シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

トラヴェラーの物語[未改訂版](Traveller Narrative [Unrevised Version])

f:id:AzuhikoDaidaiboshi:20160724190444j:plain

 こちらは、没設定を残している古い版の記事になります。訳者による改訂版は、こちらのリンク先になります。

トラヴェラーの物語 - シャドウベインの背景世界

 

f:id:AzuhikoDaidaiboshi:20180517185941j:plain

 上にある二つの画像を見比べてください。挿絵の画像にある建造物が、スクリーンショットと共通していることが見てとれます。この建造物のスクリーンショットは、開発の初期に公開されたものであり、変更が加えられました。そのため、プレイヤーたちが、じっさいに目撃することはありませんでした。そして、残念ながら、トラヴェラーの物語と挿絵は刷新されなかったのです。

 

 下の画像が、正式に採用されたモデルです。

f:id:AzuhikoDaidaiboshi:20180517193847j:plain

 

 天変地異後56年
メリッサル市会館 紅玉呪術師団 最高の智者こと図書室長
識者ヴェスパル さま

 

 謹んで報告いたします。

 

 ご命令にもとづいて、わたしは、以前から当団が関心をもっていた遺跡について、二年ほど調査に努めました。いくつものルーンが刻まれている、これらの石柱は謎めいているものでした。おおくの長い旅行をおこない、さらに、学術的あるいは風説的ともいえる、雑多な情報の正確性について議論しました。こうして、わたしたちは、任務の始めに受けていた、図書室長どのからの疑問に解答を出しました。数か月いないには、さらにおおくの成果を用意できます。
 わたしじしんの足で、この知らせをもっていけないことを、残念に思います。その代わりに、天変地異で失われたと思われた、ソルウェンフェルス王国のオンディフェル塔で、わたしは手紙を書いています。どうかご容赦ください。

 

 柱の謎かけについて、解答を示します。適切な状態におかれれば、二つの柱のあいだで、呪術的な波動が出入口の溝を作ります。意外なことに、これらの門は、天変地異で地界が崩壊したあとでさえも、機能しています。わたしは、これらの遺跡を活用して、散開した諸陸片を横断する方法を、解明しました。じっさいに、一度の旅をおこないましたが、すぐに、新しい旅を試みる予定です。他の諸陸片に、居住に適した環境があるかは不明です。
 ここの住人たちは、これらの柱をルーン門として言及しています。オンディフェル塔の智者たちと歴史学者たちは、推測しました。かれらによれば、遺跡は、冥界の外側にある諸次元と交信するため、あるいは、諸次元じたいへ移動するための装置です。しかし、証拠は乏しく、矛盾する理論はおおいです。とはいえ、わたしは、もうひとつの疑問に答えを出せます。この発見は、図書室長どのを満足させられるでしょう。
 白夜時代のエルフたちにより、柱が建てられたというトルンボ氏の理論と、ある確実な証拠は矛盾しています。わたしは、オンディフェル塔の図書室で、ドラゴンが目ざめるまえとなる白夜時代の初期に、エルフが書いた本をみつけました。上古においてさえも、ルーン門は、エルフたちに星塔と呼ばれ、恐れられていました。わたしたちと同様に、かれらも遺跡をとてつもなく古いものと認め、当惑していたようです。いずれにせよ、エルフではない、別の古い種族が建設したと考えられます。トルンボ氏との長い討論は、図書室長どのの勝利で終わることでしょう。

 

