ハーフジャイアントの容姿は、ヒトのものとは異なる印象をもたせるが、かれらを別の種族とは呼べない。アルフボーンとシェイドは、独自の生き方を示し始めたが、ハーフジャイアントにはそのような兆しが見られない。ハーフジャイアントこと巨獣は、王国もしくは部族で、自分たちの生まれた社会の慣習にならう。そして、同族であるヒトの近くで暮らすことに、不満をもたない。
ハーフジャイアントに対するヒトの態度は、地域によって大きく異なる。北方人のあいだでは怪力が賞賛されるため、しばしば、ハーフジャイアントは、蛮族のなかで高い地位を獲得する。その一方で、イリュドヌ人は、ハーフジャイアントの性質を不幸な奇形とみなし、たいていのばあいは追放する。もしくは、かれらに卑しい仕事をあたえ、永続的に従事させる。
ハーフジャイアントは、圧倒的な強さにくわえて、信じられないほど強靭な肉体をもっている。これらの理由により、かれらが、ウォーリアーいがいの生業を選ぶことは少ない。ブレイドマスターのように、器用な動作を要求される資格は、ハーフジャイアントにまったく適していない。かれらの戦い方は、間合いに入った敵を叩き潰すものである。
諸卑小王国における領主および小貴族のうち、大多数が、少なくとも一人のハーフジャイアントを従えている。このようなハーフジャイアントは、警護兵もしくは指揮官として、主人に奉仕しているのである。軍閥総統たちの全員が、ハーフジャイアントの雇用に積極的である。かれらは、軍隊への編入を目的に、選抜されたハーフジャイアントたちを集め、巨獣隊を創設しようとしているのかもしれない。
十分な訓練を受けたハーフジャイアントの幹部たちが、戦況を好転させることは、ほとんど否定されない。しかし、味方であっても、強力なウォーリアーたちに囲まれることは危険であり、そのような事例が何度も見られた。
大多数のハーフジャイアントは忠誠心をもちにくく、傲慢であり、たいていのヒトよりも野心が強い。何人もの主人たちが、信頼していた腹心の造反に遭い、多くのコマンダーたちは、鉄波隊の逸話を忘れていない。ハーフジャイアントたちで構成された鉄波隊は、ソルウェンフェルス王国を裏切り、国そのものを強奪した。しかも、その後の王国は、一年も経たないうちに滅びた。
大多数のハーフジャイアントがもつ気質は、粗暴なものである。しかし、巨獣たちのなかには、激しい怒りを抑制した者たちもいる。
多くのハーフジャイアントは傑出した地位を獲得し、かれらのなかには英雄になる者たちもいる。主人に忠実で、大義のために力を貸すハーフジャイアントは、賞賛される。バラッド音楽の題材となった、仲間である厳格なハーフジャイアントは、人気がある。ハーフジャイアントには、戦争と冒険において、先頭に立ちたがる傾向があり、じっさいに偉業を達成する。
何人ものウィザードたちが、ハーフジャイアントの出生数が増加していることに、気がついた。一部のプレレイトたちは、ハーフジャイアントが恵まれる体格は、血統ではなく、運命によるものであると信じている。つまり、祖先であるジャイアントの血ではなく、全父による恩恵と愛顧が、巨獣を生むと考えたのである。
この見解によれば、ハーフジャイアントは、かれらの巨体よりも大きな運命をもっている。巨獣が生まれる理由は、地界の歴史において、重要な役割を果たすためなのかもしない。大多数の学者たちは、ハーフジャイアントが、特別な運命をもっていると認めていない。その一方で、領主もしくはダークナイトの、どちらかである巨獣たちは、当然ながら、このような説を好んでいる。
用語一覧
《あ》:アルフボーン(Aelfborn)
《い》:イリュドヌ人(Irydnu)
《う》:ウィザード(Wizard)、ウォーリアー(Warrior)、運命(Destiny)
《え》:英雄(Hero)
《き》:巨獣(Brute)、巨獣隊(Brute Squad)
《く》:軍閥総統(Warlord)
《こ》:コマンダー(Commander)
《し》:シェイド(Shade)、ジャイアント(Giant)
《せ》:全父(All-Father)
《そ》:ソルウェンフェルス王国(Kingdom of Sorwenfells)
《た》:ダークナイト(Dark Knight)
《て》:鉄波隊(Iron Avalanche)
《は》:ハーフジャイアント(Half Giant)、蛮族(Barbarian Clan)
《ひ》:卑小王国(Petty Kingdom)、ヒト(Humanity)
《ふ》:ブレイドマスター(Blade Master)、プレレイト(Prelate)
《ほ》:北方人(Northman)
《り》:領主(Lord)