ケンタウロスやミノタウロスと同様に、アラコイックスの身体は、ヒトと動物を統合した姿をもっている。かれらのばあいは、鷹もしくは鷲の特徴があるといえる。有翼者たちの体は、ヒトのものによく似ている。しかし、両肩と繋がっている鳥類の大きな頭部、ならびに、両肩から生えている幅の広い両翼は、ヒトと大きく異なる。アラコイックスに体毛はないが、厚い羽毛によって、頭部と羽、前腕と胸の上部、胴体の中部と脚の下部が、覆われている。
アラコイックスは、ヒトよりも高い身長をもつうえに、骨格が大きいため、かれらの外見は飛行に適していない印象を与える。しかし、実際には飛行が可能である。アラコイックスの羽毛がもつ色は、赤か茶もしくは黒である。かれらの顔は鷹に類似しており、大きく鋭い目と、曲がったくちばしをもつ。アラコイックスの骨は非常に軽いため、同程度の体格をもつヒトと比べたばあい、体重は少ない。異常生物たちの多くは、アラコイックスの骨がもつ、軽さおよび弾力性に着目した。かれらはこの骨を素材として、武器および防具を作成する。
アラコイックスがもつ最大の特徴は、飛行能力であるといえるだろう。有翼者たちがもつ幅広の両翼は、かれらが武装していたばあいでも、問題なく飛行させることが可能である。アラコイックスの飛行速度は、ヒトの走行速度を上まわっており、疾走している馬でさえも追い抜く。このような特徴をもってはいるが、アラコイックスは、明確に鳥よりもヒトに近い。
アラコイックスは、羽ばたきよりも滑空を多くおこない、鷹のような急降下と曲芸飛行はできない。アラコイックスにとって、飛行は移動手段にすぎず、戦闘へ入るまえには、地上へ戻らなければならない。多くの鳥類とは異なり、アラコイックスのばあいは、地面に足を置いている時間が、生活の大部分を占めている。アラコイックスがもつ飛行能力は、鳥類のものに比べて劣っているが、かれらにとっても、地形が障害になることはない。有翼者たちは狩猟に向く翼を使い、カラスのように飛行するため、地上にいるどのような軍隊よりも速く移動できる。
アラコイックスは、エルフがもつ、素早さおよび器用さに対抗できる、唯一の種族であるうえに、驚くほど怪力である。飛行には、平均的なハーフジャイアント以上の持久力が欠かせない。しかし、アラコイックスたちのなかには、十分な持久力をもつ者たちがいる。
初めのころ、アラコイックスは誤解されて、野蛮だと思われた。かれらのくちばしでは、地界におけるどの言語も発音できないうえに、強情な態度をとって、交渉を拒否したためである。しかし、近年における世界人類は、さまざまな発見をとおして、アラコイックスに対する認識を改めた。有翼者たちは、心性と霊性において、人の子と同程度に高度であり、建設および道具の製作に長けていたのである。
アラコイックスの沈黙はようやく破られた。最新の報告によると、アラコイックスが、自分の思考を、受け手の心へ直接に投射できることが判明した。訓練をおこなえば、かれらは、地界の諸生物が認識可能な形へ、自分の思考を形成する技術を獲得できる。多くの人びとがアラコイックスたちと交流をもち、友人関係を結ぶようになった。そして、有翼者たちがかれらの本性としてもつ、本当の表象が浮かびあがってきたのである。
用語一覧
《あ》:アラコイックス(Aracoix)
《い》:異常生物(Twisted Breed)
《え》:エルフ(Elf)
《け》:ケンタウロス(Centaur)
《し》:時間(Time)、持久力(Stamina)、心性(Mind)
《せ》:世界人類(Child of the World)
《ち》:地界(World)
《は》:ハーフジャイアント(Half Giant)
《ひ》:ヒト(Human)、人の子(Son of Men)
《み》:ミノタウロス(Minotaur)
《ゆ》:有翼者(Birdman)
《れ》:霊性(Spirit)