シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

Aelfborn Ways (アエルフボーンの道筋)

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 アルフボーンは、正式には種族と呼べない。地界において知られている限りでは、かれらが独自の文化をもつことはなかった。生殖能力の欠如は、アルフボーンの国家および王国が、成立しないことを示してきた。エルフおよび人の子から向けられる敵意は、アルフボーンの人数を常に少なくさせてきた。大部分のアルフボーンには、孤独を好む傾向があり、かれらは各地を渡り歩くため、特定の場所に住みつくことは少ない。
 交雑児たちは、どちらかの親がもつ文化を選ばなければならない。エルフのような生活を送り、かれらの服を着て、かれらの言葉を話す者たちがいる。その一方で、ヒトの文化をとる者たちもいる。アルフボーンたちの多くが、個別の事情にもとづいて、どちらかの生き方を選択するのである。

 

 交雑児であるアルフボーンたちは、ヒトかエルフの、どちらかの親を模倣するが、両方に拒絶される傾向がある。大多数のアルフボーンたちが非嫡出子であり、社会の周縁部で暮らすことを余儀なくされる。ヒトは、アルフボーンがもつ血管の中に流れている、邪悪な血を恐れる。その一方で、エルフたちは、アルフボーンが、ヒトの下賤な血で汚れていると考える。アルフボーンは、成長の過程でほとんど信頼されず、助力を得られないため、浮浪者になる。そして、かれらは、両親が属する二つの種族のうち、どちらかを憎むようになる。
 しかし、地界には、アルフボーンたちが暮らせる複数の場所がある。父教会は、僧服を着ることにしたアルフボーンたちに対し、寛容でありつづけた。深い森へ行けば、ドルイドたちとレンジャーたちが、アルフボーンたちを仲間として迎え入れる。地界のなかで、アルフボーンに最も寛容な集団は、女人族であるといえるだろう。アルフボーンのハントレスとして女王になり、すべての女人族を統べた人物は何人も現れた。

 

 アルフボーンの評判は、かれらの青年期に発現する血呪によって、さらに悪くなる。年をとるにつれて、アルフボーンたちは、奇怪かつ長引き、個別に異なる狂気におちいる。幻聴にくわえ、悪夢および白昼夢によって、アルフボーンは苦しむ。アルフボーンたちは、激しい怒りと落ち込んだ気分のあいだで、揺れ動く。ヒトとエルフのあいだに生まれた、アルフボーンたちが苦しまなければならない理由は、誰にも説明できない。大多数のかれらは、生涯をとおして血呪と戦う。
 地界の全土にわたり、アルフボーンを子にもつ両親たちは、生まれたばかりの子供たちに対して、呪術的な刺青を施す。その目的は、血呪を取り除くためである。刺青の範囲は頭頂部をふくむ全身におよび、模様は複雑である。刺青の効果は判明していないが、その意匠を誇り、頭髪を剃るアルフボーンたちもいる。
 大多数のアルフボーンが、自分たちの心に対して、集中および平穏を要する生業を選び、問題をもつ魂を安定させようとする。ドルイドして黙想の生活を送る、あるいは、ウォーロックとして心を整る、もしくは、ブレイドマスター術の修練に専念する。これらの方法で、アルフボーンたちは、自己の内側にいる悪魔を抑制するのである。

 

 天変地異がおきたことで、地界のアルフボーンたちにとっては、試練および変革の時代が到来した。悲惨刺突を放った背信者の正体は、アルフボーンの騎士だったと広く信じられている。この交雑児は、カンブリュワン諸勇士の一人だったが、親の種族を裏切り、鎧の上の外套を翻した疑いがある。かれの心は、妖人帝国が完全に滅びることを拒否したのかもしれない。
 背信者の行為によって、諸小王国におけるヒトの全員が、アルフボーンたちに対して、激しい憎悪を抱くようになった。浄火に従う狂信的な信徒たちは、対鬼子大審問の百周年をまもなく祝うだろう。エルフたちは、かれらの強情な子供たちに対して不親切であり、天変地異がおきたあとも、アルフボーンたちを遠ざけつづけた。
 アルフボーンにとっては、安全に暮らせる場所が非常に少ないため、かれらは自分たちの気質を隠そうとする。アルフボーンたちからなる逸脱者の諸集団が、原生林に住みつき、独自の諸国家を形成し始めたことは、驚くにはあたらない。このような諸国家の未来は定かではない。

 

用語一覧

 

《あ》:悪魔(Demon)、アルフボーン(Aelfborn)
《う》:ウォーロック(Warlock)
《え》:エルフ(Elf)

 

《か》:カンブリュワン諸勇士(Cambruin's Champions)

 

《し》:小王国(Petty Kingdom)、浄火(Cleansing Flame)、女王(Queen)、女人族(Amazon

《こ》:交雑児(Half Breed)

 

《た》:対鬼子大審問(Grand Inquisition Against the Misborn)
《ち》:地界(World)、血呪(Curse)、父教会(Church of the All-Father)
《て》:天変地異(Turning)
《と》:ドルイド(Druid)

 

《は》:背信者(Traitor)、ハントレス(Huntress)
《ひ》:悲惨刺突(Woeful Stroke)、人の子(Son of Men)
《ふ》:ブレイドマスター術(Blademastery)

 

《よ》:妖人帝国(Elvish Empire

 

《れ》:レンジャー(Ranger)