シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

サヴァントの体験記(Savant Narrative)

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 おまえがなぜここに来たのかは、聞かなくてもわかる。おれは、おまえがもつ心の疑問を聞ける。さらに、おまえの内側にある、欲望を感じとることもできるからだ。おちつけ。おまえじしんの心にとどまれば、おれの言うことを、ほんとうに聞くことができるだろう。

 

 思念をとおすことで、思考が運動を始める。思念とは、現実の下部にある秩序を映す水晶体であり、おれはその秩序を見る。おまえは何も言わなくても、おれにおおくのことを明らかにした。おれは、おまえが育てたおまえがもつ気の中に対して、意識集中をおこなえる。おまえがおまえの脳内に送った、思考の様式を聞くこともできる。
 この世界でウォーロックと呼ばれている連中は、おまえにおおくのことを教えた。ウォーロックたちは、おまえのことを神と呼び、滅びつつある世界の、継承者であると教えたはずだ。だが、それは嘘だ。
 ウォーロックたちが慎重に隠しながら扱う、ウォーロックリー術がある。しかし、それはかれらの心から生じた驚異ではないし、かれらがもつ、空想上の神がみから贈られたものでもない。このようなウォーロックリー術は、わたしたちの種族が古代に考案した科学の、ゆがんだ残響である。それは異世界遠征のさいに、拷問によって盗まれたものだ。
 かれらから習ったことを捨てて、サヴァントになれ。そのようにした者たちはたくさんいる。

 

 おれとおまえはアラコイックスだ。しかし、おまえは、この名称が肉と血による形質、あるいは血統にもとづくものではないことを、忘れてはならない。アラコイックスとは、認識と感覚からなる存在だ。おまえはおまえの心を働かせて、存在を完成させなければならない。そうしなければ、おまえは、たんなる羽をもつ動物のままだ。
 故郷世界にいる、アヴィアンの熟練者たちについて聞け。かれらだけが認識の錯覚を超えて、現実の明白な秩序こと、フラクシャイヤを見れる心をもつ。アラックは、最初に秩序を見た人物であり、かれは、宇宙と現実を製作した、最古存在たちの手細工を知覚した。
 アラックを模範とし、自意識を捨てて、砂漠における砂の一粒になれ。頭上の雨雲から落ちる、しずくのひとつにもなれ。無数の生物から、おまえの物質的な肉体が成りたっている。そして、それら細胞のすべてが、おまえの心がもつ、子供じみた欲望を満たすために、活動しているのだ。心を静め、自分の意志を自分じしんに向けて、原初的な欲望と野心を捨てろ。そうすれば、おまえは宇宙の細胞になれる。
 帝国の意志に対する服従も、これと同じだ。真のアラコイックスたちは、わたしたちを内包する、屈強な肉体の細胞となる。そして、その肉体は、宇宙の運命さえも操作するのだ。

 

 おれは、おおくのことを教えられる。おれは、心を無にするための方法として、記憶にかかわる秘訣と連祷を示せる。現実のなかに隠された秩序に対し、思考を協調させる技術も伝えよう。それらを実践したとき、おまえは、全アラコイックスのあいだにあって、おれたちを完全へ導く、共通意識を発見するだろう。
 おれは、物理的かつ霊的な力を、共通意識から引きだす方法を教えられる。おれたちサヴァントが仲間のアラコイックスたちに、その力を分与する技術も示せる。
さらに、おまえが超凝視を学べば、無秩序な心をもつものたちの意思を壊して、それを混沌に投げいれられるようになるだろう。
 おまえにとって、ウォーロックとして歩んできた道のりは、ただの始まりにすぎない。帝国を奉じ、サヴァントになる方法を学べ。おれは、おまえに道の終わりを見せるだろう。

 

用語一覧

 

《あ》:アヴィアン(Avian)、アラコイックス(Aracoix)、アラック(Arack)
《い》:異世界遠征(Expeditionaries)、意識集中(Focus)
《う》:ウォーロック(Warlock)、ウォーロックリー術(Warlockry)、宇宙(Universe)、運命(Destiny)

 

《か》:神(God)
《き》:共通意識(Overmind)
《こ》:故郷世界(Homeworld)、混沌(Chaos)

 

《さ》:最古存在(Old One)、サヴァント(Savant)
《し》:思念(Will)

 

《ち》:秩序(Order)、超凝視(Stare)

 

《ふ》:フラクシャイヤ(Hrak'shiya)