  なんとか、ルーン門についておおくのことを知りましたが、これらの発見が手紙に収まりきらないことを、残念に思います。古くからの友よ、あなたたちがこれを読むまえに、何人の人びとに盗み読みされるか心配です。信頼できる連絡役を育てられたら、すぐに、よりおおくの情報を送ります。わたしは、トラヴェラーという、新しい呪術師団を創設するつもりです。かれらはルーン門の謎を解明し、陸片どうしのあいだで渡し役になるでしょう。
 ルーン門の起動は困難な仕事であり、相当な集中と複雑な儀式が要求されます。どうやら、すべてのルーン門で、数ある目的地への経路が開けるようです。諸経路のそれぞれが特定の目的地へ通じます。しかし、秘密の保持者たちにヴィナマル鍵と呼ばれる、アダマント製の奇妙で古い装置を使えば、行き先を調整できます。この装置は門じたいと同じくらい古く、どのように作られたのかは判明していません。
 適切に設定されることで、ヴィナマル鍵は奇妙にはたらき、ルーン門を開放します。鍵によっては特定の門だけで機能しますが、その一方で、他の鍵は、あらゆる門において経路の行き先を切り替えます。門と目的地がもつ法則は複雑であるため、わたしは、一部の機能しか確認できていません。オフィンデル塔にあった太古の秘本には、門とかかわりのある、白銀経路の図版について触れられていました。しかし、残念ながら、その資料は散逸したようです。この古い図版がみつかるときまでは、ルーン門について、どのような記述がされていたのか、答えることはできません。

 

 わたしはもうひとつの秘密を明らかにしました。天変地異のあとに存在が明るみとなった、有翼人こと、アラコイックスの起源と性質についての結論です。アラコイックスたちが、別の世界から、ルーン門を通り抜けて到来したということを、わたしは確信しました。
 わたしは、アラコイックスの呪術師であるネヴォンド氏から、ヴィナマル鍵を使う儀式と、ルーン門の開きかたを学びました。かれのおかげで横断術師団が誕生するでしょう。この知識については、責任を重んじながら、慎重に保持しなければなりません。
 天変地異によって大地は分裂しましたが、それらの横断が可能になると言えます。しかし、アラコイックスたちは、ルーン門を使う旅行の危険性について、わたしに警告しました。アラコイックスたちの言葉によれば、陸地のいくつかは、混沌能か死滅能に汚染されています。しかも、ルーン門は、古い時代の災禍戦役と同様に、侵略者たちの侵入経路になりうるそうです。
 さらにネヴォンド氏は、アラコイックスたちは、冒険者としてわたしたちの住む地界に来たのではない、と言いました。かれらは、名前さえ知らない、何かから避難してきたそうです。ネヴォンド氏のほのめかしによれば、ルーン門は別の力を秘めています。つまり、わたしたちの把握している門の機能は、取るに足らないもののようです。ルーン門は慎重に扱わなければなりません。トラヴェラーたちは、この強力な機能を使うために、責任を負う努力をしなければならないのです。

 

 さらにおおくの秘密を解明していき、図書室長どのに報告する予定です。この手紙が、古くからの友でもあるあなたへ、無事に届きますように。期待していてください。すぐに、わたしは大量の驚異をともないながら、あなたのもとに帰還するでしょう。わたしの成功をお祈りください。

 

図書室長どのの卑しい使用人こと熱心な生徒
紅玉呪術師団 博士 蒼古アンギルリオール

 

用語一覧

 

《あ》:アラコイックス(Aracoix)、アンギルリオール〔蒼古〕(Angillior the Blue)
《う》:ヴィナマル鍵(Vinammar)、ヴェスパル〔識者〕(Vespar the Erudite)
《え》:エルフ(Elf)
《お》:横断術師団(Order of Travelers)、オンディフェル塔(Tower of Ondiphel)

 

《こ》:紅玉呪術師団(Carnelian Order)、混沌能(Chaos)

 

《さ》:災禍戦役(War of the Scourge)
《し》:死滅能(Darkness)、呪術師団(Order of Magecraf)、上古(Elder Days)、白銀経路(Silver Pathways)
《せ》:生徒(Apprentice
《そ》:ソルウェンフェルス国(Kingdom of Sorwenfells)

 

《ち》:地界(World)、智者(Magus)
《て》:天変地異(Turning)
《と》:トラヴェラー(Traveler)、ドラゴン(Dragon)、トルンボ(Trumbo)

 

《ね》:ネヴォンド(Nevond)

 

《は》:博士(Adeptus Major)、白夜時代(Age of Twilight)
《ほ》:星塔(Star Spire)

 

《め》:冥界(Void)、メリッサル市(Mellissar)

 

《ゆ》:有翼人(Birdman)

 

《る》:ルーン(Rune)、ルーン門(Runegate)
《れ》:歴史学者(Scholar)