シェイドは、彼らの両親である、ヒトの習俗に従っているため、独自の文化を発達させていない。一世紀におよぶ迫害にもかかわらず、シェイドは、今も人の子のあいだで暮らしている。シェイドには、特有の習俗がほとんど存在しないが、彼らの出現は、ヒトの文化に大きな影響を与えた。
天変地異の直後に行われた、人間性を冒とくする多くの儀式が、シェイドを生みだした。シェイドに対して、除霊の技は効果がみられず、彼らは火あぶりを受けたあとに、問題なく蘇生した。したがって、追放が、シェイドへの最適な対処方法とされた。
シェイドは嫌われているが、人びとに混じって居住することを、大半の都市で容認されている。人数は少ないが、シェイドと交際をもつヒトもいる。シェイドの発生を防ぐために、ヒーラーとメイジは、さまざまな研究を始めた。研究者たちの主張によれば、断食と祈り、異国産のろうそくと香料、悪臭を放つ薬と呪術の護符などが、死滅能を遠ざける。
このような死産予防師には、シェイドたちじしんも就業し、当事者ならではの視点を持ちこんだ。死産予防師たちの用いる方法については、有効性が証明されていない。死産予防師たちは、慈善家として賞賛されることもあるが、欲深い偽医者とみなされる場合もある。
人びとに恐れられたことにより、シェイドは、迷信の網でがんじがらめとなった。容器の使いまわしと肌の接触ならびに、シェイドに出くわすことは、不運をもたらすと信じられている。とはいえ、実際のシェイドは、悪霊のような存在ではない。
シェイドは死を恐れないばかりか、彼らのなかには、死に対して、特異な解釈をもつ者たちもいる。アサシンやローグとして働くシェイドは、自分たちの悪評を利用し、脅迫と略奪を行ってきた。このようなシェイドたちは、イレケイとは違い、仕事をしていない場合は、無闇に人を怖がらせない。
天変地異の直後に生まれた、もっとも古いシェイドたちは、とりわけ異質な存在である。このシェイドたちは、迫害と審問の標的になりつづけたため、ヒトの文明を憎むようになった。彼らはヒトの都市で、幽霊のように潜伏していて、過去の仕打ちを根に持ちながら、恐怖をまき散らしている。
このような異常幽鬼は霊媒幽鬼とも呼ばれており、亡霊と話しながら、闇の力を操作するといれている。噂によれば、霊媒幽鬼たちは狂気を抱えていて、幻視と自分のものでない悪夢に、いつもうなされている。
用語一覧
《あ》:アサシン(Assassins)
《い》:異常幽鬼(Aberrant Shades)、イレケイ(Irekei)
《し》:シェイド(Shades)、死産予防師(Shadow Chasers)、死滅能(Death)
《て》:天変地異(Turning)
《に》:人間性(Humanity)
《ひ》:ヒーラー(Healers)、ヒト(Human)、人の子(Sons of Men)
《め》:メイジ(Magicians)
《れ》:霊媒幽鬼(Shadow Lords)
《ろ》:ローグ(Rogues)