教皇(Patriarch)、極北大地(Uttermost North)、巨大人(Giant Men)
《く》:グウェンダネン人(Gwendannen)、クトリク・グレムスコール(Cuthric Grimskold)、クラリウス(Clarius)、グロボルド(Grobolds)
《こ》:公爵(Dukes)、豪傑(Brutes)、氷の貴族(High Ice Lords)、コマンダー(Commanders)、ゴルラッド(Golrudd)、ゴンデグレイン〔赤騎士〕(Gondegrain the Red Knight)、混沌(Chaos)

 

《さ》:災禍戦役(War of the Scourge)、サガ(Sagas)
《し》:シェイド(Shades)、時間(Time)、氏族長(Chieftains)、ジャイアント(Giants)、ジャグレドパスの戦い(Battle of Jagred Pass)、シャドウベイン(Shadowbane)、十王国(Ten Kingdoms)、呪縛(Curse)、神聖教会(Holy Church)、審判の讃美歌(Psalms of Reckoning)
《す》:スーラギン・ストレクソン(Shragin Storichsson)、スカル(Skalds)
《せ》:全父(All-Father)
《そ》:争闘時代(Age of Strife)、ソーウェンフェルス国(Sorwenfells)

 

《た》:ダールケレグール(Dar Khelegur,)、大王(High King)、大王国(High Kingdom)、大藩王(Thane of Thanes)、堕天神(Fallen Gods)、ダンヴォール〔狼将軍〕(Danvor the Wolf)
《ち》:地界の子供(Children of the World)
《つ》:杖の書(Book of Staves)
《て》:ティターン(Titans)、鉄波団(Iron Avalanche)、天使(Archons)
《と》:トーヴァガウ〔解放者〕(Torvagau the Liberator)、トーヴァルド(Torvald)

 

《ね》:ネストル・フェアウインド(Nestor Fairwind)

 

《は》:バード(Bards)、バーバリアン(Barbarians)、ハーフジャイアント(Half Giants)、ハグノール〔黒賊〕(Hagnor the Black)、藩王(Thanes)
《ひ》:ヒーロゴー(Herogar)、火教会(Temple of the Cleansing Flame)、ヒト(Men)、人の子(Sons of Men)
《ふ》:沸血呪詛(Blood Curse)、不滅帝国(Deathless Empire)、冬の母(Mother of Winter)
《へ》:ヘネグリム(Henegrim)、ヘベローン(Heberon)
《ほ》:北方(North)、北方人(Northmen)、北方人の父(Father of the Northmen)

 

《ま》:魔神(Dark Lords)
《み》:ミノタウロス(Minotaurs)
《も》:モーロック(Morloch)

 

《ゆ》:勇士(Champions)、ユームル〔古老〕(Ymur the Old)
《よ》:ヨトゥン(Joten)、ヨトゥン後裔(Jotenkinder)、ヨトゥンスブルト(Jotensblut)

 

《ら》:ラムオーン国(Lambourne)
《れ》:隷属期(Cruel Years)、列王時代(Age of Kings
《る》:ルーン神秘(Rune Lore)
《ろ》:ローガノン(Lorgannon)