シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

Crusader Narrative (クルセイダーの体験記)

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 動くな、悪党ども。それ以上は近づくな。礼拝堂の中にいる人びとは、わたしの保護下にある。つまり、全父教会に保護されているということだ。おまえたちはここを通れない。なぜなら、全父に仕えるクルセイダーとして、わたしが、御父の子供たち全員を守ると誓ったからだ。
 おまえたちはここを通れない。自分たちの根城へ帰り、これ以上、この美しい村の住民たちを苦しませるな。おまえたちが愚か者ならば、わたしに剣を振るわれて、滅ぼされるがよい。おまえたちの頭上には罪がある。

 

 おまえには大勢の仲間がいるようだな。木立の中に隠れているおまえの仲間たちは、弓を持っている。わたしの答えは変わらない。おまえたちはここを通れない。わたしはおまえを恐れていないし、おまえに刺されることも恐れていない。
 恐怖は弱者たちを蝕む病であり、天変地異が地界にもたらした最大の悪疫だ。恐怖は弱者たちを殺人へ駆りたて、権力者たちを戦争へ駆りたて、信心ぶかい者たちを信仰の疑いへ駆りたてる。混沌への恐怖、変形生物への恐怖、 暗影軍団への恐怖、そして、諸隣国に属する軍隊への恐怖。最も油断ならない恐怖は、絶望を生む闇にくわえ、全父の死が疑われることだ。
 だが、覚えておけ。昔に魔界の諸軍勢は地界を荒廃させ、災厄戦役をもたらした。そのとき以来、わたしのようなクルセイダーたちは、恐れることなくあらゆる悪と戦い、現在でもそれをつづけている。

 

 必要ならば、射手たちに命令して射らせろ。鞭で打たれた聖エリアンダーが、体に一切の傷を負わなかったように、わたしの体は石のように矢を弾く。なぜなら、聖エリアンダーの祝福を帯びているからだ。わたしと戦いたいならば、かかってこい。だが、わたしがもつ筋力は、地獄の諸軍団に阻まれながらも魔界門を閉じた、天使ヘドルシエルから授かったものだ。わたしの剣が帯びるものは、17人の司教猊下たちによる祝福だ。鎧には、大典礼で、総大司教聖下ごじしんが触れてくださった。
 試してみるか。わたしは、12歳のときに誓いを立てた。その後は、20年間における50回いじょうの戦いをとおして、全父教会に奉仕した。わたしの信仰は、わたしを無傷にしてくれたうえに、全父教会の敵を打ち倒させてくれた。おまえも試してみるか。
 おまえは、騎士たちを殺したことがあると言った。わたしを怖がらせたいのか。だが、わたしは騎士ではない。騎士の全員が、領主もしくは、死んだ上級王の幻想に仕える。わたしが仕える相手は全父ごじしんだ。つまり、わたしは、この大地で御父の御心にもとづいて働く、機械だ。わたしは、暗黒から生まれたリッチたちと視線を交わしたうえに、わたしの手により、何匹もの魔物が滅ぼされた。おまえたちのような、暴徒まがいの単なる盗賊たちに対し、わたしが恐れることはない。

 

 どうやら、何人かは賢明なようだ。残った者たちも、逃げた仲間たちにつづくべきだろう。好きにすればよい。おまえたちに警告する。一歩でも近寄れば、月が必ず昇るように、おまえたちは死ぬだろう。
 無駄な挑戦をしてもよいが、これは知っておけ。全父の御心により、この場所で、今日にわたしが本当の死を迎えれば、御父から報いを受けとるだろう。誓いを立てたその日から、わたしはそれを知っているし、クルセイダーたちの全員も同じだ。おまえたちは、今日のここで、わたしの肉体を破壊するかもしれないが、わたしの魂は破壊されない。
 わたしはふたたび起きあがり、恐ろしい現代が終わるときまで、今までどおりに献身する。そして、のちに、全父の諸屋敷における内部で、わたしは居場所を得るだろう。クルセイダーたちの全員が、かれらにおける罪と弱さの両方を、すべて免じられる。ただし、全父教会に課された任務を投げださず、教会の法に従って生きることが、条件だ。
 全父が再臨されたときに、わたしたちの天国報酬は保証される。その大きな報いがあるから、苦痛と苦しみおよび争いの、それらがどれほどひどくても、容易に耐えられる。わたしたちの一人一人が、まったく恐れをもっていない。おまえはどうだ。

 

 他にも、おまえたちが知っておくべきことがある。クルセイダーたちの全員が、武器の扱いに熟練している。なぜなら、わたしたちは、終わりのない戦争で戦う兵士だからだ。わたしたちの力は、計り知れない武力をあたえてくれる信仰によって、さらに強化される。わたしたちは、戦いの諸詩編と聖人たちの名前を把握している。さらに、わたしたちの手は、信心ぶかい者たちを祝福するだけでなく、敵を打ち倒すこともおこなう。
 全父の御名に誓って、わたしが今日にここで死んだとしても、わたしが孤独になることはない。わたしが倒れたとしても、わたしのことを確認するために、司令部から仲間たちが送られてくる。そして、かれらは、ここで起きた事件について知ることになる。罪のない者たちの最期を知れば、クルセイダーたちはおまえたちを追いかける。そして、罪を犯したおまえたちには、十倍の報いがもたらされるのだ。おまえたちには、その懲罰を受ける覚悟はあるか。

 

 神の怒りを招きたいのか。さあ、かかってこい。

 

用語一覧

 

《あ》:暗影軍団(Unholy Legion)、暗黒(Darkness)
《え》:エリアンダー[聖](Saint Eliander)

 

《か》:神(God)
《く》:クルセイダー(Crusader)
《こ》:混沌(Chaos)

 

《さ》:災厄戦役(War of the Scourge)
《し》:司教(Bishop)、地獄(Hell)、上級王(High King)
《せ》:聖人(Saint)、全父(All-Father)、全父教会(Holy Church)
《そ》:総大司教(Patriarch)

 

《ち》:地界(World)
《つ》:月(Moon)
《て》:天国報酬(Heavenly Reward)、天変地異(Turning)

 

《へ》:ヘドルシエル[天使](Hedrusiel the Archon)、変形生物(Twisted Breed)

 

《ま》:魔界(Chaos)、魔界門(Black Gate of Chaos)、魔物(Chaos-spawn)

 

《り》:リッチ(Lich)、領主(Lord)