シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

Mandemus the Mad (マンデムス[狂人])

 わたしは英雄たちを見ているのだろうか。それとも、死を笑う愚か者たちなのだろうか。愚か者め、この先へ行く前に用心しろ。この騒がしい沼では、神の計略が結実して、モルロク逸脱神の力が、あなたを打ち負かすだろう。じっさいに見たので、わたしは、モルロク逸脱神の裏切りを、誰よりもよく知っている。

 夢の中で、ある怪物が複数の意図にもとづき、大破滅を解き放とうとしている光景を、わたしは見た。あらゆる都市が破壊されて血に塗れ、悪魔たちが、あらゆる廃墟の中を徘徊しているのを、わたしは見た。そのうえ、壊れた世界の統治者として、モルロク逸脱神が鉄の冠を被っていた。それから、禊火神殿における以前までの信者仲間たち、ならびに、かれらが築いた世界を、わたしは見た。そして、わたしは、二つの幻を区別できなくなって、涙を流した。
 最初は平和を祈ったが、もう祈りはしない。この土地から出ていけ。あれは悪そのものだ。モルロク逸脱神は、少し前にこの土地へ来て、同地の中心部で、何らかの下劣な超自然術を使用した。モルロク逸脱神は、同神のオークたちに加えて、エッティンたちなどの下劣な連中も、自分のもとへ呼んだ。呼びかけで、メイルストロム島を地底から隆起させた者は、モルロク逸脱神だった。そして、混沌に属する諸軍団の全部が、同神の召喚に応じるために、この土地へ来た。
 じきに門が開き、第二災厄が、わたしたちの全員を、複数におよぶ血の湖へ沈めるだろう。

 モルロク逸脱神は、一人の強力な猛者を選んだ。そして、この人物に破壊神の外観を被せたうえで、何らかの暗い秘密を守るために、かれをこの場所に残した。現在では、異端者たちおよび裏切り者たちが、この土地に集まっている。ベルーヌアス教団の偽聖職者たち、恥知らずな諸ヴォルグリム軍団の戦士たち、ならびに、往古における諸悪の全部。かれらはこの土地に集まり、主人の呼びかけを待っている。

 そして、わたしも待つ。混沌の陣営における計画が成就すれば、すべてが破壊されて、わたしは最後に平和を知るだろう。もう一度言あなたに言う。この土地から出ていけ。帰って残りの人生を楽しめ。全員が破滅するのだから。モルロク魔手がこの土地にいて、かれには誰も抵抗ができない。

あなたは誰ですか。

 マンデムスがわたしの名前であり、前までは慈悲者と呼ばれていた。わたしは、禊火神殿における真紅の鎧を着たうえで、絶対正義および正義のために、モルロク逸脱神の禊火を振り回した。聖マローンのために、わたしは、諸村の全体を炎に覆わせ、異端者たちおよび背教者たちから、罪の告白を引き出した。
 そして、トイルランス大陸の各地で、審官天使が預言者たちへ語り掛けたという、知らせが、ケアハルドラン市に届いた。天界から降臨したかれは、罪および闇に対する、わたしたちの苦闘に、参加することを望んだのだ。わたしは、徹底的な祈祷、ならびに、世界への最終審判をもたらすために、生き聖人さまご自身によって選ばれた。
 わたしたちは、どのように間違っていたのだろうか。

