どのように生きてきたとしても、ヴァンパイアとして、暗黒のために生まれ変わる者たちは、本来の肉体が完全に変化する(※1)。変化する者たちの古い人格は、取り除かれる。肌の色および刺青をともなう皮膚は崩れ落ち、その下からは、花崗岩のように硬くて冷たい体が現れる。
ヴァンパイアは性別的な特徴(※2)を維持しており、恐ろしいほどに美しく、完璧な肉体をもっているようにみえる。青白い肌と赤く輝く目、ならびに、こうもりのような耳は、ヴァンパイアの邪悪な忠誠心を表している。ヴァンパイアの外見はシェイドに似ている。しかし、ヴァンパイアのもつ立派な姿と比較したばあい、シェイドの容姿は未完成の彫刻に見えてしまう。
※1:ヴァンパイアたちの証言にもとづく。
※2:しかし、ヴァンパイアの肉体には魂が欠落しているため、生殖能力は不足している。
何千年ものあいだ、ヴァンパイアがもつ技能および弱点についての、誤った伝承が広まってきた。ヴァンパイアの冷たい血を飲む者は、ヴァンパイアに変わるといわれてきたが、野獣に変化するという説もある。ヴァンパイアは鏡に近づけない、銀に触れたら燃える、地面に敷かれた一握りの塩で、狂気に陥るなどと、ささやかれてきた。伝承によると、ヴァンパイアは太陽の光で燃えたが、天変地異がおきたあとのかれらは、日光を恐れていないようである。
現代のアエアインスでは、大勢のヴァンパイアが歩いている。したがって、かれらがもつ技能と弱点の、両者についての情報は、誤りであったのかもしれない。あるいは、少数のヴァンパイアにしか該当しなかったのであろう。ヴァンパイアの諸技能は謎に包まれているが、智者たちおよび識者たちは、それらのいくつかを解明した。
深淵の奇妙な力が、死体であるヴァンパイアの肉体に注ぎこまれている。それは、かれらに、異様な俊敏さと残忍な強さ、ならびに、超自然的な高い回復力をもたらしている。
死と転生により、古い肉体の限界が取り除かれたため、ヴァンパイアの感覚は鋭敏になり、生前の経験から解放された。しかし、ヴァンパイアは魂を失った。かれらは、強く冷たい、花崗岩のような意思を残しているにもかかわらず、霊性における才能は欠落している。
ヴァンパイアがもつ意思は肉体を動作させているが、かれらは死者であり、呼吸と摂食、ならびに、睡眠をおこなうことはない。ヴァンパイアを殺害することは非常に難しい。かれらのもつ大理石のように硬い肉体は、普通の生物であれば体に穴が開く攻撃にも、耐えられる。ヴァンパイアはあまりにも死ににくいため、かれらの魂を所有している死神が、二重の請求をおこなわないようにもみえる。おぞましい技能である超硬化は、ヴァンパイアを最大限まで頑丈にする。しかし、かすり傷は負いやすいままであり、火と聖なる力には弱い。
用語一覧
《あ》:アエアインス(Aerynth)、暗黒(Darkness)
《う》:ヴァンパイア(Vampire)
《か》:神(God)
《し》:シェイド(Shade)、識者(Loremaster)、死神(Death)、深淵(Void)、真実死(True Death)
《ち》:智者(Magus)、秩序(Law)、超硬化(Fortitude)
《て》:天変地異(Turning)
《ひ》:光(Light)