ドラゴンが黄金月を焼き尽くしたときに、運命神サエドローンは、双子の姉妹が感じた死にゆく苦しみを共有し、狂気に陥った。サエドローン女神の魂からあふれ出てきた苦痛と激怒は、物質的な形態をとり、大多数の呪術を免れる醜悪な獣の姿になった。この神敵はサエドローン女神から発生して、アエアインスへ落下し、大平原の中央に着地した。
この醜悪な獣は、血および破壊をともなう狂乱の中で、ケンタウロスたちの要塞へ襲いかかった。かれら兵馬たちへの極端な憎悪は、月女神がかの女の子供たちへ向けていた愛の、歪んだ投影である。ケンタウロスたちは、グラロクールを根絶獣と呼び、同神敵の猛威を、複数の物語として現在でも語る。
ドラゴンが敗北したあとに、ケーナリュン神は、かれの子供たちを襲った脅威を発見した。狩猟神ことケーナリュン神は、半永久狩猟を呼びかけた。そして、最も信頼できる従者たちを率いながら、アエアインスの全土におよぶ、根絶獣を殺害するための壮大な冒険をおこなった。
荒地の旅人たちは、半マイルの範囲で草がまばらに枯れた、破壊された跡地で交差した。このような荒廃は、根絶獣の仕業によると考えられている。いくつかの物語によれば、同獣は天変地異を生き延びており、地界における複数の陸地破片を破壊するために、狩猟神から逃れた。この話が事実であるならば、恐ろしい潮流といえる。
用語一覧
《あ》:アエアインス(Aerynth)
《く》:グラロクール[根絶獣](Grallokur the Devourer)
《け》:ケーナリュン(Kenaryn)、ケンタウロス(Centaur)
《こ》:黄金月(Golden Moon)、根絶獣(Devourer)
《さ》:サエドローン[運命神](Seadron the Fate)
《し》:狩猟神(Hunter)、神敵(Terror)
《た》:大平原(Vast Plain)
《ち》:地界(World)
《つ》:月女神(Moon Goddess)
《て》:天変地異(Turning)
《と》:ドラゴン(Dragon)
《は》:半永久狩猟(Long Hunt)
《へ》:兵馬(Horse Lord)