 祈祷に応じた者は官天使ではなかった。破壊神、混沌の従僕、全父に対する裏切り者、ならびに、混沌の手先とも呼ばれる、不具神ことモルロク逸脱神が、応じていたのだ。絶対正義へ人生を費やしてきたわたしは、アエアインスが知る範囲で最強といえる怪物を、鎖から解放してしまったのだ。破壊神は神敵としての支配を始めて、陸地破片から陸地破片へ移動し、罪の砦をいくつも建てた。つまり、同神が通りすぎた跡には、闘争と破壊ならびに恐怖が広められたのだ。わたしはそのすべてを目撃した。
 わたしは自分の鎧を脱ぎ捨て、誓いを破った。なぜなら、それらに値しないからだ。従順者マンデムスとして、わたしは、アエアインスの人びとを、破壊神に向けて奮起させようとしたが、あらゆる局面で失敗した。そして、夢を見るようになり、その後に幻がやってきた。今のわたしは狂人マンデムスであり、罪にもとづいて死に値するが、現在の呪われた時代では、死さえも休息をもたらさない。
 わたしは、破壊神の布告者になって、同神の暗い業績を見て説明するために、生きることを呪いによって強いられている。

ベルーヌアス教徒たちは何者ですか。

 ベルーヌアス教徒たちはもっとも邪悪な異端者だ。ベルーヌアス教徒たちは、あらゆる罪人たちのなかで、もっとも卑劣な存在でもある。なぜなら、昔のエルフたちと同様に、全父へ背を向けたからだ。

 悲惨期においては、すべてのヒトが、不滅帝国の抑圧下で苦しめられていた。脱走したヒトたちに対して、全父への信仰を示し、アルダン領国の忘れられた歴史を伝えたのは、ケンタウロスたちであった。このようにして、人の子たちは盗まれていた運命を取り戻し、ふたたび統合された。
 しかし、迷える魂たちのなかには、アルダン領国を救わなかった全父を、呪う者たちがいた。このような者たちは兵馬の助言を無視して、新しい諸神を探す旅に出た。

 預言者であるベルーに導かれて、背教者たちは、大地と大気ならびに海と火の、諸元素を崇拝した。ベルーたちの教団において、火は、諸元素のあいだで、もっとも高い地位に位置づけられた。同元素が、あらゆる生命における、発生および消滅の原因として、創造および破壊の作用をもつと、理解されたためである。
 ベルーの追従者たちは、ヌアスと名づけた、太陽である偽の神を作りあげた。しかし、ベルーは追従者たちの全員を迷わせた。ヌアス神は存在しない。それは、羅刹たちの母ことハリークルイストゥ逸脱女神であり、異端者たちを弄んで、かれらへ諸力を与えたのだ。
 ベルーヌアス教徒たちは、異教徒であるグウェンダネン人たちのあいだで、避難所を獲得した。そして、同民族は、一時的に、ヌアス神を万神殿へ追加した。
 何世紀にもわたって、太陽を崇拝する者たちは、人間を犠牲とする、汚い諸儀式を実践してきた。全父教会は、ベルーの追従者たちを異端者とみなして糾弾し、かれらを滅ぼそうとした。

 しかし、現在では、ベルーヌアス教団が改革された、あるいは、潜伏を止めた。じっさいに、わたしは見たのだ。黄銅製の、太陽神に属する法衣を着た僧侶たちは、この沼地を放浪している。かれらは、混沌から生まれた怪物たちから、援助を得ようとしている。
 ベルーヌアス教徒たちは愚か者であり、破滅したも同然だ。破壊神は、かれらと同様に全父を憎んでいる。しかし、悪魔将校たちが戻ってきたときには、自分がもつ手先たちの全員を裏切って、死なせるだろう。私はそれを予知した。

ヴォルグリム軍団とは何ですか。

 それは黒い名前であり、昔は大変な名誉を帯びていたが、現在では、罪と混沌ならびに背信で染まっている。ヴォルグリム軍団は、災厄戦争の途中における愚行から生まれた。本来の同軍団は、エルフとヒトの両軍隊における、最高の兵士たちを起源としている。かれら長子種族と人の子が、共通の指揮に従って肩を並べ、戦った場所で結成した、精鋭の軍隊だった。
 ヴォルグリム軍団は、多くの戦線で混沌の陣営による侵攻を阻止した、戦争の中期に、最高の名声を獲得した。シャドウベインが奪還されて戦局が転換したあとに、戦争神マローグは、全父による兵士の招集に応え、長い隠遁から戻ってきた。マローグ神じしんがヴォルグリム軍団の指揮を執り、同軍団を多くの勝利へ導いた。傲慢になったヴォルグリム軍団は、次第に、エルフおよびヒトの王侯たちとの関係を断っていった。そして、同軍団は死と栄光を求めて、強大な将軍だけに従い始めたのだ。

