おまえの周りにある世界は幻だ。おまえが見聞きするものは無であり、おまえの心が与えた名前にすぎない。定義という行為によって、おまえの心は知覚しなくなり、むしろ制限されてしまうのだ。おまえの中には無限の可能性があるが、経験と選択の連鎖がおまえを定義し、おまえは制限された。皮肉なことに、力の向上に励むことで、おまえの魂が秘める究極の力は否定された。だが、おれはおまえを助けてやれる。
超越軍団のしがない一員であるおれは、記憶除去士だ。おれたちの兄弟団は高等な霊性の道を歩んでおり、意識集中の熟達によって、新しい段階の認識に到達した。おれはウォーロックだったが、今ではそれ以上のものになった。
おれたち記憶除去士は、対象の知覚を否定して、過去の選択を改めさせることを目的に、記憶の除去方法を学んだ。鍛冶師は、金属を熱して不純物をとり除く。それと同じように、おまえがもつ、訓練とまちがいにおける、古い両方の記憶を取り除こう。おれには、おまえの魂に対して、精練と純化をおこなうことが可能なのだ。
おまえの記憶はおまえじしんの牢獄だ。だが、おれはおまえを自由にしてやれる。可能性を限界まで引きだしたいなら、覚えたことを忘れなければならない。
用語一覧
《い》：意識集中（Focus）
《う》：ウォーロック（Warlock）
《き》：記憶除去士（Refiner）
《ち》：超越軍団（Order of Transcendence）
