シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

Centaur Ways (ケンタウロスの道筋)

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 現代の悲惨な日びにおいてさえも、ケンタウロスたちは寄り集まり、明るく笑う。ケンタウロスは、あまりにも立派な人びとである。不当な攻撃を受けない限り、彼らは、地界に住むどの種族よりも寛容で、信頼の置ける存在といえる。
 ケンタウロスは、友情に対する態度と同じように、戦争に対して、まじめかつ率直にとりくんできた。そして長い歴史をとおして、彼らを強く恨む者たちがいる。エルフは、ケンタウロスが敵意をもつ、唯一の種族である。二つの時代にまたがり、兵馬たちと不滅帝国が行った戦いの記憶は、まだ色あせていない。
 ケンタウロスは戦闘を得意としており、さらに、有効な戦術を立てることができる。彼らが好んで扱う武器は、長い槍と大剣である。ケンタウロスたちからなる、高機動部隊の突撃は大きな威力をもっており、重武装の騎士たちによるものをも上まわる。

 

  誇り高い種族、ケンタウロスは自慢しがちであり、激しく競い合っている。ケンタウロスのあいだでは、友人へのあいさつとして、徒競走が広く行われている。走り幅跳びや力くらべなどの、競技と遊戯も、彼らがもつ文化の大黒柱といえる。ケンタウロスは、自分の能力を最大限に保つために、友人や知人を試し、勝負を行うのである。
 ウォーリアーと狩人が、ケンタウロスの社会で中核をなしている。彼らが興じる軍事的な競技は、他の種族に大きな影響を与えた。例えば、ヒトの行う馬上槍試合は、明らかにケンタウロスの競技、ウァルトスの粗雑な模倣といえる。同競技は本来、相手の体に付けられた、金属製の輪を奪うために、槍で引っかけることを狙い合うものである。二本足の来客たちが競技に参加しても、良い成績を残すことはないが、それでもケンタウロスは、敗者に賛辞を贈る。
 ケンタウロスは音楽と物語ならびに、ぶどう酒を好む。彼らの式典は何日もつづき、にぎやかになる傾向がある。

 

 ケンタウロスが戦いで恐れられ、式典では楽しく振るまう一方で、彼らの文化には、信心ぶかさとあつい信仰心が根底にある。ケンタウロスは、名誉の概念をケーナリュン神から学んでおり、彼らがもつ、狩猟神と全父への崇敬は揺らいだことがない。
 ケンタウロスは、自分たちの道義からエルフの傲慢さまで、幅広く理解している。ケンタウロスのなかで、もっとも自信過剰な者たちでさえ、自分たちがもつ力の源泉を忘れない。「速度は狩猟神より来たりて、力は父より来たる」。この祈りの言葉は、ケンタウロスのウォーリアーたちのあいだで、広く唱えられている。
 プリーストとプレレイトは、ケンタウロスがもつ共同体において、重要な役割をもつ。出陣と戦闘のまえに、ケンタウロスは必ず祈り、彼らの父、ケーナリュン神に加護を求める。
 ケンタウロスは、自然の秩序を不定するものすべてを、激しく憎んでいる。そして彼ら全員には、悪しき者たちと戦うという、崇高な使命がある。変造軍団のオークと竜属のドレイク、ならびに混沌から生まれた怪物と不死者は、ケンタウロスの視界に入りしだい攻撃される。このような敵の存在は、多くの若者に、実力を証明する機会をもたらす。彼らは数年のあいだ兵団を離れ、一人で聖なる戦いに挑む。

 

 ケンタウロスの共同体は、兵団という単位から構成されている。それは、二十人から六十人の小さな集団であり、成員は主君に奉仕するための、厳格な規則と名誉の規定に縛られている。兵団における成員資格は代だい受け継がれ、成員どうしの友情と忠誠の絆は、計り知れないほど固い。
 もっとも優れたウォーリアーが、兵団の指導者になり、一人か複数のプリーストから助言を受ける。しばしば複数の兵団が連携し、都市や砦を建てる。一方で、成員たちのなかには、ひんぱんに遠出する者たちがおり、彼らは私的な冒険を行なうか、聖なる戦いに参加する。
 ケンタウロスに伝わる古い伝承によれば、ケーナリュン神は、最初のケンタウロスに謙虚さを教えるために、風の捕獲を命じた。のちの時代においても、ケンタウロスは、まだその挑戦をつづけている。故郷から遠く離れ、戻ってこないケンタウロスがいれば、彼は、「風を捕まえに行った」と言われる。その表現は、悪の根絶を目的として、終わらない狩りに出た者たちを意味する。
 ケンタウロスがもつ各王国の中心部には、複数の兵団と冒険者たちが集まる、大きな砦がある。そこで彼らは交易を行い、子供たちに縁談を用意し、さらに競技を催す。ケンタウロスたちは内部が広く、天井の高い建物を好む。なぜなら、ケンタウロスが他種族の都市に来たとき、大抵の部屋が、彼らの体には狭すぎるからである。したがって、ケンタウロスは、そのような家屋には入りたがらない。

 

 ケンタウロスは、何よりも名誉を重んじる。非常事態をのぞき、彼らが嘘をつくことはない。ケンタウロスは他のどの種族よりも、仲間を助けてきた。ケンタウロスと人の子は、長いあいだ友好関係を維持してきた。そのため、父教会には多くのケンタウロスが、プレレイトやクルセイダーとして加入した。遠い昔に、ドワーフは、鍛冶の技術をケンタウロスに教えた。ケンタウロスの王たちは、こんにちでも、無数の世代にわたって受け継いできた、ドワーフ製の見事な鎧を着る。
 かつてケンタウロスは、ジャイアントとさえも友好関係を築き、地界同盟を成立させた。災禍戦役で魔界の軍勢と戦う際に、ヒトとエルフ、さらにジャイアントが協力できたのは、ケンタウロスの功績といえる。ケンタウロスは、この壮絶な戦いで最前線に立ち、どの種族よりも多くの戦死者を出した。
 天変地異がおきたあと、全父とケンタウロスの父、ケーナリュン神の消息が絶えたことに、ケンタウロスたちはうろたえた。新しい闘争がおきかねないため、草原の貴人たちは、現代の情勢を憂いている。このような理由から、ケンタウロスはふたたび兵力を結集しつつ、嵐の到来に備えているのである

 

用語一覧

 

《う》:ウァルトス(Valtos)、ウォーリアー(Warriors)
《え》:エルフ(Elves)
《お》:オーク(Orcs)

 

《く》:クルセイダー(Crusaders)
《け》:ケーナリュン(Kenaryn)、ケンタウロス(Centaurs)
《こ》:高機動部隊(Waves)、混沌(Chaos)

 

《さ》:災禍戦役(War of the Scourge)
《し》:ジャイアント(Giants)、狩猟神(Hunter)
《せ》:全父(All-Father)

 

《ち》:地界(World)、地界同盟(Great Alliance)、父教会(Church of the All-Father)、秩序(Order)
《て》:天変地異(Turning)
《と》:ドレイク(Drakes)、ドワーフ(Dwarves)

 

《ひ》:ヒト(Humans)、人の子(Sons of Men)
《へ》:兵団(Cohorts)、兵馬(Horselords)、変造軍団(Twisted Legions)
《ふ》:不死者(Undeads)、不滅帝国(Deathless Empire)、プリースト(Priests)、プレレイト(Prelates)

 

《ま》:魔界(Chaos)

 

《り》:竜属(Dragonspawn)