 マローグ神が全父を裏切り、魔界の奈落で破滅させようとしたときに、ヴォルグリム軍団の命運は尽きた。ヴォルグリム軍団の戦士たちは見捨てられ、かれらの邪悪な主人とともに閉じ込められた。マローグ神の裏切りは、ヴォルグリム軍団の名前を永遠に毒した。同軍団についての物語および歌は、意図的に忘れられ、生存した少数の成員たちは離脱した。
 しかし、ヴォルグリム軍団は活動を再開した。マローグ神は破壊神モルロクとして生まれ変わり、アエアインスへ戻ってきた。そして、戦士たちおよび帰依者たちの、混沌に属する両者が、ヴォルグリム軍団の古い装備を着て現れたのだ。
 モルロク逸脱神は、ヴォルグリム軍団の、呪力を帯びた遺物を求めて、遺跡および古い場所を探索している。したがって、一部の人びとは懸念している。この不具神が、同軍団を改革して利用し、アエアインスにおける全部の陸地破片を、征服しようと企んでいるのかもしれないと。
 あなたが、敵たちへどのような損傷を与えても、不可避の破滅が遅れるだけにすぎないことを、わたしは懸念している。

 

用語一覧

《あ》:アエアインス(Aerynth)、悪魔(Demon)、悪魔将校(Banelord)、アルダン領国(Ardan)
《い》:生き聖人(Living Saint)
《う》:ヴォルグリム軍団(Vorgrim Legion)、運命(Destiny)
《え》:英雄(Hero)、エッティン(Ettin)、エルフ(Elf)
《お》:オーク(Orc)

《か》:神(God)、官天使(Archon)
《く》:グウェンダネン人(Gwendannen)
《け》:ケアハルドラン市(Cair Haldoran)、元素(Element)、ケンタウロス(Centaur)
《こ》:混沌(Chaos)

《さ》:最終審判(Judgement)、災厄戦争(War of Scourge)
《し》:慈悲者(Merciful)、シャドウベイン(Shadowbane)、審官天使(Archon of Judgement)、神敵(Terror)
《せ》:絶対正義(Righteousness)、全父(All-Father)、全父教会(Holy Church of the All-Father)

《た》:第二災厄(Second Scourge)、大破滅(Doom)、太陽(Sun)、太陽神(Sun God)
《ち》:長子種族(Firstborn)
《て》:天界(Heaven)
《と》:トイルランス大陸(Tyrranth)

《な》:奈落(Pit)
《ぬ》:ヌアス(Nuath)

《は》:破壊神(Destroyer)、ハリークルイストゥ(Khalikryst)
《ひ》:火(Fire)、悲惨期(Years of Sorrow)、ヒト(Man / Humanity)、人の子(Son of Men)
《ふ》:不具神(Maimed God)、不滅帝国(Deathless Empire
《へ》:兵馬(Horse Lord)、ベルー(Bellugh)、ベルーヌアス(Bellugh Nuath)

《ま》:魔界(Chaos)、マローグ[戦争神](Malog the War God)、マローン[聖](Saint Malorn)、マンデムス[狂人](Mandemus the Mad)、マンデムス[従順者](Mandemus the Meek)
《み》:禊火(Cleansing Flame)、禊火神殿(Temple)
《め》:メイルストロム島(Maelstrom)
《も》:モルロク[破壊神](Morloch the Destroyer)、モルロク魔手(Morloch's Hand)

《ら》:羅刹(Devil-Man)
《り》:陸地破片(fragment)