生き聖人の御名において、この痩地では悪が尽きないのだろうか。あなたは聖戦へ参加しに来たのか。聖マローンさまご自身は宣言された。昔においてアルダン領国の主要な地区だった、この砂漠は、全父の選子ことヒトへ回復されるべきと。
したがって、おれたちは、この火および塵の土地へ、贖罪の禊火をもたらすために来た。おれたちが通る道は長いように思える。しかし、おれたちの信仰が揺らぐことはない。
おれたちがここで直面している敵は多い。アルダン領国の古い栄光を汚そうとする者たちと、古代の遺跡と正統な栄光の名残を、人の子から隠し、回復を妨げる者たちだ。
エルフの血を引く、退歩した怪物こと羅刹たちは、混沌に属する偽物の火を崇拝している。それは、破壊および焦がしの機能しかもたず、贖罪には役だたない不純な火だ。羅刹たちは混沌の手先であるため、信仰箇条にもとづいて浄化されなければならない。
他の卑劣な生物たちも、ここに住んでいる。鱗をもち、ドラゴンを崇拝している怪物たち。おれが名前を言わない破壊神を崇敬している、厚かましいジャイアントたち。そして、獣主たちから生まれた、野干の頭をもつ者たちだ。これらの全部が浄化されなければならない。
異端者のなかで最悪なものは、忘れられた時代に砂漠へ逃げてきた、修行者たちだ。修行者たちのなかでは、ベルーヌアス教徒の古い異教的な信仰が、今でも熱く燃えている。この偽りである異端は無価値だが、苦痛で贖われて、矯正されなければならないだろう。
混沌の悪臭がここに重くのしかかっており、おれたちは、不具神の従僕である、ヴォルグリム軍団の使者たちを発見した。おれたちはヴォルグリム軍団と戦い、かれらの主人が裏切りで汚した、古代の武具を取り戻す。
おれたちの聖戦に参加するならば、進め。そうでないならば、ここから出ていけ。おれの兄弟たちに、禊火で焼かれたくはないだろう。
アルダン領国について詳しく教えてください。
この砂地には、ヒトの発祥地である王国の名残として、いくつもの古い遺跡が点在している。同地は、全父の選子たちのあいだで、御父が暮らしていた場所でもある。昔の同地では、最初のヒトたちが、かれらを創造した全父と親睦を深めた、宮殿である、大きなアルダン神殿が存在していた。
不実なエルフたちの裏切りおよび呪術によって、アルダン領国は滅ぼされ、当時における多くのものが失われた。エルフたちと不滅帝国の傲慢さに、永遠の呪いあれ。
ベルーヌアス教団について詳しく教えてください。
ベルーヌアス教徒たちはもっとも邪悪な異端者だ。ベルーヌアス教徒たちは、あらゆる罪人たちのなかで、もっとも卑劣な存在でもある。なぜなら、昔のエルフたちと同様に、全父へ背を向けたからだ。
悲惨期においては、すべてのヒトが、不滅帝国の抑圧下で苦しめられていた。脱走したヒトたちに対して、全父への信仰を示し、アルダン領国の忘れられた歴史を伝えたのは、ケンタウロスたちであった。このようにして、人の子たちは盗まれていた運命を取り戻し、ふたたび統合された。
しかし、迷える魂たちのなかには、アルダン領国を救わなかった全父を、呪う者たちがいた。このような者たちは兵馬の助言を無視して、新しい諸神を探す旅に出た。こうして、逸脱者たちはかれらの破滅を招いた。
預言者であるベルーに導かれて、背教者たちは、大地と大気ならびに海と火の、諸元素を崇拝した。ベルーたちの教団において、火は、諸元素のあいだで、もっとも高い地位に位置づけられた。同元素が、あらゆる生命における、発生および消滅の原因として、創造および破壊の作用をもつと、理解されたためである。
背教者たちは、純粋な火に引き寄せられたため、たしかにヒトだといえる。しかし、かれらの魂は不適合であるため、真火の代わりに、混沌の劣化した火しか見れないのだ。ベルーの追従者たちは、ヌアスと名づけた、太陽である偽の神を作りあげた。しかし、ベルーは追従者たちの全員を迷わせた。ヌアス神は存在しない。それは、羅刹たちの母ことハリークルイストゥ逸脱女神であり、異端者たちを弄んで、かれらへ諸力を与えたのだ。
何世紀にもわたって、太陽を崇拝する者たちは、人間を犠牲とする、汚い諸儀式を実践してきた。全父教会は、ベルーの追従者たちを異端者とみなして糾弾し、かれらを滅ぼそうとした。残念ながら、当時の全父教会は現在のものよりも弱かった。したがって、審問は、ベルーヌアス教徒たちを潜伏へ追いこみ、人びとの記憶から消し去っただけに、とどまった。
ベルーヌアス教徒たちは、異教徒であるグウェンダネン人たちのあいだで、避難所を獲得した。そして、同民族は、一時的に、ヌアス神を万神殿へ追加した。
最近では、ベルーヌアス教団が改革された、あるいは、潜伏を止めたという噂が、正統な侍衛官たちにも届いた。じっさいに、おれたちは、この場所でベルーヌアス教徒を見た。黄銅製の、太陽神に属する法衣を着た僧侶たちは、この砂漠を放浪している。かれらは、火および混沌から生まれた怪物たちから、援助を得ようとしている。
