全父の同胞神たちのなかで最も明朗かつ最も自由な、ケーナリュン神は、狩猟の主人である。競技および冒険への満たされない欲求にもとづいて、同神は居住を嫌った。背が高くて血色が良く、頭部から複数の角が生えている姿で、ケーナリュン神は描写される。同神は、月の光輝女神ことサエドローン女神を拘束から解放し、のちに同女神と結婚した。
ケンタウロスたちは両神の子供であり、風および追跡への父親がもつ愛好を、すぐに模倣した。 ケーナリュン神は、風よりも速く走り、最高峰および海底をふくむ、アエアインスの隅から隅までを旅したといわれている。
白夜時代に、ケーナリュン神はドラゴンの撃破を援護した。そのすぐ後に、サエドローン女神の狂気から、恐ろしい獣である根絶獣グラロクールが生まれ、同神は半永久狩猟を始めた。伝説によれば、ケーナリュン神は、妻の壊れた心を回復させるために、根絶獣の捕獲を長期にわたり試みてきた。したがって、同神は世界人類から遠ざかることになった。
ケンタウロスたちは、ケーナリュン神とグラロクールが、地界が終わるときに対面し、戦いをおこなうと信じている。しかし、その対決が、結局は発生しなかったと考える者たちもいる。天変地異がおきたあとに、ケーナリュン神が現れたことはなく、同神が呼びかけに応じることもなかった。そして、多くの人びとが、狩猟神が根絶獣の餌食になったのではないかと、不安に思っている。
用語一覧
《あ》:アエアインス(Aerynth)
《く》:グラロクール[根絶獣](Grallokur the Devourer)
《け》:ケーナリュン[狩猟神](Kenaryn the Hunter)、ケンタウロス(Centaur)
《こ》:根絶獣(Devourer)
《さ》:サエドローン(Saedron)
《し》:狩猟神(Hunter)、狩猟の主人(Lord of the Hunt)
《せ》:世界人類(Children of the World)、全父の同胞神(All-Father's Companion)
《ち》:地界(World)
《つ》:月の光輝女神(Shining Goddess of the Moon)
《て》:天変地異(Turning)
《は》:白夜時代(Age of Twilight)、半永久狩猟(Long Hunt)