大きくどっしりしていて、恐ろしい容貌を持つこの生物は、沼地の奥に生息しているが、探索に数週間を費やしたにも関わらず、実際に彼らを目撃することはできなかった。しかし、痕跡は発見できた。熱帯雨林の中で私は、広大な範囲の地面が踏み固められていて、海漂林の太い木々が彼らの堅い皮膚と、私の手ほどもある大きさの鱗に削られていることを確認した。それだけでなく、スクレル、リザードマン、野生化したヒトなど、各種族が築いた集落の廃墟と、その場所に多くの死体を発見したが、私はそれらをバジリスクの襲撃によるものと断定した。
呪術師と学者たちは、彼らの起源に関して解明の糸口を見つけようとしたが、バジリスクの頑丈さと怪力、さらに有毒な息と恐ろしい視線にことごとく阻まれてきた。研究者の中には、バジリスクをドレイクの一種に分類する者もいるが、私は両種の関係はそのように単純なものではないと考える。爬虫類が守る名前のない遺跡で、私は壁面画と彫像を調べたが、作品の描写においてはリザードマンとバジリスクが敵対せずに並んでおり、さらにその側にはサーペントと異様な姿の怪物もあった。よって私は、爬虫類人文明の呪術師が、元となる爬虫類の形質に変化を与え、バジリスクを誕生させたと推測する。付け加えると、彼らの文明は非常に古いといわれており、私たちの文明よりもさらに古いと考える学者も少なくない。
生息地:沼地
生態:警戒心が強く、群を作らない
危険性:非常に高い
用語一覧
《さ》:サーペント(Serpent)
《す》:スクレル(Skrell)
《と》: ドレイク(Drake)
《は》:バジリスク(Basilisk) 、爬虫類人文明(Reptilian Civilization)
《ひ》:ヒト(Human)
《ゆ》:有鱗種(Scaly One)