志願者よ、後ろへ振り向き、向こう側にある世界をみろ。罪と悪および狂気が横行しているのが、わかるだろう。混沌能と邪術の、両方から生じた怪物たちは、大地を荒した。かれらによって、以前は豊富にあった田畑の上には、大量の血が染みこみ、多くの死体が置き去りにされた。
人の子たちは、全父の選抜勇士こと、上級王カンブリュワンを受けいれた。しかし、かれを裏切って殺害し、地界の滅亡ともいえる、天変地異を引きおこした。災いの刺突が放たれたことで、全父の御声は聞こえなくなり、悪行が野放しに広がっている。裂け分かれた地界は、死にゆく獣のように血を流し、うめき声をあげている。つまり、おぞましい怪物たちや不浄の未開人たち、さらに、悪人の暴政が充満しているのだ。
よく見ておけ。これが、テンプラーたちの全員が戦わなければならない、暗黒だ。おまえが生きている限り、おれたちは、おまえをその世界へ送りこむ。
覚えておけ。光は暗闇の中でも輝きつづける。後ろを振り向き、浄火会と聖なる任務の、両方の象徴である、浄火を見ろ。外科医には、患者の壊死した部分を、切除しなければならないときがある。それと同様に、おまえも、不信心者と異端者および、悔い改めない罪人を、打ち倒さなければならない。白熱した鉄は傷口を塞ぎ、出血を止める。それと同様に、おまえの努力は地界の傷を癒し、苦痛をとおして回復をもたらす。
テンプラーであるおまえは、正義の兵士および絶対正義の道標として、奉仕しなければならない。霊魂が十分に強ければ、おまえの信仰は奇跡をおこすだろう。絶対正義における要求と利得の両方を重んじろ。そして、おまえは、邪悪かつ無価値な敵たちを打ち倒さなければならない。おまえの良心および兄弟であるコンフェッサーたちは、善悪を正しく区別して示すだろう。
おまえの歩む道は、決して平坦なものにはならない。おまえは、人びとに恐れられるようになるうえに、魔界の手先たちは宿敵となり、おまえを襲うだろう。どんな困難があろうとも、おまえは、自分の誓約に忠実でなければならない。信仰箇条を片時も忘れるな。そして、全父の恩恵がおまえを輝かせますように。
心の中で、浄火を明るく燃やしつづければ、おまえも福者に列せられる。そして、懲罰をあたえる天使の翼で上昇し、剣から聖なる浄火を放つだろう。地界における病および不純の、全部が焼き尽くされたときのみ、全父はお喜びなり、お顔を振り向けてくれる。そして、天界の諸門を開いてくださり、御父に選ばれた報復者である、おれたちだけが、報いを受けられる
志願者よ、おまえじしんの信仰に目を向けろ。最後の試験が始まるのだから。おれがもっているものは、白く輝くまで熱された責務の焼印だ。これは、神殿の中心部で燃えている、聖火にかざされたものだ。おまえの胸とその奥にある心臓に対し、この焼印を押し当てるときがきた。軍団の象徴である燃焼剣の印を、永遠に残すためだ。
焼印の向かい側にある心が本物ならば、炎の熱が全身の血管を駆けめぐる。そして、おまえは炎を恐れなくなるのだ。もしも、おまえの心が偽物ならば、求めていた浄火によって、おまえは焼かれるだろう。強く立ちつづけて、悲鳴をあげるな。弱さを見せれば、破滅することになる。全父と無私者こと聖マローンならびに、天界の天使たちが、おまえの魂を見守りますように。
用語一覧
《あ》：暗黒（Darkness）
《か》：カンブリュワン［上級王］（High King Cambruin）
《こ》：混沌能（Chaos）、コンフェッサー（Confessor）
《し》：志願者（Aspirant）、浄火（Cleansing Flame）、浄火会（Order）、信仰箇条（Articles of Faith）
《せ》：聖火（Sacred Flame）、正義（Justice）、責務の焼印（Brand of Duty）、絶対正義（Righteousness）、全父（All-Father）、全父の選抜勇士（All-Father's Chosen Champion）
《ち》：地界（World）
《て》：天界（Heaven）、天使（Archon）、テンプラー（Templar）、天変地異（Turning）
《ね》：燃焼剣の印（Sign of the Burning Sword）
《ひ》：光（Light）、人の子（Son of Men）
《ふ》：福者（Blessed）
《ま》：魔界（Chaos）、マローン［無私者こと聖］（Saint Malorn the Just）
《れ》：霊魂（Spirit）
《わ》：災いの刺突（Woeful Stroke）
