シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

サモナーの体験記(Summoner Narrative)

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杖の書、第5章41節から47節まで:

 

41:かくて全父新たに象られたまふた地界へ降りて御父の栄光はこの上で輝きたまへり
42:御父信寄せる随伴神ら鍛冶神トゥーリン狩猟神ケーナリュン戦争神マローグも御父とともに来たれり
43:地界の面は歪で虚しく観たるとも喜べるもの何一つあらず
44:かくて全父馬の真名を歌ひて御父の思念より浮かびし獣の心象から最初の馬が象られり
45:次に御父猟犬の真名を呼びて猟犬が現れり
46:順次に全父獣と草木および地界の諸物の真名を全て歌ひてここに貴き鷹から卑しき蟻および海原のリヴァイアサンまでそれら全てが象られり
47:ここに全父命得た地界を存在と呼びけるが御父の働き手はまだ象られず

 

 白夜時代の初期に、エルフの呪術師たちは、あらゆる動物と野獣が、強大な力を保持する、真名をもっていることを発見した。そして、エルフの呪術師たちは、地界における、あらゆる事物の名前をみつけ始めた。こうして、智者たちは生物を呼びだして命令するようになり、呪術の強力な支流である、サモニング術の技芸が生まれた。
 太古のサモナーたちは、より強大な使役対象を求めていき、何度もそれらを呼びだし、ついには、冥界の住人さえ召喚した。かれらはジンや魔界のインプだけでなく、天使さえも呼びだすことに成功した。動物か野獣の真名を知るには、熱心な研究と正確な占いが必要であり、鋭い直観も要求される。地界における諸物の真名の大半が、古い時代に、エルフの呪術師たちによって記録された。しかし、残念ながら、それらの多くは散逸したか、あるいは破棄されてしまった。

 

 サモニング術の極意は、神秘的な言葉である真名を、記述されただけのものにしないことである。名づけられたものすべてに真名があり、それを、三回にわたり連続で適切に呼べば、対象に無視されることはない。サモナーが、意識を集中して真名を呼ぶことにより、その名前をもつ使役獣は宙から出現する。サモニング術を成功させるには、強い意志が要求される。なぜなら、使役獣は召喚に抵抗するため、召喚者は、かれらを強引に引き寄せなければならないからだ。
 意志の競り合いで負けたサモナーについては、暗い噂がささやかれている。そのようなサモナーの心は消耗により壊れるか、あるいは、かれらじしんが地界から消えて、二度と目撃されなくなるそうだ。大きなものおよび強いものの召喚は難しく、同様に、対象が見つかる場所との距離に比例して、確保は厳しいものになる。
 呼びだされた獣は召喚者に制御されるが、問題がおきることもある。すべての獣が意識を振り絞って抵抗するため、召喚者の集中がとぎれたときばあい、狂暴な獣に襲われる。強力な獣には逃げだす傾向があり、制御を離れた獣は、周辺を見境なく破壊するだろう。「手に負えない獣は呼びだすな」は、サモナーが最初に学ぶ教えであり、それを守らない者は被害を受ける。

 

 サモニング術が生まれた当時から、賢者たちのあいだで、呼びだした獣がもつ真名をめぐる、激しい論争があった。召喚者が呼びだした獣は、あらかじめ地界のどこかにいたのだろうか。杖の書によれば、全父は獣を新しく生みだしたが、サモナーが召喚したものも同じなのだろうか。実験と議論で得られた答えは少なかった。しかし、天変地異がおきたあとの衝撃的な発見は、信頼のおける新しい視点をもたらした。
 真名が呼ばれたときに、適切な獣が作成されることで、宇宙そのものが反応するようだ。このような理由から、はみだしもののサモナーたちは、まったく新しい獣を作成する力をもったと、主張している。キメラやマンティコアのような醜い獣は、コンジュリング術という、新しい技芸から生まれた。奇妙なことに、古い記録によれば、白夜時代においても、類似した実験が企てられたようだが、それらはすべて失敗した。なぜ、現代で実験が成功したのかはわからず、呪術結社ではさまざまな学説が討議されいる。コンジュラーたちじしんは、その秘密を明かしていない。

 

用語一覧(サモナーの物語)

 

《い》:インプ(Imp)
《う》:宇宙(Universe
《え》:エルフ(Elf)

 

《き》:技芸(Art)、キメラ(Chimera)
《け》:賢者(Wise)
《こ》:コンジュラー(Conjurer)、コンジュリング術(Conjuring)

 

《さ》:サモニング術(Summoning)
《し》:呪術結社(Conclaves of Magi)、ジン(Jinn)
《せ》:全父(Book of Staves)

 

《ち》:地界(World)、智者(Magus)
《て》:天使(Archon)、天変地異(Turning)

 

《は》:白夜時代(Age of Twilight)

 

《ま》:魔界(Chaos)、真名(True Name)、マンティコア(Manticore)

 

《め》:冥界(Void)

 

用語一覧(杖の書)

 

《け》:ケーナリュン〔狩猟神〕(Kenaryn the Hunter)

 

《す》:随伴神(Companion)
《せ》:全父(All-Father)

 

《ち》:地界(World)
《つ》:杖の書(Book of Staves)
《と》:トゥーリン[鍛冶神](Thurin the Shaper)

 

《ま》:真名(True Name)、マローグ[戦争神](Malog the Warrior)

 

《り》:リヴァイアサン(Leviathan)