シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

天国と地獄、そして死後の生活〔2002年4月1日〕

 やれやれ、これは答えにくいな。シャドウベイン世界では、二つの根本的な諸力が存在している。秩序と混沌だ。その二つが、五つの元素から発生した事象にはたらきかけて、万物を運動させている。霊魂は、五つめの元素である精神があつまったものだ。それは石が土のあつまりであり、湖が水のあつまりであることと同じだ。宇宙の外側には複数の高次領域が存在していて、純粋な秩序と混沌の諸空間がある。なお、秩序からは天使たちが、混沌からは悪魔たちが発生している。

 

 さて、きみが死んで天国か地獄に行ったら、そこで何がおこるだろうか。答えは種族と文化ごとに異なる。まずは全父に忠実な、教会の人びとがもつ見解を載せよう。それは父教会と火教会だけでなく、ケンタウロスドワーフにも共通している。

 

 天国と地獄がある。人が死ぬと、肉体を活動させていた精神は体から離れ、無の類といえる冥界へ入る。そこですぐに精神は退行し、そのままになるかあるいは邪悪な性質をもつ。そして、それは悪霊として死体にとりつき、不死者として起きあがる。しかし、全父は、死者の精神に生前の報いを受けさせるために、経由地点となる天界門と魔界門を作った。
 天国とは秩序の領域であり、そこでは何かを欲することがなく、永遠に平和と安寧がいきわたっている。地獄とは混沌の領域であり、そこでは事物が安定することはなく、恒久的に激しく変化しつづける。そのうえ、悪魔たちは魂をあめ玉のように味わう。

 

 どのようにして魂が適切な目的地に導かれるのか、きみは気になっただろう。ある人びとは、アルダン王が対象を、生前の行為にふさわしい場所へ、連れていくと信じている。他の人びとは、天使たちが、死者の魂について考慮すると思っている。
 いくつかの学派は、天国への上昇が、運命づけられて選ばれた、少数の人びとだけに限るという見解を示した。しかし、神聖教会の表明したこの説は、不明瞭な部分をもっている。一方で、ナンドラミエルがあらゆる死者にかかわる、詳細な記録を保持していると信じられている。さらに、魂じたいが行為と意図をとおして、自分の運命を選択するとも考えられている。
 魂が地獄で罪を償い、天国へ脱出することは可能だろうか。父教会はその説を認めているが、火教会は、それを罪人の異端的な説とみなし、否定している。彼らによれば、罪人たちは地獄で永遠にとどまる。

 

 天変地異がおきたあと、複数の門が閉じ、全父がアエアインスに与えた贈り物は無効化された。現代のアエアインスで、生命の樹は肉体を再創造することと、魂のよりどころになることで、魂を冥界から守っている。複数の門がふたたび開くことはあるのだろうか。天使たちは不気味に沈黙している。

 

 他の諸宗教と文化は、違ったとらえかたをもつ。たとえばドルイドは、終わりなき生まれ変わりの輪をとおして、要素の配置が変化したうえで、精神がそこに再生すると主張する。イレケイは内在火が体から離れ、ドラゴンの心臓にある、聖火に再統合されると信じている。教会に通わないエルフは、死者の魂が、肉体がなくなったことを注視しながら、実体をもたない生活を強いられると考える。
 思っていたよりも多くのことが聞けたかな。役に立てば嬉しい。

 

固有名詞一覧

 

《あ》:アエアインス(Aerynth)、悪魔(Demons)、アルダン(Ardan)
《い》:イレケイ(Irekei)
《う》:宇宙(Universe)、運命(Fate
《え》:エルフ(Elves)

 

《け》:元素(Elements)、ケンタウロス(Centaurs)
《こ》:高次領域(Higher Realms)、混沌(Chaos)

 

《し》:地獄(Hell)、シャドウベイン(Shadowbane)、神聖教会(Holy Church)
《せ》:聖火(Sacred Fire)、精神(Spirit)、生命の樹(Trees of Life)、全父(All-Father)

 

《ち》:父教会(Church)、秩序(Law)
《つ》:土(Earth)
《て》:天界門(Gates of Heaven)、天国(Heaven)、天使(Archons)、天変地異(Turning)
《と》:ドラゴン(Dragon)、ドルイド(Druids)、ドワーフ(Dwarves)

 

《な》:内在火(Inner Flame)、ナンドラミエル(Nandramiel)

 

《ひ》:火教会(Temple)
《ふ》:不死者(Undeads)

 

《ま》:魔界門(Gates of Hell)
《み》:水(Water)
《め》:冥界(Black)

 

《れ》:霊魂(Souls)