おまえは、わたしを惑わすために送られた幻では、ないようだ。おまえは、この砂地に侵入した肉だ。昔は、わたしの種族がこの砂地を支配していたので、許可なくこの土地を歩く者たちは、死んだ。わたしのヴィーラクトゥは、故郷から遠く離れて放浪し、一方で、混沌の獣たちが、かれらの下劣さでこの土地を汚している。
わたしは、同胞たちのために働く預言者だ。そして、ドラゴンは、この試練が、わたしの部族が耐え忍ばなければならない、審判であることを、わたしへ示した。わたしたちは耐え忍ぶだろう。なぜなら、わたしたちは、クルイグオハリーンに選ばれた子供こと、イレケイなのだから。わたしは、モルロク逸脱神に従うオークたちの猛攻に、対抗しながらここに滞在する。往古から続く、複数におよぶ元素霊契約への尊重を、維持するためだ。このようにして、わたしの部族は崇高な諸遺産を喪失しない。
元素霊契約とは何ですか。
おまえの目の中に影が見える。少ししか知らないくせに、血と略奪を求めて、この土地へ来たのか。周りを見ろ。おまえには砂漠が見えるだろう。
知れ。昔におけるこの土地は、木ぎと混迷が絡まりながら、恐怖および影をともなっていた。エルフたちこと憎悪対象たちが、無知および倒錯のなかで暮らしていた。しかし、ドラゴンの目ざめは、憎たらしい諸塔を揺さぶった。さらに、同神からの崇高な賜物として、この土地を清浄にした、太陽を点火したのだ。
わたしたちの先祖たちは、遠い昔から、複数におよぶ賜物の価値を認識していた。その起源は、かれらが、母である不死鳥という変容の炎こと、ハリークルイストゥ女神によって、変容される前にまでおよぶ。憎悪対象たちが太陽の光から逃走したときに、わたしたちの先祖たちはこの土地に残った。そして、かれらは、エルフたちによる往古の痕跡を根絶するために、長いあいだ懸命に働いた。
わたしの祖先たちは、憎悪対象たちが、遠い昔に、かれらの意思を冥界へ投射したことを発見した。それは、風と水および火の、三者における諸霊ことハールイヴォールたちを、罠にかけるためだった。憎悪対象たちは、強大な諸霊たちを、故郷から引き剥がして奴隷にし、従属させた。
わたしのヴィーラクトゥは、往古の諸呪文を無効化し、マーリドたちとイフリートたちこと、火霊主たちと水霊主たちを解放した。憎悪対象たちは奴隷たちを見たが、わたしたちは同盟者たちを見た。憎悪対象たちは拘束をかけたが、わたしたちは契約を結んだ。そして、諸教示と力の諸賜物の、霊たちによる両者と引き換えに、かれらを尊重した。
これらの協定は、わたしの部族の繁栄を促進した。しかし、ハールイヴォールたちの援助でさえ、わたしたちの消沈を目的に派遣された、仮面神の諸軍勢を、阻止できなかった。
この土地では諸世界間の諸壁が薄いので、霊たちは今でもこの砂地に到来する。だから、わたしは、火霊主と水霊主を尊重し、元素霊契約に対して、更新および維持を途絶させないために、この土地に残った。
クルイグオハリーンは、終末にわたしたちの忍耐が報われると、諸幻視でわたしへ示した。大神敵が、かれの憤怒で世界の全体を焼き尽くしたあとに、ハールイヴォールたちは、大軍として焼かれた世界に戻るだろう。それは、イレケイたちが、世界を楽園へ変容させるときに、援助をおこなうためだ。
会話を終える。
用語一覧
《い》:イフリート(Efreet)、イレケイ(Irekei)
《う》:ヴィーラクトゥ(Virakt)
《え》:エルフ(Elf)
《お》:オーク(Orc)
《く》:クルイグオハリーン(Kryqho'khalin)
《け》:元素霊契約(Pact)
《こ》:混沌(Chaos)
《し》:終末(Last Days)
《す》:水霊主(Lords of Water)
《せ》:セムラ[竜媒女](Semra the Blood Prophetess)
《た》:大神敵(Terror of Terrors)、太陽(Sun)
《と》:ドラゴン(Dragon)
《は》:ハールイヴォール(Khar'ivor)、ハリークルイストゥ(Khalikryst)
《ひ》:火霊主(Lord of Fire)
《ふ》:不死鳥(Phoenix)
《ま》:マーリド(Marid)
《め》:冥界(Void)
《も》:モルロク(Morloch)
《ら》:楽園(Paradise)