おれたちは恐れない。異端者たちを焼くための薪は、すでに用意されている。もうすぐ、おれたちは、禊火がもつ真の力を敵へ見せるだろう。
ヴォルグリム軍団について詳しく教えてください。
それは黒い名前であり、昔は大変な名誉を帯びていたが、現在では、罪と混沌ならびに背信で染まっている。ヴォルグリム軍団は、災厄戦争の途中における愚行から生まれた。本来の同軍団は、エルフとヒトの両軍隊における、最高の兵士たちを起源としている。かれら長子種族と人の子が、共通の指揮に従って肩を並べ、戦った場所で結成した、精鋭の軍隊だった。
ヴォルグリム軍団は、多くの戦線で混沌の陣営による侵攻を阻止した、戦争の中期に、最高の名声を獲得した。シャドウベインが奪還されて戦局が転換したあとに、戦争神マローグは、全父による兵士の招集に応え、長い隠遁から戻ってきた。マローグ神じしんがヴォルグリム軍団の指揮を執り、同軍団を多くの勝利へ導いた。傲慢になったヴォルグリム軍団は、次第に、エルフおよびヒトの王侯たちとの関係を断っていった。そして、同軍団は死と栄光を求めて、強大な将軍だけに従い始めたのだ。
マローグ神が全父を裏切り、魔界の奈落で破滅させようとしたときに、ヴォルグリム軍団の命運は尽きた。ヴォルグリム軍団の戦士たちは見捨てられ、かれらの邪悪な主人とともに閉じ込められた。マローグ神の裏切りは、ヴォルグリム軍団の名前を永遠に毒した。同軍団についての物語および歌は、意図的に忘れられ、生存した少数の成員たちは離脱した。
しかし、ヴォルグリム軍団は活動を再開した。マローグ神は破壊神モーロックとして生まれ変わり、アエアインスへ戻ってきた。そして、戦士たちおよび帰依者たちの、混沌に属する両者が、ヴォルグリム軍団の古い装備を着て現れたのだ。
モーロック逸脱神は、ヴォルグリム軍団の、呪力を帯びた遺物を求めて、遺跡および古い場所を探索している。したがって、一部の人びとは懸念している。この不具神が、同軍団を改革して利用し、アエアインスにおける全部の陸地破片を、征服しようと企んでいるのかもしれないと。
疑いなく、モーロック逸脱神は、ヒトの記憶にとって神聖な諸遺跡を、この土地で破壊しようとしている。おれたちは、ヴォルグリム軍団から、呪力を帯びた諸武具を奪還するだろう。そして、それらは、ふたたび名誉のある使われ方をするのだ。
会話を終える。
用語一覧
《あ》:アエアインス(Aerynth)、アルダン神殿(Temple of Ardan)、アルダン領国(Realm of Ardan)
《い》:生き聖人(Living Saint)
《う》:ヴォルグリム軍団(Vorgrim Legion)、運命(Destiny)
《え》:エルフ(Elf)
《お》:王国(Kingdom)
《か》:神(God)
《く》:クアルタノース[刑吏公](Quarthanos, Templar Lord)、グウェンダネン人(Gwendannen)
《け》:ケンタウロス(Centaur)
《こ》:混沌(Chaos)
《さ》:災厄戦争(War of the Scourge)
《し》:侍衛官(Lictor)、ジャイアント(Giant)、シャドウベイン(Shadowbane)、獣主(Beast Lord)、修行者(Dervish)、信仰箇条(Articles of Faith)、真火(True Flame)
《せ》:聖戦(Crusade)、全父(All-Father)、全父教会(Holy Church of the All-Father)、全父の選子(Chosen Children of the All-Father)
《た》:太陽(Sun)、太陽神(Sun God)
《ち》:長子種族(Firstborn)
《と》:ドラゴン(Dragon)
《な》:奈落(Pit)
《ぬ》:ヌアス(Nuath)
《は》:破壊神(Destroyer)、ハリークルイストゥ(Khalikryst)
《ひ》:悲惨期(Years of Sorrow)、ヒト(Human / Humanity / Humankind / Man)、人の子(Son of Men)
《ふ》:不具神(Maimed God)、不滅帝国(Deathless Empire)
《へ》:兵馬(Horse Lord)、ベルー(Bellugh)、ベルーヌアス(Bellugh Nuathal)
《ま》:魔界(Chaos)、マローグ[戦争神](Malog the War God)、マローン[聖](Saint Malorn)
《み》:禊火(Cleansing Flame / Flame)
《も》:モーロック[破壊神](Morloch the Destroyer)
《ら》:羅刹(Devil-man)