9フィート(約2・7メートル)近くの身長をもち、全身を筋肉で覆われている、ハーフジャイアントの外見には、迫力がある。群集のなかで体が飛び出ていて、人目を引く、ハーフジャイアントは、ヒトのものよりも幅が広い顔をもっている。かれらの眉毛は太く、目の位置は深く、顎はがっしりしている。
ハーフジャイアントは、ヒトにおける六つの民族のうち、どれにでも生まれる。そして、かれらこと巨獣がもつ肌の色は、両親と同じものになる。ハーフジャイアントの大多数は、白い肌をもつ北方人から生まれる。しかし、近年では、ヒトにおける他の諸民族にまで、ジャイアントの血がいきわたった。そして、遠い南方の土地で暮らし、黒い肌をもつイリュドヌ人のあいだでさえ、ハーフジャイアントが生まれるようになった。ハーフジャイアントがもつ肌と毛の、両方の色は、ヒトの親たちと同様に多様である。その一方で、かれらには体毛が多い傾向があり、太くて硬い髭が生える。
祖先であるジャイアントの血は、時の流れとともに希薄になった。したがって、祖先たちのもつ多様性は、現代のハーフジャイアントに残存していない。怪力および頑丈さとは異なり、ジャイアントがもつ、資質および能力の超常的な両方を、ハーフジャイアントは受け継いでいない。火ジャイアントと氷ジャイアント、ならびに、沼ジャイアントなど、さまざまな血筋がある。しかし、どの血を引いたとしても、ハーフジャイアントが受け継げるものは、身長と体格に限られる。
原因は解明されていないが、ヒトの子供たちだけが、ハーフジャイアントとして成長する。女性のハーフジャイアントは希少であり、シェイドとして生まれたハーフジャイアントはいない。アルフボーンとは異なり、ハーフジャイアントは子供をもうけられる。しかし、親となったかれらの多くが、子供が得る身長の低さに失望する。ジャイアントの血は、移り気であるうえに確保が難しいため、何十世代も経たあとに発現することが、広く知られている。
十人の子供のうち、一人だけがハーフジャイアントとして生まれる原因は、判明していない。そして、かれらの誕生を喜ぶ家族だけでなく、喜ばない家族がいる理由も、誰にも答えられない占星術師と占い師ならびに神秘学者は、何千年ものあいだ、ハーフジャイアントを確実に誕生させようとしてきた。しかし、予測と設計において成功する者は、一人も現れなかった。
世界人類のあいだで、ハーフジャイアントは最も筋力が強く、かれらの丈夫さは、ドワーフとケンタウロスの次に優れている。ハーフジャイアントの美点については、ここで終わり、欠点を挙げていく。
巨獣ことハーフジャイアントの体格は大きいが、かれらは、世界人類のあいだで最も動きが鈍い。そのうえ、混血を原因として、知力と霊力において劣っている傾向がある。ハーフジャイアントには、呪術の才能がほとんどない。かれらのなかには、悪知恵をはたらかせる者たちがいるが、賢いと評価された者は一人もいない。
多くの智者たちが、混血には、情緒の不安定という性質があると考えている。なぜなら、ハーフジャイアントたちは腹を立てやすく、とりわけ、当惑したときは激怒するためである。ハーフジャイアントの性格は、残虐かあるいは好戦的である。大多数のかれらは、自分たちよりも小さい人びとに対し、生来の優位性を確信している。友情の概念を理解したハーフジャイアントは稀であり、大多数のかれらが、虚弱な生物たちを軽蔑している。
用語一覧
《あ》:アルフボーン(Aelfborn)
《い》:イリュドヌ人(Irydnu)
《き》:巨獣(Brute)
《け》:ケンタウロス(Centaur)
《こ》:氷ジャイアント(Ice Giant)
《し》:シェイド(Shade)、ジャイアント(Giant)
《せ》:世界人類(Children of the World)
《ち》:智者(Magus)
《と》:ドワーフ(Dwarf)
《な》:南方(South)
《ぬ》:沼ジャイアント(Swamp Giant)
《は》:ハーフジャイアント(Half Giant)
《ひ》:火ジャイアント(Fire Giant)、ヒト(Man)
《ほ》:北方人(Northman)