シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

コマンダーの体験記(Commander Narrative)

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「優れた戦術家の目にとって、時間とはただの幻にすぎない。過去と現在、ならびに未来はひとつである。戦闘は始まるまえに終わる。想定できる結果は、静止している時点でも確定しているからだ。
 どのようなウォーリアーでも、戦術と戦場での観察方法を学ぶが、指揮者には鋭い目が必要となる。指揮者は恐怖と混乱のさなかにおいても、勝利の直前まで、全部隊と全作戦を把握しなければならない。これが、指揮者の知る突撃と後退の方法であり、勝利の理由となる」

 古代におけるエルフの将軍、インフレシエル・アルドロリアンによる、『戦場での心得』より引用

 

「戦闘において、兵士は風にならなければならない。風は止まることがなく、待つこともない。そして動いている。風が強ければ、千のひづめが千倍になり、雷のように大地を響かせる。風が弱ければ、流れる向きを変える。おまえは風を捕まえられるか。誰が挑んでも失敗するだろう。おまえが強いのなら敵を打ち倒せ。おまえが弱いのなら敵を疲れさせろ。これだけが重要な知恵である」

  ケンタウロスの武将、セムジン・カイの言葉より引用

 

「軍隊に価値はない。暴力を振るう者が敗者である」

滅びたムヴァル人の古い諺より引用

 

 剣術の達人であっても、百人の敵を相手にすれば、確実に命を落とす。百人の熟練した兵士がまとまれば強力だが、各人が好き勝手に振るまえば、敵軍と衝突するまえに負ける。十分な訓練を受けていなくても、長槍をもつ農民たちがうまく戦線を維持すれば、密集した重装備の騎士たちに勝てる。正しく編成された十人の兵士は五十人のように戦うが、千人の兵士がひとつになれば無敵となる。
 コマンダーは、肉体となる軍隊の頭脳にならなければならない。コマンダーの目は、起こりうる事態を読み解かねばならず、命令を戦場に行きわたらせて、軍隊を導く必要がある。コマンダーの命令そのものと同様に、かれらの存在は重要である。コマンダーは意志と勇気をもって、古兵から新兵にまでおよぶ、全員を鼓舞しなければならない。コマンダーが死亡したばあい、勝利が近いときでさえも、いくつもの軍隊が戦場から逃げ出す。軍隊の強さはあらゆる兵士に依拠するが、コマンダーの心と目がもつするどさは、勝利と敗北ならびに栄光と破滅を分ける。

 

 古代のエルフはその知識をもっており、かれらのコマンダーたちが、指揮の技芸を最初に洗練させた。古代のエルフたちがもっていた知恵は、こんにちのしおれた戦場においても価値がある。東方にある大平原のケンタウロスは、不滅帝国と激しい小競り合いをおこなうさなか、早い段階で戦術を学んだ。そして、かれらの陣形と規律ならびに戦略の概念は、人の子に伝わった。
 血まみれの諸時代すべてにおいて、世界人類のなかから高名な将軍たちが現れた。かれらのほとんどが陣形と策略を熟知しており、少数が戦略の活用に長けていた。かれらの名声は伝説的な軍閥総統たちのものには劣るが、指揮において、実際に最高の技術を発揮したのはコマンダーである。

 

 精鋭となる三百人の騎乗した弓兵を従えた、鋼風団の長、エルフの将軍、ガムリスト・オロストールをよく思い出せ。最盛期において、かれらは一日に二十リーグを行軍し、十倍の軍勢を打ち破った。軍勢を引き連れて、魔界門の先で千マイルを行軍し、戻ってこなかったラムバーン国の黒熊、アスラナからも学べ。上古における、これらの理論と戦術ならびに士気と策略の天才たちは、兵力と武装も重視していた。悲涙戦役で活躍したカンブリュワン王の右腕、白騎士ゲリアントもそのような人物であった。かれは、人の子における最後の偉大な将軍でもある。
 災厄戦役と悲涙戦役によって、このようにすばらしいコマンダーたちは消え去った。地界に、ふたたび同等の人物が現れることはないだろう。偉大な指揮者たちの人生と教えを知れ。かれらのもつ古い知識を獲得したコマンダーは、争闘時代で軍閥総統の群集から台頭する。エルフが知識を武装したならば、かれは民の住める王国を取り戻すだろう。ヒトならば、かれは上級王の称号を得るかもしれない。

 

 争闘時代では、ギルドとシティならびにネイションとホード、そして、人びとが指導者を求めている。おまえの旗を必要とするのは、誰になるだろうか。

 

用語一覧[コマンダーの物語]

 

《か》:ガムリスト・オロストール(Gamrist Olostor)、カンブリュワン(Cambruin)
《き》:ギルド(Guild)
《く》:黒熊(Black Bear)、軍閥総統(Warlord)
《け》:ゲリアント[白騎士](Gerriant the Old)、ケンタウロス(Centaur)
《こ》:鋼風団(Steel Wind)、コマンダー(Commander)

 

《さ》:災厄戦役(War of the Scourge)
《し》:時間(Time)、シティ(City)、上級王(High King)、上古(Elder Days)
《せ》:世界人類(Children of the World)
《そ》:争闘時代(Age of Strife)

 

《た》:大平原(Vast Plain)
《ち》:地界(World)
《と》:東方(East)

 

《ね》:ネイション(Nation)

 

《ひ》:人の子(Son of Men)、悲涙戦役(War of Tears)
《ふ》:不滅帝国(Deathless Empire
《ほ》:ホード(Horde)

 

《ま》:魔界門(Chaos Gate)

 

《ら》:ラムバーン国(Lambourne)

 

用語一覧[戦場での心得]

 

《い》:インフレシエル・アルドロリアン(Infrethiel Aldrorian)
《う》:ウォーリアー(Warrior)
《え》:エルフ(Elf)

 

《し》:時間(Time)
《せ》:戦場での心得(Lessons of the Battlefield


用語一覧[セムジン・カイの言葉]

 

《け》:ケンタウロス(Centaur)

《せ》:セムジン・カイ(Semujin Kai)

 

用語一覧[ムヴァル人の古い諺]

 

《む》:ムヴァル人(Muvari)