おまえに、わたしが教える価値はあるか。後でわかるだろう。
サンダンサーについて話してください。
おまえは、自分の血が燃えていると言った。もちろん、そのとおりだ。イレケイであるおまえは、わたしたちの祖先たちに対して、破壊と創造をおこなった、ハリークルイストゥ女神から生まれた。
おまえの魂火ことハルイーカは、おまえの心がもつ強さであり、太陽の激怒である火との接触から、防護してくれる力だ。そのうえ、ハルイーカは、干渉神たちから生まれたどの人びとよりも、おまえを上等にしてくれる。ハルイーカは、憎悪対象たちがドラゴンと呼ぶ、太陽の神聖根源ことクルイグオハリーンの、印だ。
終末日に、大神敵は長い仮眠から目覚める。そのときに、かれの印をもつ者たちだけが、地界の残余が焼き尽くされたときに、被害を免れるだろう。これが、母太陽と父神敵からの賜物である、おまえの血と魂が宿す火だ。
だが、おまえはすでに全部を知っている。わたしを探していたのは、子供用の稽古を受けるためではないだろう。ある者たちにとっては、ハルイーカは賜物いじょうの価値がある。火福者たちの内部では、魂火があまりにも明るく燃えている。だから、狂わされる前に、魂火を統御もしくは解放する方法を、学ばなければならない。これがおまえを探し出した理由だ。これらが学ばなければならない教訓だ。
おまえの苦痛をよく知っている。同類の多数がよく知っている。火福者たちには唯一の道がある。かれらは、砂漠で慰安を求めて、魂火を燃やさなければならない。火福者たちが耐えられれば、魂火は変容したうえで現れる。耐えられなければ、火福者たちは破滅するだろう。
ある者たちは、父神敵の声を聞いて竜媒になり、ドラゴンの超自然術における熟練者になる。ある者たちは、竜娘であり、種族の母でもある、ハリークルイストゥこと不死女神の声を聞く。わたしは、呼びかけてきた不死女神の声を聞いた。同女神から、太陽舞踏ことクイエルタハルアカールについて学んだ。
サーペントとスコーピオン、ならびに、マンティコアとハイエナ。これらの神敵たちは、全部がハリークルイストゥ女神から生まれた。ハリークルイストゥ女神は、わたしへ、見るための複数におよぶ目を与えてくれた。だから、同女神がもった、砂漠の地下で孤立している子供たちさえも、わたしは見た。
わたしは、ハリークルイストゥ女神の子供たちから、かれらがもつ秘奥および形態の、全部を学んだ。わたしの手は、マンティコアと同じ強さで殴れる。そのうえ、スコーピオンがもつ爪のように引き裂けるし、同怪物がもつ毒と同じ苦痛を与えられる。さらに、わたしは、太陽の火をともないながら触れる。
魂が純粋で、目が開いていれば、おまえもこれらを学ぶことになる。やがて、太陽舞踏の熟練者ことハルキエルウースとして、おまえはおれの仲間になるかもしれない。おまえの血が宿す火が、おまえを焼き尽くすかもしれない。太陽と風がそれを決めるだろう。
ハルウーバルは最初の同類であり、かれは火手と呼ばれている。なぜなら、かれの出生名は遠い昔に忘れられたからだ。ハルウーバルは、若いころは強大なウォーリアーだった。かれは、愛する女のために、自分が属するヴィーラクトゥを裏切り、仲間たちを皆殺しにした。ハルウーバルは、すべての氏族から、背信者および落伍者の烙印を押された。そして、本来の名前を剥奪されて、砂漠で最高度に過酷な片隅へ、追放された。
悲痛に打ちひしがれたイレケイは、死を切望したが、結局は、かれの精神はあまりにも強すぎた。ハルウーバルは、太陽金床の上においてでさえ、生存の方法を学び、やがて、不死女神の声を聞いた。ハルウーバルは、ドレイクとサーペント、ならびに、スコーピオンのような、動作および攻撃を学んだ。さらに、修行と瞑想、ならびに、厳しい練習をとおして、ハルイーカへ、意識を向ける方法も学んだ。
時が経ち、落伍者は、自分が過去に犯した大罪が、裏切りと欺きによるものであることに、気がついた。ハルウーバルは、同族たちがいる故郷へ戻った。そして、敵たちを探し出して、武器を帯びることなく、自分の拳と足だけを使って、全員を一人ずつ粉砕した。
落伍者は、イレケイたちに、火手を意味するハルウーバルと、改めて名づけられた。なぜなら、激怒したときに、かれの両拳が、火に包まれたといわれているからだ。復讐を果たしたあとに、ハルウーバルは荒地へ戻り、さらに深い諸秘奥を求めた。
わたしは、ハルウーバルの道を辿った者の一人にすぎない。おまえは、この道をどこまで歩くのか。
[あなたがサンダンサーであるばあいは、訓練を受けられます]
[あなたはサンダンサーになれないので、訓練を受けられません]
複数の舞踏秘奥について話してください。
多くの時代において、忠実な者たちは不死女神の声を聞いた。そして、かれらは、サンダンサーの流儀ことハルキエルウースの道で、ハルウーバルに追従した。何よりも深い秘密を開示するときがきた。
