シャドウベインの背景世界

MMORPG、Shadowbaneがもつ舞台設定の翻訳

Barbarian Narrative (バーバリアンの体験記)

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 女のように泣くのはやめろ。おれは、おまえを殺さないと言った。少なくとも今日のところはな。『許してください』もやめろ。おれは機嫌を損ねていない。おまえは北方人を恐れているが、謝罪はいらない。隠れることをやめて、男らしく、太陽の下で顔を晒し、どうどうと立て。おれとおれのいる一族は、南で血なまぐさい仕事をおこなうために、兵力と武具を浪費しない。旅行のためとして、十分な量の食料を得たあとは、おまえをたちを困らせない。
 南方人よ、おまえたちがもつ、家の壁と文字の両方は、おれたちをいつも驚かせる。おまえたちの手は器用になったが、腕と心は衰えた。おまえたちの生活は楽すぎるうえに、腹はいつも膨れている。だから、おまえたちは、全父がくれた最初の贈物を忘れてしまった。筋力と鉄のような意志のことだ。
 おれは、厳寒の土地に生まれた北方人だ。おれたちはそれを忘れられないし、そうでなければ死ぬだろう。北方の氷は眠らず、ヨトゥンとアウロクメンガは捕虜をとらない。かれらは、おまえたちの言葉で、ジャイアントとミノタウロスと呼ばれている。おれたちに殺されなかったことを喜べ。

 

 おれは北方人であり、おまえを殺さないという、誓いを立てた。おれは、自分の言葉を裏切らない。なぜなら、盾がもつ木の部分と同様に、おれの心が腐ってしまうからだ。そして、次の戦いで失敗して、おれは切り刻まれるだろう。おれは北方人であり、嘘をつかない。おまえたち南方の豚は、おれたちのことを野蛮人と呼ぶ。しかし、おまえたちの全員が、嘘をついてでも生き延びようとする。だから、おまえたちは、おれたちの斧と剣に圧倒される。そして、おれたちは、狼のようにおまえたちを襲う。
 そうだ。おれたちはまさに狼だ。故郷がおれたちを変えたからだ。北方に冷たく暗い冬が到来したとき、春まで生き残れるほど強くてずる賢い動物は、狼だけだ。おれたちは、昔に狼の生きかたを学んだ。現代における人の子のあいだでは、おれたちだけが狼だ。温かく安全なこの土地で、おまえたち南方人は牛のように太り、無邪気になった。おまえたちは、おれたちが大聖堂をもっていないことを、馬鹿にする。おれたちが読み書きを知らず、絹の服を身につけず、動物のように手で食べることも、嘲笑してくる。
 だから、おれは言おう。おまえたちは、初期の地界におけるヒトの生きかたを、忘れてしまった。おれたちがもつ強さと不屈の精神は、当時から衰えずに保たれている。労働と戦争において、おれたちのあいだで最も弱い男でさえ、おまえの十人分は価値がある。おれたちは必要なものを奪い取る。なぜなら、おれたちより弱い者たちは、何も権利をもっていないからだ。

 

 おれはカールこと戦士であり、斧を振るって、敵に損傷をあたえる。十数年のあいだ、偉大なヤールであり、ストームロードでもある、グンナル・グットームソンに仕えてきた。そして、かれに従って、襲撃と戦闘をおこない、かれの意思にもとづいて、剣を振るってきた。おれの斧は、60人におよぶ敵の頭を割いた。おまえたちにグロボルドと呼ばれる、プケトについては、ずっと前に数えることをやめた。
 おれの鎧は、叔父であるヨロルフ・ハーフハンデドからの贈物だ。おれの指には、ヤールから頂いた三つの指輪がはめられている。北方人たちの所有物は、自分で作ったものか、襲撃か戦闘の褒賞として、鉄で支払われたものだけだ。おれたちには税が必要ないし、王の顔がついた硬貨も必要ない。おまえは、自分が生きていると主張できるのか。
 おれの人生はどのように定められているのか。いつの日か、おれに仕えるカールたちを手にいれられるかもしれない。氏族長邸宅を建てられるほどの、莫大な財産を築くかもしれない。そして、おれは黄金の川となり、民を富ませるのかもしれない。そうでなければ、おれは貧くなるうえに未婚となり、おれを記録する歌は作られないだろう。人生という物語は、最初の夜明が訪れるまえに書かれた。おれとおまえの両方にとっても、未来は変わらない。おまえや南方人たちがもつ、諸王と諸教会の両方は、人生が記されたものであることを忘れた。しかし、おれたちの吟唱詩人は覚えている。
 おれは、この逆さまになった世界が衰えてほしい。太陽がふたたび輝き、人びとがほんとうに死ねるようになる日が、待ちどおしい。そうなれば、おれと新しい死者たちも、ヴァルハラで、全父に選ばれた者たちの一員になる。そして、終末が来たときに、ドラゴンと対決するだろう。その時はすぐに訪れるのかもしれないが、おれにはわからない。今のところ、おれは、十回は死にながら、力と勇気を鍛えることにしよう。

 

 ここに、おれの兄弟であるエーギルがいる。おまえが、食べ物と飲み物を、気前よく提供してくれたことには感謝する。これで、長期におよぶ略奪行をつづけられるだろう。さて、小さな男よ、おまえには死ぬ時が来た。おれたちの獲物に警告されたくはないからな。文句があるのか。おれは誓いを破っていないぞ。豚のように泣きわめくのはやめろ。おれはおまえを殺さないと誓ったが、エーギルは違う。覚悟を決めろ。エーギルは怪力だ。おまえは痛みを感じるまえに死ねる。

 

用語一覧

 

《あ》:アウロクメンガ(Aurochmengr)
《う》:ヴァルハラ(Valhalla)
《え》:エーギル・フラットノーズド(Egil Flat-Nosed)
《お》:王(King)

 

《か》:カール(karl)
《き》:教会(Church)
《く》:グロボルド(Grobold)、グンナル・グットームソン(Gunnar Gutthormsson)

《し》:氏族長邸宅(Hall)、ジャイアント(Giant)、終末(World's Ending)
《す》:ストームロード(Storm Lord)
《せ》:全父(All-Father)

 

《た》:太陽(Sun)
《ち》:地界(World)
《と》:ドラゴン(Dragon)

 

《な》:南方(South)、南方人(Southlander)

 

《は》:バーバリアン(Barbarians)
《ひ》:人の子(Son of Men)、ヒト(Man)
《ふ》:プケト(Pukjet)
《ほ》:北方(North)、北方人(Northman)

 

《み》:ミノタウロス(Minotaur)

 

《や》:ヤール(jarl
《よ》:ヨトゥン(Joten)、ヨロルフ・ハーフハンデド(Hjorolf Half-Handed)