ネフィリムがアエアインスに登場したのは、最近であるため、かれらについての情報は非常に少ない。メイルストロム島の荒れ果てた土地は、何らかの方法で、アエアインスにおける全部の陸地破片に、影響をおよぼした。そのときに、ネフィリムこと変貌者が現れたのである。
ネフィリムの多くは、何十年ものあいだ変装し、人の子の社会に紛れこんでいたといわれている。そして、ついに、かれらは呪術の仮面を脱ぎ捨て、混沌の台頭を祝った。このような経過を経て、秩序と光を守る者たちは、ネフィリムのことを知るようになった。
ネフィリムの気質は、かれらを生んだ混沌の材料にとらわれている。つまり、かれら変貌者たちの行動は、原初的な衝動と変化性にもとづくのである。ネフィリムの気分は、狂気的な歓喜から強烈な怒りへと、炎のようにすぐさま移り変わる。ネフィリムのなかには、非人間的な激しい憎悪をもって、諸神の手がけた全製作物を攻撃する、凶暴な殺人者たちがいる。別のネフィリムたちは、エルフたちのなかで最も冷笑的な者たちのように、策謀の考案において悪知恵がはたらく。
ネフィリムの全員が、アエアインスにおけるさまざまな信条から生まれた、伝統と規範に対して、無制限の嫌悪感を共有している。かれらの大半にとって、可能な限り多くの、〈法に縛られた羊たち〉を毒し、腐敗させることは、生涯の使命である。誘惑と詐欺がネフィリムの武器であり、かれら変貌者たちは、熱心に活動している。そして、強欲と渇望および恐怖を利用して、あつい信仰をもつ者たちを、光から引き離すのである。懐柔されない者たち、ならびに、裏切りをおこなわない者たちは、ネフィリムにより狂気に陥れられる。
ネフィリムは、アエアインスにおける全種族に対し、冷笑的かつ傲慢な態度をとっている。しかし、混沌の忠実な家来であるミノタウロスだけは、ネフィリムに尊重される。ネフィリムの認識によれば、エルフでさえ、劣る諸神の血を、少ししか受け継いでいない。そして、悪の極致を追求するエルフは、破滅することになるとも考えられている。
ネフィリムが尊ぶ諸神は、混沌の魔神たちだけに限られている。そして、その信仰を、アエアインスの随所にまで広めるために、かれらは生きている。メイルストロム島が出現したことを受けて、混沌を信奉する何十もの教団が、陸地破片の全部で、雑草のように発生した。全父教会と浄火神殿の努力は、十分な成果をあげられなかったのである。諸教団の大多数が、変貌者の諸集団に導かれながら、宗教的な活動をおこなっている。
ネフィリムは、魔神たちの配下である悪魔の軍隊とともに、メイルストロム島の沿岸部に遍満しており、協同で働いている。多くのネフィリムは、かれらの気質にもとづいて、目的をもたずに放浪しているといわれている。その際に、かれらは、傭兵の集団もしくは新興の勢力に参加するが、明確な予定は立てない。ネフィリムは、単なる漂泊者、もしくは、奈落の工作員と推測されているが、事実は判明していない。
噂によると、ネフィリムの幹部たちは、全父教会とマローンの浄火神殿および呪術結社に、ヒトの姿で潜伏していた。そして、かれらは、図書館および古代の書庫を調べあげ、魔界門を開く呪文を探し出して、魔神たちをアエアインスヘ呼びこんだ。その目的は、第二の災厄をおこすことである。
用語一覧
《あ》:アエアインス(Aerynth)、悪魔(Demon)
《か》:神(God)
《こ》:混沌(Chaos)、混沌の台頭(Rise of Chaos)
《し》:呪術結社(Conclave of Wizard)、浄火神殿(Temple)
《せ》:全父教会(Church)
《ち》:秩序(Law)
《ひ》:光(Light)、人の子(Son of Men)
《へ》:変貌者(Tainted One)
《ま》:魔界門(Chaos Gate)、魔神(Dark lord)、マローン(Malorn)
《め》:メイルストロム島(Maelstrom)
《り》:陸地破片(fragment)