シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

Werewolf Trainer (ウェアウルフの訓練士)

 怖いのか。嘘をつくな。おまえからは恐怖の匂いがする。なぜ、おれを探していた。ただのヒトであることに満足していないのか。二本だけでは脚が足りないのか。

ウェアウルフについて話してください。

 おれたちの諸群と走りたいなら、これを知っておけ。地界における大規模な構造は無に帰り、悲運じたいが綻びた。裏切りと反逆は、原初のときから地界を苦しめた。つまり、全父と同神の反乱者たちが、地界の正統な支配者たちに対して、攻撃し始めたということだ。
 おれの話は異端的か。おまえは気にいらないのか。それならば、逃げたあとにテンプラーを連れてきて、おれを火あぶりにしようとすればよい。だが、テンプラーには、おれに黒い心臓を食べられないようにしろと、警告しておけ。

 ここにとどまるようだな。よいぞ。おまえには、野獣の前に立つための十分な勇気がある。おまえは、おれたちの諸群と走るのに必要な程度の、力および賢明さを、もっているのだろうか。後でわかるだろう。

 では、最初のウェアウルフである、大狩人セシェートについて、おまえが学ぶときがきた。全父じしんの孫であるセシェートは、剛健な人物であり、かれの父こと戦争半神ゴルムのように、強く猛烈だった。 
 初めのころは、セシェートは民の守護者だった。かれは、部族を養うために、狩猟で原生林の中を広く歩き回り、さらに、下劣な怪物たちならびに混沌の隷属者たちを、放逐した。戦闘への愛は、セシェートがもつ心の中で強く、かれは追跡を好み、何よりも狩猟を愛していた。セシェートは、原生林における野獣たちの観察に数年を費やして、かれらが実践する狩猟方法および隠密行動を、学んだ。

 セシェートは、地界において最も狩猟に適する野獣を探して、歳月を費やし、最終的に見つけた。それは、冬における冷酷な殺害者たちこと、狼たちだった。セシェートは、何年にもわたって、強大な群の中で片隅に身を潜めながら、狼たちと共に走り、共に狩猟をおこなった。
 走っているうちに、セシェートは故郷を忘れ、民を忘れ、自分の名前さえも忘れた。最終的に、セシェートは、ヒトの言語を完全に忘れたこと、ならびに、自分が狼になったことに、気がついた。充実した時間のなかで、セシェート・ウルフウォーカーは、多くの挑戦を破って、最終的には群の先導者になった。
 ある出来事がおきるときまでは、群は、奇妙な星ぼしが見える遠くの諸土地を、歩き回った。

「自分のものでない脚で、わたしの前を歩く者よ、おまえは何者だ」と、声が聞こえた。セシェートは振り返り、熊よりも大きくてヒトよりも狡猾である、強大で狡猾な獣主こと、狼の主を見た。
「おまえからは、恐怖と本性の匂いがするぞ、ヒトの子供よ」と、狼の主は言った。
「なぜ、おまえはその姿形を盗んだのか。なぜ、おまえは、おまえの子供たちでなく、おれの子供たちと走るのか」

 セシェートは即座にヒトの姿へ戻り、強大な狼の主に対して頭を下げた。
「強大な獣主よ」と、セシェートは言った。「わたしは、地界で最も優れた狩人になりたかっただけです」

「おまえがおれより優れることはない」と、狼の主は言った。「度胸があるなら、おれと一緒に走れ」

 こうして、セシェートは、長いあいだ狼の主の側で走り、地界の構造、ならびに、地界の均衡における美を、同神に見せられた。次に、セシェートと狼の主は、セシェートが生まれた土地へ行った。同地で、セシェートは、貪欲なヒトたちが飢えを満たすために、略奪した森と濁らせた湖、ならびに、虐殺した動物たちを、見た。

「これがおまえの地界だ」と、狼の主は不機嫌そうに言った。「全父の野心がどれほど空虚なものか、おまえにわかるか」。セシェートは見た。
「おれが、ヘラジカからネズミにまでおよぶ、被食動物の諸群を、調整して均衡を保つように、おまえにも獲物たちがいる。最も優れた狩人になりたいのなら、最も優れた獲物を追いかけろ。ヒトを狩る狩人になれ」

「そうします」。セシェートは、選択が自分を狂わせることを知らずに、言った。

 ヒトたちの生き方は悪であり、全父による大規模な実験は失敗した。諸世界が粉砕されたことが、その証拠だ。すべての自然が、ヒトたちがもつ鉄の踵の下で、うめき声を上げている。ヒトの手が、呪われた刃ことシャドウベインで、世界樹を切り裂いた。そして、ブライアラ女神がもった真の子供である、おれたちには、かの女の悲鳴が今でも聞こえている。
 全父は、自然の摂理から完全に外れさせるために、ヒトを獣の上に置いた。羊か鹿が多すぎるときに、何が、頭数を調整して維持するのか。狼だ。ヒトを間引くときが来た。この間引きは、ただの獣がもつ能力の限界を超えている。だから、最も危険な捕食者だけが、この仕事を果たせる。

 まだ怖いのか。違うのか。ならば、おまえの血が内包している野獣の、上等な歌を聞いて、月の光でおまえの魂に火をつけろ。共に走り、共に狩りをおこない、群に加われ。おまえにできるならば。


[あなたがウェアウルフであるばあいは、訓練を受けられます]
あなたはウェアウルフになれないので、訓練を受けられません


どうすればウェアウルフになれますか。

 ヒトたちの愚行によって壊されたので、ブライアラ女神は苦痛のなかで悲鳴をあげている。おまえに聞こえるか。ブライアラ女神の体が壊されたうえに、忌まわしい行為によってかの女の血が毒された。さらに悪いことに、わたしたちの母を裏切った同族がいる。
 ヴァルテュルという男は、北方におけるインヴォア人のあいだで暮らしている。さらに、南方の原生林で、狼部族と呼ばれるアルフボーンたちを、集結させている姿が目撃された。ヴァルテュルの裏切りに仕返しをおこなえば、おまえが内包している激昂が生起するだろう。

分野の訓練を行う:ウェアウルフ
終了

 

用語一覧

《あ》:アルフボーン(Aelfborn)
《い》:インヴォア人(Invorri)
《う》:ヴァルテュル(Valtyr)、ウェアウルフ(Werewolf)
《お》:狼の主(Wolf)、狼部族(Tribe of the Wolf)

《け》:激昂(Rage)
《こ》:ゴルム[戦争半神](Gorum the War God)、混沌(Chaos)

《し》:シャドウベイン(Shadowbane)、獣主(Beast Lord)
《せ》:世界樹(World Tree)、セシェート[大狩人](Sesheth the Hunter)、セシェート・ウルフウォーカー(Sesheth Wolf-walker)、全父(All-Father)

《つ》:月(Moon)
《て》:テンプラー(Templar)
《と》:地界(World)

《な》:南方(South)

《ひ》:悲運(Fate)、ヒト(Man)
《ふ》:ブライアラ(Braialla)
《ほ》:北方(North)

《や》:野獣(Beast