血の火ことハルイーカは、おまえがもつ肉体力および実行力の根源だ。わたしたちの父であるクルイグオハリーンが、初めにハルイーカを点火した。そして、わたしたちの母であるハリークルイストゥ女神によって、火の嵐へと昇華された。このハルイーカには、敵を燃やす、ならびに、おまえの肉体を鉄へ転化させる、力がある。
往古における複数の物語が、ハルウーバルのことを伝えている。長い諸闘争、ならびに、砂漠の火ジャイアントこと被呪巨人たちとの戦闘が、それらの内容だ。
最初のハルキエルウースは、不格好な怪物たちが、大地における大きな裂け目の側で、放浪している光景を発見した。同地は、ドラゴンの血が、煙を上げながら噴き出している場所だった。
怪物たちは、ハルウーバルへ複数の岩を投げつけ、拳と武器でかれを打ちのめした。放浪していたハルウーバルは瀕死に陥った。火ジャイアントたちの先導者は、傷だらけのハルウーバルを、地面から露出している、大きなルクシールへ向けて、投げつけた。ルクシールとは、フィールハニームたちが黒曜石と呼ぶ、割れやすくて黒い石のことだ。
黒い硝子は砕け散り、ハルウーバルの血がそれらの石を染めた。多くの傷によって眩暈がしたため、ハルウーバルは意識を失い始めた。ハルウーバルは、左右の手で、別べつにルクシールの欠片を一つ拾い、きつく握りしめた。破片の縁が手に食い込むと、放浪者は意識を集中した。各破片が、ハルウーバルがもつ両手の中で白熱した。そして、大神敵の神聖な石が内包している力が、ハルウーバルの血が宿している美徳を、解放した。ハルウーバルの両手は炎に包まれ、火ジャイアントたちは、かれの燃えている手に触れられることに、耐えられなかった。
こうして、ハルウーバルは、ブラッドストーンが太陽舞踏における熟練の鍵となる、ハンクスヒールを発見した。火手の道を歩く者たちであれば、誰でもハンクスヒールを手に取って、伝説におけるハルウーバルのように戦うことができる。破片で手のひらを切り、ハリークルイストゥ女神へ聖なる真言を吹きこめ。そうすれば、手のひらの血は炎となって燃えあがり、おまえのハルイーカは敵対者たちを滅ぼすだろう。
どうすればサンダンサーになれますか。
モルロク逸脱神の孵り子たちへ死を。あの孵り子たちは砂地を汚しており、そのうえ、わたしたちの聖なる諸像を冒涜している。砂漠における汚いオークたちこと、ブブハーシュ族のなかに、バルケス・ストーンフェイスがいる。かれは、不死女神に対して最大の犯罪を働いた。もう一人は、近隣における往古の諸遺跡に潜伏していて、モルロク逸脱神の祝福を受けた、エシュと呼ばれる汚いトロールだ。どちらかの歪んだ神敵を殺害すれば、おまえは、わたしと一緒にハルウーバルの道を歩ける。
分野の訓練を行う:サンダンサー
終了
用語一覧
《い》:イレケイ(Irekei)
《う》:ヴィーラクトゥ(Virakt)、ウォーリアー(Warrior)
《え》:エシュ(Esh)
《お》:オーク(Orc)
《か》:干渉神(Meddling God)
《く》:クルイグオハリーン(Kryquo'khalin)、クイエルタハルアカール(Quierta Khal'akar)
《こ》:魂火(soulfire)
《さ》:サーペント(Serpent)、サンダンサー(Sun Dancer)
《し》:時代(Age)、終末日(Last Day)、神敵(Terror)
《す》:スコーピオン(Scorpion)
《そ》:憎悪対象(Hateful One)
《た》:大神敵(Terror of Terrors)、太陽(Sun)、太陽金床(Sun's Anvil)、太陽の神聖根源(Holy Source of the Sun)、太陽舞踏(Dance of the Sun)
《ち》:地界(World)、父神敵(Father Terror)
《と》:ドラゴン(Dragon)、ドレイク(Drake)、トロール(Troll)
《は》:ハイエナ(Hyena)、母太陽(Mother Sun)、ハリークルイストゥ(Khalikryst)、ハルイーカ(khar'ika)、ハルウーバル(Khar'ubar)、ハルキエルウース(Khalquier'uus)、バルケス・ストーンフェイス(Bal'Keth Stoneface)、ハンクスヒール(khan'xhir)
《ひ》:火ジャイアント(Fire Giant)、被呪巨人(Cursed One)、火手(Firehand)、火福者(Blessed One)
《ふ》:フィールハニーム(fir'khanim)、不死女神(Phoenix)、不死女神の声(Voice of the Phoenix)、舞踏秘奥(Dance's Secret)、ブブハーシュ族(B'bhaash)、ブラッドストーン(Bloodstone)
《ま》:マンティコア(Manticore)
《も》:モルロク(Morloch)
《り》:竜媒(Prophet)、竜娘(Dragon's Daughter)
《る》:ルクシール(rhu'xir)